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月並みな人生を歩んでいたおっさんがゲーム的な異世界に飛ばされて思慮深く生きつつやっぱり無双したりする話  作者: 次佐 駆人


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24章 悪神暗躍(後編)  09

 マイラ嬢の館に戻ると、国王陛下やオルトロット公爵以下、リースベンの重鎮の面々が出迎えてくれた。


 丁重に礼を述べた後、国王陛下はすこし疲れたような顔で俺に言った。


「今回の出来事はあまりに想像の埒外(らちがい)にあるゆえ、クスノキ卿には国王としてどう報いなければならぬのか見当もつかぬ。今後サヴォイアとの交渉をさせてもらうが、その時に決めるということでよいだろうか?」


 国王陛下もこの急展開にはさすがについていけていない様子である。城も破壊されてしまったし、一応は戦争もしたのだからサヴォイア、ローシャン両国との戦後交渉もこの後大変だろう。


 個人なら『厄災』に操られていたとなれば情状酌量の余地もあるが、国家単位となるとそうもいかないというのが政治の世界である。


「私個人に関しましては、女王陛下から相応の報酬をいただくことになっておりますし、今回の討伐に関しましてはマイラ様のお力もお借りしております。そのあたりをご勘案の上お考えいただければと思います」


 報酬に関しては一応気を使っておくのがいいだろう。あまり欲をかくとろくなことがないし、下手をするとリースベンの王族を嫁に……などと言われかねない。


 マイラ嬢がずっとちらちらと俺の方を見ながら父上のオルトロット公爵と何か話をしているのもちょっと怖いし。


「うむ。貴殿の武勇と聡明さに敬意を表する。可能ならば宴でも開きたいところであるが、これは先に送らせてもらいたい。いずれ必ず報いるゆえ、しばし待たれよ」


「承知いたしました。陛下のお心遣いに感謝いたします。それでは、私はこのままサヴォイアへおいとまさせていただきます」


 俺は一礼して、国王の前の辞した。


「あ、お待ちを、ケイイチロウ様。今日くらいは館にてお休みください」


 そのまま館を離れようとする俺を、マイラ嬢が追いかけてきた。


 マイラ嬢の言うことももっともなのだが、向こうの方で国王とオルトロット公爵がなんかひそひそ話をしているのが俺としては気になってしかたがない。


 ここに一晩いると、俺の胃に深刻なダメージが入る話が持ち上がりそうな予感がひしひしとする。


「マイラ様、申し訳ありません。サヴォイアの方で少し気になることがありまして、急ぎ戻らねばならないのです」


「それは……そうでしょうね。ケイイチロウ様を待っている方も大勢いらっしゃると聞いておりますし」


 あ~そのお話聞いてしまいましたか。まあ戻りたいのは完全に別件なんですけどね。


 と思ってると、マイラ嬢は真剣な顔で俺を見据えた。


「それでもわたくしの気持ちは変わりません。それだけは覚えておいてくださませ」


「は……承知いたしました」


 結局胃に深刻なダメージを食らいつつ、俺はサヴォイアに向けて転移魔法を発動したのだった。

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