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超現実的な魔導書  作者: 如月 蓮
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第6話:2人の邂逅

俺が『ユグドラシル』へ辿り着くと、全身黒の衣服に身を包んだ男が佇んでいた。

その男の雰囲気が俺に似ているように感じるのは気のせいだろうか?

俺は『情報閲覧ブラウズインフォメーション』を発動し、そいつの情報を覗き込もうとした。が──


「"勝手に人の個人情報を覗き見るのはどうかと思うがね"」

「……ッ!?」


嘘だ。そんな……俺の眼に映る情報は相手には伝わらないはずだ。だがコイツは『人の個人情報を覗き見る』と言った。つまり──


(コイツには俺が自分の情報を見られたと認識しているのか!?)

「随分驚いているようだな。確かに『普通』ならおまえに自分の情報を閲覧されようが気が付かない。なら何故俺は気付けたのか、そう思っているだろ?」


まるで心を読まれているかのような気分になった。それでもコイツの異質さだけは知らなくてはならない。


「おまえが噂の『源流狩り《オリジンハンター》』か?」

「ああ、そうだ。名はライト=アジ、とある国の元国王だ。おまえは?」


コイツはあろう事かすんなり俺の質問に答えた。律儀な奴なのか、それともただ情報を覗き込まれるのが嫌なのか。こっちから質問したので、俺も名乗るのが筋だろう。


「神無月叶世……暗殺者だ」

「その白い肌、白い髪……"そうかおまえが"……」

「?」

「気にするな」


奴の言ってる意味が分からなかったが、これだけは聞いておかなくてはならない。


「……おまえの目的はなんだ?一体何をするつもりでいる。『セカイ』の均衡を保っていた『源主』の後継者共の力を奪い取ってまで成し遂げたいことでもあるのか?」


源主=源流とするなら、コイツは『源主の力を引き継いだ者のみを狩っているわけだが。それを言えば俺も『時の源主』の後継者を倒し、その能力を継承した。だが俺がコイツと同じ行為をしたのはその1件だけ。しかも吹っ掛けてきたのは向こうだった。


俺の場合は正当防衛として仕方なかったとしても、コイツは自分の意思で、しかも的確に源主の力を継承した者を撃破して力を取得している。


コイツがそうまで叶えたい願いはなんだ?


「"俺はこの『セカイ』、いや……『俺たち』場合は『呪縛』か。俺達に解放されたいんだ"その為に、この『ユグドラシル』内にある『風の源流』の欠片を手に入れる」

「何を……」

「周回遅れか。まあおまえは俺と同じ経験をしているわけではないから当然と言えば当然か」


そんな訳も分からないことを口にする。だがそんなことは今はどうでもいい。問題なのはこれ以上コイツの好きにさせちゃいけないという事だけだ。


「……おまえはここで止める!」

「はあ。"やはりこうなる『運命』なのか"」


奴はどこからともなく剣を創り出し、その刃先を俺に向けた。


俺もそれに呼応して、懐から短剣を抜く。


「行くぞ"兄弟"!」

「ッ!?」


またしても奴の意味不明な台詞に戸惑い、一瞬の隙を生んでしまった。奴はその隙を逃さない。


「あ、がッ!?ゴボッ!!!」


腹を一撃で貫かれ、よろけた所を蹴り飛ばされた。


「反応が遅いな。それに脆い。本当に俺と『同じ』なのか?」


そう言われても、こっちはおまえと会ったのは今回が初めてだしおまえと一緒に居た記憶もないのに『同じ』というのは一体どういう理屈なのだろう?


俺はフラフラと立ち上がりながら、肉体が再生する際に伴う激痛に耐える。

肉体が完治した瞬間『時間加速』を使い、奴との距離を一気に詰め、短剣を振り翳す。

しかし──


「甘い」


そんな軽い声が俺の耳を打つ。


振り翳した短剣は奴には届かなかった。見えざるモノに止められているような感覚がした。


「攻撃ってのはこうやるんだよ」


そして奴は俺の顔面を掴み、地面へ思いっきり叩き付けた。


「心配するな。おまえは俺と同じで"死なない。いや、死ねない"」

「な……にを」

「おまえの体の構造は俺と同じだ。なら1回死んでみるか?俺が言っても信じないだろ?」

「信じられる……わけ、ないだろうが!」

「なら死ね」


その言葉を最後に俺の意識がというちぎれる音がした。



行間5


俺が無力な馬鹿にトドメを刺した瞬間、奴の姿が砂のように消えた。


(やはりか)


おおかた俺の予想通り。まだ奴の気配を感じる。完全に死んではいない、どこか知っている場所に転移したんだろう。


「なら貰っていくか」


『ユグドラシル』が全力で死守している部屋に力づくで侵入し、風の源流である欠片を手に入れ、これでまた俺の目標に一歩近付いた。


(奴は再び俺に挑んでくるのかね)


勘だが、次に会った時。その時こそ俺の願いがようやく叶うと……そう思って仕方がなかった。

読者の皆様こんばんは、作者の蓮です。初の戦闘バトルは短過ぎたと思いますが。やはり自分一人で表現するのにも限界がありますね。今回から本格的に終わった物語が動いていく感じになります。今後もお楽しみに

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