エピローグ:始まりそして終わり
「これで、望み通りか?」
「"これでやっと…………終われるのか"」
ライトは満足そうな表情をしながら自分の人生という『物語』が終わる事を悟る。
「創造により破壊を生み出すおまえのアトランティツ、破壊より創造を生み出す俺のアカシックレコード……どちらも副産物だ。だが、異例のこの2つが『プログラム』に記録された……」
奴……いや、ライトは俺の頬に手を当てながら苦笑する。
「おまえは自分の過去を記録していく存在。本当に日記だな」
「……そういうおまえは記録として書き留める俺とは真逆に、記憶したものをペンで書くのがおまえだ」
その言葉にまたしてもライトは少し微笑み、
「俺はおまえより先にこの呪縛から開放される。いずれおまえがこっちに来る事があれば、また会おう」
今まで以上に憎たらしく思える程満足そうにライト=アジという存在が消えた。
ライトの消滅と共に俺はこう告げた。
「"これでようやく始まるんだ"」
その時ライトを倒した影響が顔を出てきた。
《報告:ライト=アジを撃破した事により、アトランティツの最大出力が0.1%から1%に上昇しました》
《報告:ライト=アジを撃破した事により、『情報閲覧』が進化し、過去から現在までの情報が閲覧可能》
《報告:ライト=アジを撃破した事により、ライト=アジに関する情報を閲覧できます。閲覧しますか?》
俺が『実行』と言おうとした瞬間。
瓦礫からあの時のスライムが這い出てきた。
「……はは。このスライムには一生勝てねえな」
「(*´∇`*)」
スライムは俺に軽くドヤ顔を決めた後、どこかへ消えてしまった。
あの攻撃をモロに受けてさっきの完全復活までの時間が10分だった。俺にはあのスライムに勝てるビジョンがまったく思い浮かばなかった。
その時、後回しにしていたアトランティツの情報が一気に流れてきた。多過ぎるので要約すると──。
・拳や体に纏わせたら、肉体の崩壊と再生が繰り返されて死ぬほどの激痛が襲う
・消したものの存在は、消した本人も何を消したのかさえ覚えていない
・そもそも当てないと意味がない
・使用中は脳内で複雑な演算を行っているから維持が難しい(本人の場合最大1分)
これを見た俺はすぐにこう決心した。
「万が一の時以外使わないでおこう」
そしてライトに関する記憶の閲覧を開始した。