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ジャブは昔話から

 おばあちゃん! 今日はどんなお話をきかせてくれるの?」


「んーそうだねえ~、どんな話にしようかね、じゃあ今夜は少し怖いお話にするかね~」


「えッ――怖いの…? 嫌だよそんなの」

「まぁまぁ、聞いてごらん」


 昔、遠い遠い地のとある村にひ弱な少年が住んでいました。

 少年は学校でひどい虐めを受け、自分のことが心底(しんそこ)嫌いになっていました。


 人間という生き物は自分より弱い者に攻撃したがる可哀そうな生き物なのです。

 彼はその対象だったのでしょう。


 ある豪雨の夜、彼は教会へ行きました。神にこの苦しさを知ってもらえればきっと理解してもらえると思ったのです。


 彼は必死に祈りました。


「もう限界です、これ以上我慢すれば身も心も駄目になってしまいます。どうか私にこの苦しさから(のが)れるすべを…!」


 ――しかし神の返事はありませんでした。

 彼は知っていました。祈ったところでなにも変わらないことを。

 それでも信じたかったのです――! 願わずにはいられなかったのです――!


 しかしそれも叶いませんでした……。


 内ポケットからナイフを取り出した彼は目をつぶり、冷や汗の垂れる首に刃を当てました。

 覚悟はできたと言わんばかりに強く握りしめ切りかかろうとしたその瞬間――。


 ドォーン! と大きな雷音が鳴り響きました。あまりの音に驚愕し、目を開けるとそこには――壁一面におびただしい数の矢印が刻まれていたのです……。


 彼は「神のお告げだ!」と喜び教会を後にし、一心不乱に走り出しました。

 大雨の中、一歩また一歩と視界の悪い道に足を運ばせていた時、次の一歩が踏み出せなくなりました。

崖です。

 恐る恐る崖の下をのぞくと大きな渦が出来ていました。


 彼は悟りました。苦痛から免れるには結局のところ死ぬことしかないのだと……。

 彼は嬉しさの中に儚さを感じながらその身を投げたのです。


「はい、今日はここまで」


「ええぇぇぇー、少年はどうなったのか気になるーー!」


「それはまた今度にしようね、もうお休みの時間だよ」


「はーい……」



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