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少しずつもの語りを進めていきます。
はぁ……。
ノアと手をつなぎながら山小屋へ帰り、自分の部屋へと戻ったノエルは再び深いため息をついた。
「あいつ絶対に分かってない」
はぁ……。
何がお犬さまだ!
何がお馬さんだ!
「あれが普通の犬と馬に見えるはずあるか!」
怒りをにじませながら呟かずにはいられない。
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ノアと俺はこんな山小屋に俺達と乳母の3人で暮らしているが、れっきとしたドーウ王国の第一王子と第一王女だ。
だが、災いをもたらす双子だからという理由だけで、この王宮に隣接した、未開の森と呼ばれるモイワの森に追いやられ産まれたときからずっと暮らしている。
最低限の食材や衣服、生活必需品などは、王宮から俺達の担当とされる第一騎士団がひと月に一回届けに来ている。こう言えば聞こえはいいが、単純に俺達が生きているか死んでいるか確認しているだけだろう。
生きていればいつ災いが降りかかるのかと恐れ、
死んでいれば表面上は悲しみながら内心では手を叩いて大喜びすることだろう。
どいつもこいつも勝手すぎて吐き気がする。
俺達が災いをもたらすだって?いい加減にしろ!そんな昔からのいい伝えを俺達に押し付けるんじゃねぇ。
そんな力、俺にもノアにもない!
いや…ノアには別の力が……。
いや…とにかく災いなんてものはしらん!
実際産まれてからずっと乳母として育ててくれた母ミエルには何の災いもおきていない。
押し付けられたであろう俺達の世話に嫌な顔一つせず、毎日笑顔で、「あなたたちを独り占めできてこんな幸せなことはない」「大好きすぎて2人とも食べちゃいたい」なんてバカなことを言いながらも、沢山の愛情を持って慈しんでくれていることは分かっている。
だからこそ
勝手に災いの双子というレッテルをつけ、俺達をろくに見ることもせず捨てた国王と王妃が俺は憎い。
いつまでもここで大人しくしていると思うなよ。
ノアと乳母のミエルは俺が守る。
そしていつか……必ず……
堅い決意を表情に滲ませながら、ノエルはこぶしを握りしめた。。
今回もお読みいただきありがとうございます!