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月並みな人生を歩んでいたおっさんがゲーム的な異世界に飛ばされて思慮深く生きつつやっぱり無双したりする話  作者: 次佐 駆人


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6章 → 7章 

―― サヴォイア女王国 首都ラングラン・サヴォイア 


城塞都市ロンネスクの遥か西北西にある、サヴォイア女王国の首都ラングラン・サヴォイア。


峻厳(しゅんげん)な城壁が100万の民を抱擁(ほうよう)するその壮麗(そうれい)な都の中央に、歴史の重みと造形の精妙さを融合させ、なおかつそれを純白のヴェールで包んだかのような城がある。


女王の居城、ラングラン・サヴォイア城。


その白亜の城の一室に、精緻(せいち)な意匠が施された椅子に座った女性と、やはり精緻な意匠がほどこされた机を挟んで、反対側に立つ男性がいた。


女性に促され、男性が口を開く。


「陛下、ロンネスクに『穢れの君』の分体が現れた由、すでにお聞きになられていらっしゃるかと存じますが、追加の情報がただいま届きましたぞ」


「ほう。申してみよ」


「『穢れの君』の分体を封じたのは当地にいた聖女2人、ソリーン、リナシャ両名によるものとのこと。またその際、7等級のドラゴンゾンビを討伐するなど、多大な功績を残した現地のハンターがいるとのことにございます」


「ふむ」


「『穢れの君』分体の封印に乗じ、不当な(はかりごと)にて(おの)が身の栄達を図った大司教クネノは教会の審問にかけられる由。またその謀の実行犯の一人として、灰魔族の男を収監(しゅうかん)したとのこと」


「灰魔族……あの男の関係者か。しかしよく捕まえたものだな。アレは逃げ足だけは早いと聞くが」


「それも(くだん)のハンターの功績のようですな。どうやら大司教クネノの謀を察知し、さらにはアンデッドの襲撃を予知したのもそのハンターとか。協会の支部長とも密に連携しての対応だったようですの」


「ほほう、それはまた面白そうな人物が現れたものだ」


「そのハンターですが、先日、7等級3体討伐の功績によって、公爵閣下より準騎士爵に叙せられたとの事」


「何? 7等級3体とは、『王門八極』に比肩(ひけん)しうる傑物(けつぶつ)ではないか。そのような者が突然現れるなど……いやなるほど、これは叔父上に一杯食わされたか」


「ほほ、どうやらそのようですな。ドラゴンゾンビ以外の討伐については直前まで秘されていたようです。さすがはコーネリアス公爵閣下というところですかな」


「ま、そのくらいは仕方あるまいな。叔父上の考えも分かる。しかし聖女2人にハンターか。実力を力ある者に一度探らせておくのも面白いか? 叔父上に釘を刺しておくのも必要だろうしな」


「ロンネスク周辺での異常発生の多さを考えても、こちらでも一度調査を行なった方がよろしいかもしれませんな」


「ふむ……。たしかメニルはロンネスクに姉がいたな? 騎士団長だったか」


「アメリア殿ですな。なるほど、妹であるメニル殿を送るのはよい考えかと」


「ちなみに件のハンターは魔導師なのか?」


「魔法・剣共に優れているとのことですの」


「それなら剣士も送るか。メニルと仲が良い剣士となると……クリステラになるか」


「さようですな。確かにその2人なら問題はないかと。ただ王門八極を2人というのはいささか過剰ではありませんかの?」


「叔父上に釘を刺すならそれくらいで丁度良い。その2人をロンネスクに送れ。名目はモンスター出現異常の調査。ただし真の目的はよく含めておくように」


「は、ではそのように致しましょう」


「うむ。『厄災』が現実に現れ始めたとなれば鈍い貴族たちも重い腰を上げざるをえなかろう。王門八極を2人動かすのはその意味でもいい気付け薬にもなるであろうな。色々とよい時期に事が動いてくれたのは助かるが、これで良からぬことを考える奴ばらも動き出す。さらに忙しくなりそうだ」


「心中お察し申し上げます。我らも粉骨砕身、陛下の命を遂行するために尽くしましょう」


「よろしく頼む。ああ、早く『厄災』などすべて退けて、運命の相手でも探しにいきたいものだ」


「陛下、そのような言は臣下の前では厳にお慎みくださいますようお願い申し上げますぞ……」

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