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お話の進む速度がゆっくりです。。
俺とノアが7歳を過ぎてから、月に1回モイワの森を抜けたところで待つ王宮の騎士への報告が義務づけられるようになった。
今日も指定された報告日だった。
「こんにちは、ノエル様。わざわざお越しいただきありがとうございます。」
爽やかな笑顔で騎士が俺に向かって挨拶する。
(ちっ‼︎何がノエル様、だ!ふざけやがって!どうせ内心では俺に敬語を使わなきゃいけないことに不満タラタラなくせに。こっちだって王子様扱いなんてされても気色わりぃだけなんだよ!)
「ああ。今月はお前なのか。俺たちはまだ生きてる。報告は以上だ。帰れ。」
「顔を覚えていただけていたのですか!ありがとうございます。カイ・ベイマールと申します。今後ももう1人の騎士、アンナと交代で伺わせていただきますのでよろしくお願い致します。」
背筋をピンッと伸ばし、胸に手をあててこちらを真っ直ぐ見ている。
「名前とかどうでもいい。」
「俺たちはこの森から出ることを許されていない。お前ともう1人の騎士とも、月に1回ここで、義務として会っているだけだ。森に住む王子などいるはずがない。だからお前たちも俺を王子として扱う必要はない。」
いら立ちながらはっきりと伝えた。
「俺はこれで帰る。父らしい人と母らしい人に災いは生きている、心配なら殺しにこいとでも報告しておけ。じゃあな。」
俺はクルリとカイに背を向け、森へ帰るべく歩き始めた。
「お待ちください!ノエル様!」
呼び止められたことにいら立ちながら俺は答えた。
「まだ何かあるのか」
「はい!この月1回の報告会が始まってからもうすぐ1年が経ちますが、いまだにノア様とはどの騎士もお会いしておりません。陛下と王妃様もノア様に何かあったのではないかと憂いておられます。そこで、来月の報告会にはノア様も顔を見せるように、と陛下から言付かっております。」
一瞬で周囲の空気が凍りつく。
「なに!!?」
背後に絶対零度のブリザードを吹かせながら、目の前の騎士を睨みつけた。
「ふざけるな‼︎お前たちにノアを会わせてたまるか‼︎」
「なぜですか?なぜ会わせられないのですか?」
怒りのオーラをまるで感じていないかのように、カイは静かに尋ねた。
「会わせられないなんて言ってないだろうが!あわせたくかないと言ってるんだ‼︎帰れ‼︎どうしてもノアに会いたいというなら俺たち2人で王宮に出向いて、あいつらに直接2人の顔を拝ませてやるよ‼︎国に災いが降りかかる覚悟ができたならいつでも呼べとあいつらに伝えろ!いいな!」
反論は許さないという目で睨みつける。
もうすぐ8歳というまだまだ子どもの年だが、こういうときの迫力はさすが王家の人間だと言わざるおえない。
「分かりました。ノエル様のお言葉をしっかりお伝えいたします。引き止めてしまい申し訳ありませんでした。」
フンッ‼︎
ノエルは今度こそ森へ向かってドスドスと怒りを滲ませながら歩き出した。
カイはそんなノエルの背中を見送りながら…
「ノア様にも会ってみたい…」
と、つぶやくのだった。。
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