桃太郎(桃アレルギー)
私は饅頭が怖いです
じっちゃんは取り憑かれたように芝刈りに、ばっちゃんは憂さ晴らしに洗濯に行きました。
川上から例の如く桃が、どんぶらこ、と、流れてきて、ばっちゃんは拾って帰りました。
中を割ってみると、息も絶え絶えで全身ブツブツの男の子が入っておりました。
「いかん! 桃アレルギーじゃ!!」
じっちゃんが直ぐに医者に連れて行ったので、男の子は事無きを得ました。
男の子は『桃太郎』と名付けられ、桃太郎という名前のくせに桃が食べられないと馬鹿にされ、それでも何とか元気に大きくなりました。
「鬼退治に行ってきます!」
桃太郎は逃げる様に家を出ました。
ばっちゃんがきび団子を拵えてくれましたが、桃太郎はきび団子アレルギーだったので、すぐに捨てました。
「桃太郎さん、御腰に着けたきび団子、一つ私に下さいな。鬼退治のお供を致しましょう」
通りすがりの犬が馴れ馴れしく話し掛けてきました。
「あ、自分犬アレルギーなので結構です」
桃太郎は犬を諦めました。
「桃太郎さん、御腰に着けたきび団子、一つ私に下さいな。鬼退治のお供を致しましょう」
通りすがりのキジが胡散臭く話し掛けてきました。
「あ、自分キジ肉アレルギーなので結構です」
桃太郎はキジを諦めました。
「桃太郎さん、御腰に着けたきび団子、一つ私に下さいな。鬼退治のお供を致しましょう」
「結構です」
桃太郎は普通にサルを断りました。
「鬼を倒すと桃アレルギーが治ると聞いて──」
ついに鬼ヶ島へ辿り着いた桃太郎は、鬼の住み家へ殴り込みをかけました。
「桃太郎を倒すと金属アレルギーが治ると聞いて──」
そこには金属アレルギーで金棒を持てない鬼が沢山居ました。
「そんなんで治る訳ないじゃん」
「以下同文」
桃太郎と鬼達は、和解しました。
次に若い女の子が怖いです