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転生先は魔王の子供でした!?  作者: なのはな
1/3

導入;記憶

「いやぁ、さすが神宮君だなぁ。私も鼻が高いよ!ははは!」

「いえいえ、まだまだですよ。社長。」


 俺、黒田凪くろだなぎはその様子をパソコンの影からちらりと見た。太った社長とイケメン社員。先日大手会社との契約を勝ち取ったことを褒められているらしい。イケメン…神宮かなたは確かにトーク力がある。イケメンな顔を存分に使い、完璧にまとめられたプレゼンによって勝利を勝ち取ってきたエリートというべきか。


「いやぁ、特にあのプレゼンが最高だったねぇ。イケメンはやっぱり魅せる方法がうまいのかな?」

「いえ、黒田のアドバイスのおかげですよ。」


切実に巻き込まないでほしい。社長と目が合い手招きされた。


「黒田君もお疲れ様。神宮君の足を引っ張らなかったみたいだね。」

「はい。」


社長は俺と神宮をまじまじと見て笑った。


「それにしても君たちは身なりに差があるねぇ。黒田君も神宮君みたいに服装に気を使ったほうがいいんじゃないかな?そうすれば、あのプレゼンみたいに魅せるものが作れるはずだよ。」

「今度いい服のお店紹介しようか?」


この会話だけ見たら、俺は神宮の足を引っ張るやつに見えるかもしれない。でも違うんじゃボケェ!と叫びたくなる。まず、社長さんや。貴方が先ほどから褒めちぎっているプレゼン…すべて()が作ったものだっつーの!神宮は一切してねぇし!

なにが「黒田君のアドバイスのおかげです。」だよ!?神宮は前日に確認して持ち前のトーク力とイケメン力を発揮するだけだ。確かに人には得手不得手があるというが。


同期として入社早々にコンビを組まされ、良い人かなと思って二人で作戦会議になった瞬間「あ。俺さ嫁さんいるから定時には帰るから。あとプレゼンはすべてよろしく!俺苦手なんだ!」と仮面をはいだ笑顔で押し付けられる。そのくせ、目上の人には好かれているというか俺がやっていることもすべてあいつの手柄なのだ。


とりあえず落ち着け俺。せっかく大きな仕事が終わり今日は早く帰れる日だ。帰り支度をする。ちなみにすでに神宮の姿はない。車に乗り込む。俺は一人暮らしをしていて会社までは車で40分ほどかかる。道のりも崖とか山を越えたりしなければいけなくて残業続きだった俺にとっては嫌な道だ。

雨がパラパラと降る中、運転をする。


「あー、洗濯物しなきゃな。髪も切るか。前髪にかかってるし、社長になんかまた神宮と比べられそうだからな。…というか俺がこんななるまで仕事した理由は俺にすべて押し付けるからだろうが!」


あー、思い出したらむかついてきた。しかも、発表中に質問きても神宮が答えられるように前もってされるであろう質問内容と回答もまとめなきゃいけない。それぐらいしろよ!と物申したい。

雨がひどくなりナイーブになる。


「よし、本買いだめしよう。ストレス発散だ!」


と意気込む。さて、なんの本を買おうか。最近は異世界転生ものや悪役令嬢ものにハマっている。勇者とあがめられてぇな。………いや、俺のポジションなんて勇者に振り回せれるモブキャラだな。そう思いながら運転していると右手側の山からウサギが飛び出してきて、右車線にも対向車がいることに気づいた俺はハンドルを名いっぱい左に回した。

ブレーキも思いっきり踏んだが今日は雨で止まらずに左に行く。そしてガードレールにあたり、ガードレールごと落ちていく。


なーんで、ウサギなんか助けちゃったかな。

残酷だが、そのまま進めば俺は落ちなかったのに。…まぁ、後悔はしていない。誰しも命は平等だし。


俺は崖の下に落ちていった。そこは海であり、雨のせいで水嵩も上がっていた。海に車ごとおち、急いで車の窓を割ろうとカバンやいろんなものを投げつける。

ただ生きるために思考を働かせた。そうだ、傘!後部座席においていた傘をつかみ窓に当てた。無事に割れた窓から体を出す。


上へ向かって泳ぐがもう遅かった。水をすったスーツが重い。体がどんどん沈んでいく。


ーーー死にたくねぇ。   

そうつぶやくと口から泡がぼこぼこと出た。残業して疲れてなかったらもっと思考も働いたかもしれない。


死んだら人間ってどうなるんだろうな。もしかしたら、異世界転生なんてな。そしたら、やっぱりおれは勇者に巻き込まれるモブか。


ーーーふざけんな。


そうなるくらいなら、魔王になって世界征服してやる。そうだ。外面しか見ずに人の努力を踏みにじるやつらはすべて。


ーーー滅ぼしてやる。


「滅ぼしてやる。」

「ノア様?目を覚ましたのですね!」


目をぱちぱちさせながら起き上がる。目の前には爺や。あれ、俺。仕事終わりに海に沈んでしにかけてたはず…。いや違う。だって俺はまだ5歳だし。ん!?5歳!?


「どうしました?まだ痛みますか?池におちたことは覚えていら者いますか?魔王の子とあろうお方がそんなのではだめですよ。」

「…ま、おう。」



この時俺は察した。魔王の子である俺、ノア・サタンは池に落っこちた際に前世の記憶を取り戻したらしい。



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