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月並みな人生を歩んでいたおっさんがゲーム的な異世界に飛ばされて思慮深く生きつつやっぱり無双したりする話  作者: 次佐 駆人


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2章 城塞都市ロンネスク 11

城門の近くまで来た時、50人ほどのハンターの一団が数台の馬車を伴って出ていくのが見えた。


方角はオークの谷の方である。


朝から対応をしていたはずなので、追加の部隊だろうか。


何か状況に変化があったのかもしれない。


気になったので協会に行ってみると、ホール内は朝のものものしさに慌ただしさが加わっていた。


「アンタ、クスノキだったか。4級に上がったんだろ?」


声をかけて来たのは、ゴブリン狩りの前に一度話をした中年ハンターだ。


「ええ、昨日上がりましたが、伝わるのが早いですね」


各自のハンターランクは協会の守秘義務外だというのは聞いている。


「目立つ新人はさすがにチェックされるということさ。さっきオーガの件で4級にも協力要請が出されたんだ。美人受付嬢お気に入りのお前さんは断れないから準備しといた方がいいぞ」


2日で4級になった以上『目立つ』は仕方ないとしても『美人受付嬢のお気に入り』は事実と反すると抗議したい。


「……分かりました、詳細は掲示板に?」


「ああ、準備できしだい各自出発らしいぞ。こんなのはめったにないから気をつけな」


この中年ハンター(前世の俺よりは年下だが)はいい人だ、と俺の中で決定。


掲示を見ると、オークとオーガが大量発生し、それぞれの上位個体も確認されたため、急遽(きゅうきょ)戦力の増強が必要になったとある。


都市所属の騎士団が別件で出動が遅れるため、主にオークの対処のために4級に参加要請が出されたようだ。


要請というより協会権限で協会所属のハンターは半強制参加のようだ。お気に入りは関係なかったか。


「クスノキ様、どうされますか?」


ネイミリアが見上げてくる。俺はハンター3日目だが、彼女は初日だ。


「参加せざるをえないようだ。俺は直ぐ出るけど、ネイミリアは宿に戻るといい」


「クスノキ様が実際に戦う姿を見ないわけには参りません。お供します」


「いや、俺もこういうのは初めてなんだ。さすがによそさまのお嬢さんを連れて行くわけにはいかない」


「私は集団の戦いにも慣れています。オーガ相手程度なら邪魔にはなりません」


そういえば、森育ちのこの娘の方が多分俺より戦闘経験は上なんだよな。


あのステータスなら遠距離で魔法を撃つだけだろうし、確かに問題はない気がする。


と言うより、むしろ戦力としては必要な人物まである。


でも見た目は可憐な美少女なんだよな……。


「……分かった。必要な道具があったら買うから教えてほしい」


「はいっ!よろしくお願いします」


忙しそうにしているサーシリア嬢を呼び止めて参加を告げる。


険しい顔をしていた美人受付嬢が一瞬でニッコリ顔に変わった。


ああ、これは仕事が増える前兆ですね。会社勤め30年の勘を舐めてはいけない。


「ケイイチロウ様、よかった!申し訳ありませんがちょっとこちらにお願いします」


奥の部屋に行くと、ポーションのビンが詰まった箱が山積みになっている。


「もしかしてこれを運べということですか?」


「ケイイチロウ様の協力を一度お断りしておきながら申し訳ありません。可能であれば、例のスキルでの協力をお願いしたく……」


サーシリア嬢が申し訳なさそうな顔で頭を下げる。


女性にそういう態度に出られたら、断るのが難しいのは世の常である。


しかしこれに関しては、しっかりと交渉が必要だろう。


「追加の報酬がいただけるなら……」


「もちろんお支払いします! 副支部長も了承済みですので必ず!」


俺の手を両手で握って食い気味に迫ってくる美人受付嬢の迫力に、ネイミリアは(かたわ)らで目を丸くする。


やり手受付嬢も、今日はちょっと追い詰められてた感じか。


「わかりました。すぐに収納して構いませんか?」


「はい、すぐにお願いできればと思うのですが……」


サーシリア嬢がネイミリアの方をちらりと見たのは、空間魔法を見せていいのか、ということだろう。


「彼女は大丈夫です」


言いながらインベントリを展開、俺はポーション入りの箱を詰め込んでいく。


空中に開いた黒い穴を見て、ネイミリアは目をキラキラさせて「これはっ、空間魔法……っ!?」とかつぶやいている。


一方でサーシリア嬢は「彼女はいいんだ……」とぼそっと言っていたが、どういう意味だろうか。

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