第9話:邂逅再び
『神界』に着いた俺とエリスは、息を飲んだ。
見渡す限り全てが純白に染まっていて、ここが天国かと勘違いしてしまう程に美しい場所である『神界』に目を奪われていると、エリスが俺の肩を軽く叩いて、
「ここから先は貴方一人で行けますか?」
「えっ。あ、ああ。もう大丈夫」
「それと叶世さん、気付いてしますか?私との修行の中、"自分にも40種類のうちの1つである『創造』があるという事に"」
「…………………………………………え?」
俺は一瞬固まってしまった。今まで名前と能力しか視れなかった『情報閲覧』。だが成長した今なら、もしかしたら──。
そう思い俺は自分の情報を確認した。そうすると──
「……これ、は?」
「理解したようですね」
「しかも欠片ではなく塊として存在している。でもこれは今の俺じゃ扱えない、ただそこにあるだけだ」
「使える日が来るといいですね」
「そうだな」
そんな話をしながら、1つの城の前まで来た。
だがそこに1つの男の影があった。城の前で待ち受けていたのは──。
「ライト……アジ」
(……叶世さん、これを)
(これは?)
(私が担う闇の『源流能力』です)
その台詞に俺は困惑した。自分の存在を象徴する代物を俺に渡すというか……!?
(貴方が奴に勝つにはこれがないと!!)
(……分かった)
エリスから黒い球体となった能力の結晶を受け取り、エリスは『神界』から退場した。
「話し合いは終わったか?」
「っ」
奴は俺とエリスとのやり取りに気付いていた。ならもう小細工はできない。
「まずはおまえの中にあるものを貰うとしよう!」
「あッが……!?」
俺が反応するより速く、奴は俺の胸に手を突っ込み中にある『創造能力』を奪い取り、自分の中へ取り込んだ。
「お、まえ……!!」
「感謝するぞ叶世!これで全てのパーツが揃った。俺の悲願がようやく叶うッ!!」
「ぐッ……!」
奴は地面に倒れている俺に見向きもしないでどこかへ去ってしまった。
吐血した口元を抑え、再生が終わるのを待つ。
「……づっ。奴は全てのパーツは揃ったと言っていたな。まさか、奴は『創造主』の棺桶から……」
もしそうなら時間がない。奴の目的が全くもって不明だが、もうこれ以上アイツの好きにはさせてはいけない。
「とりあえず俺も棺桶のある場所へ急がないと!」