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月並みな人生を歩んでいたおっさんがゲーム的な異世界に飛ばされて思慮深く生きつつやっぱり無双したりする話  作者: 次佐 駆人


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3章 → 4章  

―― ある支部長と副支部長の会話


「10か所中4か所の狩場で異常が発生。遺跡ではガルムが出現したか。7等級はオーク狩りの谷に続いて2件目だな」


「都市騎士団はよくやっていますわね。さすがアメリア嬢は優秀ですわ」


「確かにな。調査に同行させてクスノキにまで探りを入れるとは恐れ入る。『王門八極』に請われたのも伊達ではない」


「彼女のお陰で我々も楽をさせてもらってますから、多少は協力しないとならないでしょうね」


「クスノキを貸し出す、か?」


「ふふ、それは今後次第ですわね。それよりここのところの狩場での異常、エルフ族はやはり『厄災』復活の前兆と見ていますの?」


「認めざるを得ないだろうな。周期から言っても、そろそろ前兆が現れる時期なのは間違いない」


「やはり上位ハンターの囲い込みは急がせないといけませんわね。王家も動いているようですし」


「『王門八極』下に有能な人材を集めているようだな。しかし他の貴族たちの動きは鈍いようだが」


「彼らは『厄災』がただの比喩だという説を信じているようですの。人は信じたいものを信じる生き物ですわ」


「仕方のない面もあるが、王家が注意を与えても動かんのでは、愚昧(ぐまい)(そし)りは免れんな」


「逆に、自分の地位を高める絶好の機会、ととらえる者もいるでしょうね」


「愚に愚を重ねるか。この国も歴史が長くなりすぎた。淘汰の時なのかもしれん」


「ふふ、偽悪的になっても何も解決しませんわ。我々はできることをやらなくては」


「……そうだな。その一つとしてクスノキは絶対に外せん。彼の能力は底が知れん。『厄災』に対処するにあたって絶対に必要な人材だ」


「サーシリアを担当につけたのは貴方の慧眼(けいがん)でしたわね。抜け目のなさは相変わらず」


「偶然もあったがな。それよりお前こそ、彼に対する態度が普段と違うようだが?」


「うふふ、私としても彼を逃すつもりはありませんの」


「ほう? お前がそのようなことを言うのは初めて聞いたな。お前もついに……」


「早合点しないでくださる? まあ、そちらの方も今後次第ではありますけれど」


「可能性があるだけで驚きだろう。昔の仲間が聞いたらきっと腰を抜かすだろうな。『魔氷アシネー』の氷が溶けるなぞ、それこそ天変地異の前触れでもおかしくはない」


「そこまで言わなくともよくはありませんこと? わたくしだってそういうことに興味がなかったわけでも……」









―― 城塞都市ロンネスク 中央区 内門騎士団団長室


「なに? あの女が7等級を討伐したというのか!?」


「は、遺跡にてガルムが出現し、それを倒したとのことです」


「むう、これではますますあの女の発言力が強まるではないか。ただでさえこちらをこそこそと探っているのがうっとおしいというのに!」


「それですが、やはり我々も都市周辺の調査に加わるべきではないでしょうか? このままだと、さらに都市騎士団に手柄を取られる恐れがありませんか?」


「くだらん。我らは領主閣下をお守りする重要な任についているのだ。モンスターなぞに関わっている暇はない。それとも貴様が行くか?」


「いえ、それは……なるほど、団長閣下のおっしゃる通り、モンスター討伐など確かに下賤の仕事でございますね」


「当然だ。それよりガルムの件だ、他に情報はないのか?」


「ガルムを討伐した調査隊に、新しく1級になったハンターが加わっていたということが分かっておりますが、今のところは……」


「馬鹿者、それは重要な情報ではないか。……なるほど、それは使えるかもしれん。そのハンターについて少し調べておけ」


「は、分かりました。それでは失礼いたします」




「……しかし面白くない。憂さ晴らしに早いところあの協会の受付嬢をものにしたいところだが……。私に目をつけられた時点で私のものだというのに、まったく焦らしてくるものよ。もっとも、すぐに手に入る女に価値は少ないか。ふむ……まあ、今日のところは商売女で我慢するとしよう」

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