第12話:決着
俺はゆっくりと振り返り、奴の居る方へ目を向ける。
「終わりにしようぜ」
「……ああ」
奴は『禁忌教典』を使い、『セカイ』を破壊しうる程のエネルギーを生み出し俺達の方に向けて振り落とす。
俺は拳にアトランティツのエネルギーを纏わせ迎え撃とうとした瞬間──。
「ギリギリ間に合ったわ」
そんな声が後ろからして、振り返るとそこに居たのは──
「全能神……?」
「あら。貴方、私の事を知ってるの?それより今はアイツを止めるわよ!」
その外見はかつて森でゴブリンと腕相撲をして圧勝していた13歳くらいの少女に他ならなかった。だが、その魂の質量や神格としては間違いなく全能神そのものだ。あの時は眼を使いこなせていなかったから気が付かなかった。
「よくも私の信仰者達を傷つけたわね!もうこれ以上指一本たりとも触らせない!!」
「ほざくな、紛い物のカミサマ風情が!!」
今は全能神の『ウリエル』と呼ばれる能力でなんとか防げているが、徐々にヒビが入っていく。
(奴の間合いに入れない!)
そして今まさに『ウリエル』がライトの『セカイ』破壊による攻撃で壊されようとした瞬間、横から小さな影が『禁忌教典』の攻撃と激突して霧散した。
その正体は、
「レベル300の……スライム?」
なんと俺が森で遭遇したあの時のスライムだった。
だが、スライムはもう既にさっきの相打ちでバラバラになった。
「小賢しい!次で最後にしてやる!!」
『セカイ』全体を覆い尽くす程の巨大な太陽とも言えるエネルギーの集合体を生成し、こちらに狙いを定めた。
「これで終わりだアアアアッッッッ!!!!」
《報告:◾️◾️◾️の干渉によりキャンセル》
「なッ!?」
俺は懐から短剣を抜き、アトランティツのエネルギーを付与する。
そして、ライトの胸に向けてその短剣を突き刺した。