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月並みな人生を歩んでいたおっさんがゲーム的な異世界に飛ばされて思慮深く生きつつやっぱり無双したりする話  作者: 次佐 駆人


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26章  森の果て  07

 というわけで『研究所』は基本的にそのままにして、エルフの里にて里長たちに報告を済ませてから、俺たちは一旦ロンネスクに戻った。


 実は俺が転移魔法を使ったところ、あの無感情なゼロが


『転移魔法は人間が単体で行使できる魔法ではありません。マスターの魔力の出力は、圧縮率、魔力量ともに高圧縮魔導炉を超えていると予測されます』


とかなり食い気味に迫ってきたのだ。


『マスターのステータスへのアクセス許可をお願いします。データ自体はマスター権限取得時にこちらに開示されていますが、許可がなければアクセスできないのです』


 とのことなので、秘密にすることを前提に許可したら、『――神』とひとこと発してそのままフリーズしてしまった。


 いや、ソリーン達を帰した後で良かった。とんでもないことを口にするアンドロイド少女である。


 ともかくフリーズが解除されるまで家で様子を見ることにしたのだが……


「どうしてヴァルキュリアゼロさんは師匠にひざまずいているんですか?」


「さあ?」


 フリーズから立ち直った途端、ゼロは片膝を折って恭順の姿勢を取ったまま動かなくなってしまったのだ。ネイミリアの疑問は俺の疑問でもあった。


「あ~、なぜそんな態度を取るのか説明して欲しいんだが」


『当機の持つデータと照合の結果、マスターを、イスマール魔導帝国学術機構が推定した『管理神』に近い存在だと理解しました』


「は……?」


『当機は今後、学術機構が制定した『管理神』応対プログラムに従って行動します』


「それって普通のマスター権限とはどう違うんだ?」


『当機の『対大厄災兵器モード』をアンロックします。膨大な魔力を必要とする機能ですが、『管理神』相当の能力を持つマスターなら扱えます』


「ああ、なるほど……?」


 うん、よく分からないが、ゼロはもともと『管理神』とかいう存在を支援するために造られてたってことだろうか。俺がその『管理神』であるかはともかく……いや、絶対に違うんだが……その『対大厄災兵器モード』を使える状態になったと理解してよさそうだ。


 とすると、これで『大厄災』を倒す『フラグ』が成立したと考えていいだろう。


「ゼロ、俺はその『管理神』とかとは関係のない人間だとは言っておく。ただその応対プログラムは継続して欲しい」


『了解しました、マイマスター』


 これ多分彼女の中で俺の扱いは変わらないんだろうな。その辺りはもう俺も諦めモードである。


 さて、それじゃそろそろ『大厄災』に関する情報を聞きたいところだが……一度俺の方で聞いてから整理して女王陛下に伝えた方がいいかもしれないな。


 なにしろゼロにそのまま喋らせると、この世界の人間だと理解不能な概念が次々出てくるのだ。さすがに聡明な女王陛下でも聞くだけで疲れてしまうだろう。


「ゼロ、『大厄災』の情報を聞かせてもらいたい。俺の部屋で聞くからついて来てくれ」


『はい、マイマスター』


 俺が部屋に行こうとするとネイミリアが声を上げた。


「師匠、ここで聞いちゃダメなんですか?」


「ああ、この先は国家的に重要な情報になるからね。さすがにネイミリアたちであっても聞かせられないんだ」


「えっと、そういうことではなくで、ヴァルキュリアゼロさんと部屋で2人きりになるんですか?」


「え? ……あ」


 見ると、サーシリア嬢やエイミ、セラフィまで何か言いたそうな顔をしていた。ラトラとシルフィはよく分かってない感じだが……。


 それはともかく、言われてみればビキニ姿の少女を部屋に連れ込むおじさんそのものであるのは確かであった。


「ああいや、別に話を聞くだけだから。今言ったように国家機密になるから仕方なく……」


 ちょっと焦りつつ俺が弁解しようとすると、サーシリア嬢が首を横に振ってなだめてくれた。


「別にケイイチロウさんが何かするとは思ってませんから大丈夫です。ただその、今から加えるとなると報告が必要となるので……エイミさんが大変だなと思っただけです」


「加える……?」


「師匠は放っておいても女性を惹きつけるところがあるから、2人きりになる時は気を付けたほうがいいと思います」


 ネイミリアが言い直してくれて納得した。それは自分も何となく理解していたところである。ただなぜそれを「加える」と言われたのかは意味が分からないが……。


「分かった、気を付けるよ。まあゼロは大丈夫だと思うけどね。そういう感情的なものは持ってないんじゃないかな」


「えっ!? ケイイチロウさん、それはさすがにヒドいと思いますよ」


 とサーシリア嬢に(とが)められてしまったが、やはりこの世界の人間が『アンドロイド』という存在を理解するのは難しいのかもしれないな。ゼロを普通の人間として扱わないと人でなし判定されてしまいそうだ。


「ごめん、今のは俺の失言だったよ。とにかく気を付けるから」


 俺は謝っておいて、ゼロを連れて自分の部屋に連れていった。


『マスター、当機には疑似感情回路と学習能力が備わっています。また研究所にてマスターが必要とする機能を追加することも可能です。なお、人類の個体数が減少した時に備えて生殖機能も備えています』


 ゼロさん、どうして今その情報を開示したんでしょうか?


 さっきの会話から何を学習したのか聞かせていただいても……いや、やっぱりいいです。


 『大厄災』の話だけ聞かせてください。できるだけ事務的に。

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