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月並みな人生を歩んでいたおっさんがゲーム的な異世界に飛ばされて思慮深く生きつつやっぱり無双したりする話  作者: 次佐 駆人


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3章 都市騎士団 01

モンスター氾濫事件の翌日、俺とネイミリアは早朝から『逢魔(おうま)の森』にいた。


本来ならあれだけの戦闘があった翌日は休むべきなのだが……魔法マニアの美少女エルフが駄々をこねたのだ。


「ダメです! すぐに凄い(魔法を使う)のを見せてくれないと我慢できません!(ヒュドラ討伐に)いかせてくれなかった師匠のせいなんですよ!(魔法を見せると約束した)責任を取ってください!」


と、他の客がいる食堂で言われたのである。(ちなみにカッコ内は俺がネイミリアの言葉を補完した部分)


普段理知的なネイミリアにここまで言葉足らずでまくしたてられたら、さすがに言うことを聞かない訳にもいかないだろう。


なお、森の中を歩く今の俺たちは、便宜上「森の故郷に里帰りするエルフとその客人」ということになっている。


協会の規則では、現在ランク4級以下の俺たちは『逢魔の森』には入れないことになっているからだ。


そう、まだ俺たちは昇級をしていなかった。


美人受付嬢サーシリアによると、ハンター協会は2~3日間戦後処理に集中するとのことで、俺関係のあれこれは処理が一段落してから対応するとのことであった。


「絶対にロンネスクから離れないでくださいね(ニッコリ)」と念を押されたが、今日中に帰る予定だから問題はないだろう。


もはや懐かしく感じる『逢魔の森』のモンスターを2人して駆逐しながら、魔法が使えそうな場所を探す。


千里眼を使いつつ2時間程歩き回って、ちょっとした森の広場にたどり着くことができた。




「魔法を見せる前にちょっと確認をしたいんだが、属性魔法の属性というのは4つしかないものなのか?」


俺の質問に、わくわく顔のネイミリアが答える。


「はいそうです。火、水、風、地の四大属性ですね。なぜそんなことをお聞きになるんですか?」


「実は今俺は属性魔法が7つ使えるんだよ。ステータス表記では『七大属性魔法』になっているんだ。しかもこれはさらに増える可能性がある」


「は……ええっ!? どういうことですか!?」


「四大属性のほかに、雷、金、光と3つ増えてるんだ」


「雷魔法は属性魔法なんですか!?それに金、光とは……」


「金は昨日見せた金属を生成する属性みたいだ。光はこれ」


俺は手の先に光球を発生させる。


「ふわぁ……、すごいです……。きれい……」


ネイミリアの目が光球に負けないくらいキラキラする。


「ちょっと光をやってみようか。多分雷より簡単だと思う」


「あ、はい……っ!」


俺が発生させた光球をサンプルにして、光のイメージを強く持つようにネイミリアにアドバイスする。


しばらく魔力を練っていたネイミリアの手の上に、不意にぼんやりとした光の球が発生する。


「あ……できました……っ! やった! やりました師匠!」


「おめでとう。いや、すごいね……」


多分まだ理論が確立していない魔法を、こんな適当なアドバイスで習得してしまうネイミリアは本物の天才である。


「ステータスを確認してみるといいよ」


「はい、ステータス。……えっ!?『五大属性魔法』になってます! うそっ、すごいっ」


ぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶ魔法マニア少女。


あ、そんなに激しく跳ねると短いスカートが(ひるがえ)って……俺は慌てて目をそらした。


偶然見えただけなのに、長女に「スカートの中を見るキモい父親」認定されたあの日の胃の痛みを俺は一生忘れない……いや一生が終わっても忘れてない。


「それでどうしようか。このまま雷魔法に挑戦するかい? それとも魔法を見る方を優先する?」


「えっ、はい、あ、師匠にとっては属性が増えるのは大したことじゃないんですね。私我を忘れて……」


「あっごめん、そうだよね、それは重大なことだよ」


恐らく『四大属性』という考えは、俺が思っている以上にこの世界に強固に根付いている枠組みのはずだ。


それが(くつがえ)る衝撃は、魔法マニアのネイミリアにとっては、天地がひっくり返るほどの大きさだろう。


「いえ、大丈夫です。属性についての考察は宿でもできますから。今は師匠の使った魔法を見る方が先です」


「……そうか。じゃあ見せよう。と言っても、実はヒュドラ退治にはあまり魔法は使わなかったんだけどね」


そう言いつつ俺はヒュドラの首を落とす時に使用した、超能力との合わせ技で実現した熱線魔法を披露した。


「これは……『炎龍焦天刃(しょうてんじん)』ですかっ!?」


というわけで、色々と説明が大変なことになった。

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