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月並みな人生を歩んでいたおっさんがゲーム的な異世界に飛ばされて思慮深く生きつつやっぱり無双したりする話  作者: 次佐 駆人


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5章 穢れの足音(前編) 05

ロンネスクに戻ってまず最初に、城門で傭兵団の男たちを衛兵に引き渡した。正直彼らをここまで連れてくるのが非常に面倒であったのだが、超能力を使って無理矢理引きずってなんとか連行した。


例の犯罪を見抜く魔道具で調べたところ余罪がかなりあったらしく、聖女暴行未遂と合わせて鉱山で強制労働20年くらいは食らうらしい。前の世界でも近代以前の鉱山労働と言えば劣悪な労働環境で有名であったので、この世界で20年というのは事実上の終身刑であろう。


大通りに出たところで、ソリーンとカレンナルとは別れた。

『聖女の封印球』はさすがにソリーンに託し、それ以外の魔結晶はすべて俺たちが受け取った。


ちなみにアンデッドは魔結晶以外ドロップしないので、ハンターには全く人気がないらしい。


俺とネイミリアはそのまま協会に。


夕方の混んでいる時間帯ではあったが、気になることがあったのでできればすぐ支部長に報告したかった。


協会でサーシリア嬢にその旨を話すと、すぐに支部長室に案内された。


なんか男性ハンターの一部が『支部長まで狙ってるのかよ……』とか言っていた気がするが……俺のパブリックイメージはもうボロボロである。




支部長室に入ると、いつものキラキラゴージャス吸血鬼美女が出迎えてくれた。


「まさか貴方から会いに来てくださるとは思いませんでしたわ」


いきなりデキる美女ジョークをかましつつ、妙に色っぽい動きで応接セットへ誘う。


つい前世で顧客の接待で行った店を思い出してしまった。こんな美女にはついぞお目にかかったことはないが。


「それで、今日はどのようなお話を?」


俺は今日会ったことを、教会でのやりとりからすべて話した。


もちろん5~6等級の魔結晶を証拠として提示するのも忘れない。


話の途中から吸血鬼美女の表情が険しくなっていき……最後ははぁっと息を吐いて背もたれに身体を預けた。


「……貴方には色々と楽しませてもらっていますけれど、今回の件は少々笑えないですわね」


「分霊とはいえ『(けが)れの(きみ)』の出現ですからね。やはりこれは『厄災』が近づいていると考えていいのでしょうか?」


「そうですわね……。最近の狩場の異常と合わせて考えれば、『厄災』の前兆と見なさないわけには参りませんわね」


そうだろうとは思っていたが、支部長レベルの人にそう言われると現実としてグッと迫ってくる感じがする。


訳も分からず第二の人生が始まったと思ったら、世界が滅びの危機とか本当に勘弁していただきたい。


「ところで支部長、もう一つ気になるのは……」


「ええ、聖女と大司教の件ですわね。大司教が雇った傭兵が聖女を襲う……これを偶然と考える人間がいたらそれこそ驚きですわ」


「傭兵たちには一応、依頼主について『厳しく』話を聞いたのですが、別の街で依頼を受けた、依頼主のことはぼんやりとしか覚えていない、ということしか聞けませんでした」


実は廃墟で4人パーティになって調査に向かう前、少し時間をもらって男たちを尋問をしていたのだ。もちろんお嬢様方にはお見せできない方法で。


「そのあたりは『スキル持ち』を使えばいかようにも誤魔化せますの。逆に言えば、誤魔化すからには確実に裏がありますわね。となると、亡き者にしようとした聖女が『穢れの君』を封印し帰還したとなれば……大司教には必ず何か動きがあるはずですわ」


「確かに。しかし教会内で強硬手段に出る可能性は少ないと思いますが」


「そうですわね。そもそも『穢れの君』封印などという話は、すぐに領主様に上げなければいけない情報ですの。貴方がそれに関わり、こうしてわたくしに報告した以上、なかったことにはできません。その上で動くとなれば……」


その後、俺と支部長は今後の可能性についていくつか検討していった。


隣で聞いているネイミリアの頭には「?」マークが付きまくっていたが……この魔法マニア娘、さては魔法以外はポンコツだな?

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