表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/251

プロローグ

辺り一面が白い光に包まれていた。


俺はその乳白色の空間の中で、一人ぽつんとたたずんでいた。


いや、たたずんでいるのかどうかは分からない。


何しろ今、俺には身体がなかった。


『病院のベッドにいたはずなんだが……』


その言葉は声にはならなかった。


声を出す口もなかった。




楠 圭一郎、それが自分の名前だ。


地元の高校大学を出て地元に就職。


職場で妻と知り合い、子ども二人を授かる。


郊外に建てた家のローンが終わり、長男の就職が決まったところでガンが発覚。


1年程の闘病ののち、薬石効なく永眠……。


そんな人生だったはずだ。




『……サンプル12番、クスノキケイイチロウの覚醒を観測』


一面の白い光の輝度が下がったと思うと、同時に唐突に声が脳内?に響いた。


『サンプル12番に所定のスキルを付与。生前のスキルは継続付与。転送先の肉体の生成を完了』


極めて機械的な女性の声だ。


『あの、自分は今どうなっているんでしょうか?』


突然の展開に一瞬呆けた後、俺は声に向かって質問を投げかけた。


それなりに長い人生を歩んできたが、さすがにこの状況は何が何だか分からない。


『転送先世界との同調に成功。サンプル12番の単独転送を開始』


しかし声は、俺の質問などまるでなかったかのように機械的に言葉を続けた。


乳白色の空間が、いきなりその輝きを増す。


光は俺の意識を塗りつぶし……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] メタなやり取りを垂れ流す作者の多い転生時を機械的に進めた点は高評価
[良い点] これを読むのは初めてで、この小説が大好きです。そのまま書き続けてください。 [一言] 主人公の奥さんも将来異世界転生してくれるといいな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ