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月並みな人生を歩んでいたおっさんがゲーム的な異世界に飛ばされて思慮深く生きつつやっぱり無双したりする話  作者: 次佐 駆人


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1章 → 2章  

―― 「逢魔の森」、とある木陰


「あれは……まさか『水龍螺旋衝』!?

あの方はいったい……」




―― 城塞都市ロンネスク 都市騎士団団長室


城塞都市ロンネスクは、王都に次いで2番目の規模を誇る都市である。


交易都市としての側面を持つロンネスクだが、その大きな特産品のひとつが、東に広がる『逢魔(おうま)の森』で獲れるモンスターの素材であった。


とりわけ『逢魔の森』産の魔結晶は質が高く、国内はもとより他国でも引き合いが多い。


基本は都市直属の採取部隊が森に入りモンスターを狩っているが、フリーのハンターも多数活動しており、ロンネスクの産業の一翼を(にな)っている。


一方で、モンスターが湧き出る森の側に作られた都市である以上、当然のことながらそこにはモンスターから都市を守る戦力も常駐していた。


それがいわゆる『都市騎士団』である。



「騎士コーエン、急ぎの報告のため入室します!」


その日、都市騎士団の団長室に、息を切らせた若い騎士が入ってきた。


「何か?」


答えたのは団長室の主、都市騎士団団長アメリア・ニールセン。


真紅の髪を後ろでまとめた、眼光鋭い長身の女騎士である。


24という年齢にそぐわない歴戦の雰囲気をまとう団長を前に、騎士コーエンは直立不動の姿勢をとる。


「はっ! 観測官より報告! さきほど森の上空にワイバーンの成体が飛来。地上に向けて炎のブレスを射出しましたが、同時に地上より射出された水のブレスと思わしき攻撃により撃墜されたとのことです!」


美貌の女騎士団長は、その報告に切れ長の目を細めた。


ワイバーンの成体は、もし都市に飛来すれば騎士団総出の案件となるクラスのモンスターである。


もっともそれが討伐されたという報告なので、危急の話ではない。


ただ問題は……


「水のブレスを放ったモンスターは確認していないのか?」


「森の中より射出されたとだけ聞いております」


「その水のブレスは何度射出されたのか」


「一度だけ観測したとのことであります」


ワイバーンを一撃で落とせるほどの水のブレスを吐くモンスター、そんなものが逢魔の森に棲息するという話は聞いた事がない。


強力な未知のモンスターの出現ともなれば、下手をするとワイバーン以上の脅威となる。


「報告は確かに聞いた。貴殿は観測官の元に戻り、報告書をまとめて一刻ののちに団長室に来るよう伝えよ」


「はっ!」


若い騎士が退出すると、アメリアは秘書官を呼び、会議の招集を告げた。


「モンスターの出現頻度の上昇と何か関係があるのか……? また調査団を派遣するなどという話にならなければいいが」


秘書官を見送りながら、女騎士団長は小さく溜息をついた。

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