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超現実的な魔導書  作者: 如月 蓮
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第8話:成果

「……んん」


俺が眠ってからどれだけの時間が経過したのだろう。何故か頭から温もりを感じるし、髪を撫でられている感覚がした。これは一体誰の手だ?


「ッ!?──いっってえ!!」


俺が飛び起きようとした時、俺のおでこと俺の頭を撫でていた者のおでこが勢いよくぶつかった。


「あいたたた……もう痛いじゃないですか!たんこぶでもできたらどうするんですか!?」


プンプンと怒っている女性が、俺を膝枕してくれていたということなのだろうか?

それよりも、こいつの名前……。


「……『闇の継承者』、エリス・リード……」

「あら。私から名乗った覚えはないはずですが?……ああいえ、そういう事ですか。視えるようになったのですね」


『闇の継承者』は納得したように相槌を打つ。

俺の成長を喜んでいるようにも見えて、俺は少し恥ずかしくなった。


「……エリス・リード。これがおまえの本名だ」

「はい、改めまして私の名はエリス。エリス・リードと言います。以後お見知りおきを」


エリスと名乗った『闇の継承者』は俺にむかってぺこりとお辞儀をした。


「膝枕したのもおまえが?」

「はい、あのままだと風邪ひきますからね。それに……」

「?」

「"貴方を見ているとなんだか懐かしい気持ちになるんです"」


それは俺も同じだ。『時の継承者』の時だって、身に覚えのない奴のはずなのに向こうは俺の事を知っているかのような口振りだった。それに対して俺も少しだけだが『前にどこかで会った』ような感覚がした。


「既知感、か……」

「まあ何はともあれ無事能力が成長したようで良かったです」

「ありがとな、エリス」

「礼には及びませんよ」


エリスは顎に手を当ててくすりと笑った。まるで当たり前かのように。それが自分の責務とでも言うように。


「そして奴を倒す為に必要な物は後1つです」

「なんだ?それは」

「"『創造主』の棺桶に入っている私物を手に入れる事です"」

「棺桶……?」


棺桶?確か俺の知っている限りじゃ『創造主』と呼ばれる存在はもうこの世に居ない。そもそも遺体がないから棺桶が存在しているというのは一体どういう理屈なのだろう?


「棺桶は当人の遺体を収めるだけではありませんよ。その者が大切にしている遺品だって収める事はそんなに珍しい事じゃありませんから」

「それで、その棺桶はどこにあるんだ?」


俺の問いにエリスは人差し指を上に向けて、


「神々が住まう地、『神界』にあります」

「そんな所にどうやって行くんだ?」

「普通に行けますよ?」

「え……?」


さも当然かのように言ってのけるエリスに俺は困惑した。


「ですから普通に上へ向かって進むのです。私が案内しますから着いて来てください」

「わ、分かった……」


何がなんだか分からない状況に戸惑いつつも、俺はエリスに着いて行く事にした。


(っと、グニトに連絡しておくか)


俺はポケットからスマホと取り出し、『おまえが紹介してくれた人と『神界』に行ってくる』と連絡した。



行間6


俺がユグドラシルから出た後、『水の継承者』から水の『源流能力オリジンスキル』を奪っていた。


「残るパーツはあと2つか」


俺は自分の端末に記録しているパーツの一覧を確認する。


「『創造主』の棺桶の中にある私物……これだな」


俺がペン、奴が日記だとすると──。


「決戦も近いな、叶世」


俺は思わず口角を上げ、苦笑した。

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