<動き出す盤面>
一瞬、浮遊感が体を支配し、記憶から誰かが欠落したように感じる。だか、そんな訳の分からないことよりも最優先すべきは目の前に立ちはだかる善意の敵だ。
「どうしてここが分かったんだよ...」
「貴方にそのことを伝える義務はないわ。この人殺し」
「いや、真面目に俺は何もしてないっていったら信じてくれたりするかな?」
アカツキはリゼットの気を引くように話を進めていき、サティーナにここから逃げろと手で合図する。
リゼット・クラーナ。
記憶の改竄が行われる前の学院生活でも一度も会ったことのない相手だが、齢15にして第一学年首席になるという偉業を成し遂げた天才の中の天才であり、勉学だけでなく、魔法は勿論体術でも大人相手に引けを取らない程の身体能力を持っている。
『サティーナ、お前はこの屋敷の奴等を連れて逃げろ』
サティーナだけに聞こえるように小さく呟き、サティーナを逃がそうとするが、当たり前と言うべきかサティーナは首を縦に振ろうとしない。
「何やらこそこそ話してるようだけれど、貴方達はここで死んでもらうわ。情報を提供させてもらってからね」
「そっか」
アカツキはある覚悟を決める。
相手は15にしてイスカヌーサ学院第一学年の首席に君臨する天才、本人がここで殺すと言っている以上、ここで殺されるのだろう。
ならば。
「サティーナ、俺を置いて走れ」
「ダメです。残るなら私も...!」
「どうする?ここで殺すのか?お前なら出来るだろうけど。でも、駄目だ。そうしたら、俺達は圧倒的に不利な状況になる」
そう。相手はジューグが差し向けた刺客ではない。この都市の平穏を取り戻すために立ちはだかる完全な善だ。
「なら動ける分の体力が無くなるまで...!!」
「無理だ。少なくとも三日は持つだろうよ。その間に援軍が来て、敗北は確実になる」
リゼットはアカツキ達を殺すことが出来る。
しかしアカツキ達にはリゼットを殺すことは出来ない。サティーナの記憶は力にも影響しているはずだ。
忌まわしい過去の記憶があればリゼットの魔力を動けなくなる程度に減らすように力の調整を出来るはずだが、―――に触れた時に―――は一瞬で全魔力を奪われ干からびた。
?―――とは誰だ?
あれ、確かジャックスが足止めを...。
「こんな時に訳の分からないことで混乱してんじゃねえ」
頭の中で知らない記憶がごちゃごちゃに入り乱れていて、ひどく不快で頭が痛い。
「満身創痍じゃない。そんな体で、精神状態で本当に足止めを出来るのかしら?」
アカツキの混乱がリゼットにも伝わったのか呆れた顔で問いかけてくる。
「こんな状況にもそこそこ慣れてるからな。心配はいらない」
「そう」
勝負を仕掛けてこない辺り、相手はアカツキを取るに足らない相手だと思い込んでいる。
賭けるのはそこしかない。
「サティーナ、一つ質問だ。自分で自分の力を制御出来てるか?」
「...できま...せん。だけど!」
「それに、だ。俺はこんな体で逃げれないんだよ。お前に全部託すから、頼んだぜ」
今のアカツキは壁に手を置いてやっと立てている状態だ。こんなにボロボロの体で逃げきれることはまず不可能だろう。それにサティーナは力の制御を出来ていない。
だから。
どんな理由よりもこうして言ってしまった方が早い。
「お前にこれ以上人を殺させてたまるか。そんなことはもう二度とやらなくていい」
サティーナならば触れるだけで魔力を奪ったり、遠距離からの魔法を無効化できるだろう、だけどこれ以上彼女に人を殺させてはいけない。
辛いことを背負わせてはいけない。
リセットを殺せば不利になると言ったが、それは無理矢理納得させるための口実に等しい。
本当は。
記憶のない中で必死に生きているサティーナにこれ以上の重荷を背負わせてはいけないのだ。
そんなの勝手な押し付けだと思われるかもしれない。
だけど。
「もう一度言う。全部お前に託すから」
「―――逃げろ!!」
声を荒げてサティーナに逃げるよう指示するとサティーナは振り返り、リゼットとは反対側の通路から逃げる。
「下らないわね。とんだ偽善者で、押し付けがましくてひどく矛盾してる」
「そうだな。否定はしないぜ。実際サティーナは力を制御できるかもしれないし、お前を殺すんじゃなく、無力化出来たかもしれない」
「ならどうして逃がしたのかしら?」
そんなのさっきもあんなに大きな声で言ったではないか。
「かもしれないじゃ、駄目なんだよ。絶対にあんたを殺さないように無力化しないと」
「だから?貴方が残っても私を無力化できるはずないじゃない」
リゼットはいまだにアカツキを取るに足らない相手だと思っており、すぐにサティーナも捕まえれると思っている。
「―――そうだな。だから」
アカツキは胸に手をあて、目を閉じる。
体の中にはわずかに神器の一部が残っている。あのときほどの力はないが、その分、制御はしやすいはずだ。
「―――嫌いな力に頼ることにしたよ」
微かにずれた感覚のする心臓部に魔力を込めると、体から黒い煙のようなものが漂い始める。
―――自分に言い聞かせる。
この力はきっととてつもなく強くて、誰かを傷つけてしまうだろう。
だから、守るために使え。
奪われるな。
勇気を―――持て!!
体から発せられる黒は今にも消えそうな煙から、泥々の実体を持ったかのような闇へと変貌する。
「神器の力を貴方に制御出来るのかしら?」
「ああ、覚悟は決めたんだ」
「そう。私もよ」
二人は声を上げて自分の覚悟を口にする。
「―――貴方を殺すわ!」
「―――絶対に殺さねえ!」
アカツキは体の主導権を奪おうとしてくる何かに負けてしまわないように心を強く持つ。
リゼットは絶対に目の前の人物を生かしてはいけないという自分の本能に身を任せる。
無数の闇と、色鮮やかな魔法が屋敷の小さい通路でぶつかり合い、善意同士の戦いが幕を開ける。
―――サティーナは来た道を戻り、ジャックスの元へと全力で走る。
アカツキの言っていることは全て合っていた。
今の自分には誰にも負けない力がある。それはどこで手にいれたのかは分からないが、世界を敵にしても勝てるほどの力がある。
だが。それは守るための力ではなく、奪うための力だった。
その力を使い、人に触れてしまえば触れられた人間は枯れ木のように痩せこけ、命という儚く尊いものを失ってしまう。
今の自分には守れない。そう判断してしまった。
唯一の拠り所である主を見捨て、愚かにも自分だけは命を享受している。
今も主は抗い続けている。
なのに自分は逃げている。
そんな従者として最低な選択をしてしまったサティーナは最善の行動を選んで走る。
ジャックスを呼び、共にあの善意の塊である少女を無力化する。
それしか方法はないのだ。
遠距離からの魔法はサティーナが無力化し、ジャックスの結界でリゼットを捕らえる。
そんな僅かな希望を持って、サティーナは走り。
―――希望が壊れた瞬間を目にする。
「か...ぶ」
屋敷に敷かれた絨毯に鮮やかな赤が広がりながら力なく横たわるジャックスと、
義足の足でジャックスの腹部を貫く青髪の少女がサティーナの希望を跡形もなく粉々にした。
―――少女は絶望と呼ぶに相応しい恐怖の視線を感じ、その視線を向けるサティーナの方へ振り返る。
「あれ。サティーナお姉ちゃん。どうして?」
「貴方は、誰?」
「そう、私の記憶にはあるのに貴方の記憶には無いんだ。うん、じゃあ挨拶をしないとね」
幼げな容姿に似合わぬぶかぶかの服に身を包み、義足のある右足のみを露出させた少女は笑顔で挨拶をする。
「私はクラリナ、貴方の敵、この屋敷を破壊する者、主の命に従い、全てを壊しに来たの」
少女らしからぬ挨拶をしたクラリナは小さく舌打ちをする。
「な...!!」
舌打ちをした直後、サティーナの右腕に無数の虫が張り付く。
「まずは右腕から食べてね、虫さん」
サティーナが力を発動させるよりも早く虫の大群が右腕を喰らい尽くす。
表現しきれない痛みの感覚が脳に伝わった瞬間、サティーナは痛みに呻く、しかし叫ぶことはしなかった。
叫べば痛みは和らぐのだろうが、正常な判断は出来なくなると本能が叫んだからだ。
「泣かないんだ。叫ばないんだ。つまらないなー。このお兄ちゃんも叫ばなかったし、あの心地のいい声が聞きたいのに...」
少女らしい仕草とは裏腹にえげつないことをやってのけた少女はとても人間味のあるとは思えない言葉を発する。
「どうして?人間はとても良い音を出すのに、サティーナお姉ちゃん達は音を出さないの?」
退屈と言わんばかりにため息をついた少女は右腕を喰らい尽くした虫の大群に新たな指示を出す。
「音の出ない人間は人間じゃないよね?だから、食べちゃっていいよ。今度はお腹から喰い破らないでね。汚いから」
命令に従い、空中を浮遊していた虫の大群がサティーナの体を包む―――
直後、サティーナの体を薄い光の膜が無数に展開され、サティーナを喰らい尽くすはずだった虫の大群は光の膜を10程喰い破ったところで動きを止める。
「執事をなめて...もらっては...困りますね...!」
致命的な量の血を流し続けるジャックスが息も絶え絶えに廊下で倒れながら呟く。
「流石お兄ちゃんだね。でもね、一つだけ間違ったことをしたのはお兄ちゃんだよ?だってさ、あの爆発のお兄ちゃんを消したら、別の僕や私、俺が出てくるのは当然なの。なのに、お兄ちゃんは爆発のお兄ちゃんを消しちゃった。そしてねクラリナの番になったの」
何の話をしているのか分からないが、ジャックスにはサティーナをここから逃がすために集中しているため、それ以外のことは取るに足らないことだと思っている。
「あーあ。そうやってクラリナのお話を無視する。なんでなの?クラリナはこうやって話してるのに聞いてくれないの?ねえ、ねえ?」
クラリナが舌打ちをして、足を床に叩きつけ始めると、今まで主の命令かあるまで空中を漂うだけで何もしなかった虫の大群がバラバラに散り始める。
「いらない。クラリナの話を聞かない人間なんて人間じゃない。虫さん、この肉塊を全部壊して。そこの音の出ない肉塊もね」
苛立たしげに命令を出すが、虫の大群は四方に散っていくだけで、クラリナの命令を聞こうとはしない。
その光景にクラリナは再度舌打ちをすると、大きな声で叫ぶ。
「さっさとしろって言ってんだろ!このくそども―――!!!!!」
少女の罵声に反応した虫の大群は一ヶ所に集まり、結界で守られているサティーナに向かい、何層もの結界を喰い破りサティーナの命を喰らう為に突き進む。
ジャックスの所へはクラリナ着ていたぶかぶかの服の中から飛び出した虫の大群が向かう。
サティーナは痛みで動くことが出来ず、ジャックスはあまりの流血により意識を保つことすら難しい。
二つの肉塊を喰らう虫の大群。
ここで二人の命は数多の虫により喰らい尽くされてしまう。
端から見れば絶望的な状況で。
―――希望が文字通り降って湧く。
「おっらあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
見たこともない女が屋敷の天井を突き破り、巨大な剣を地面に叩きつけると白い光がジャックスやサティーナごと飲み込み、視界が白く染まる。
数秒後、色の戻った景色をサティーナは確認する。
「やっと見つけたぜ、負の研究の副産物」
青い服装に黒い髪を肩まで伸ばした一見とても大人しそうな女性は、幼い少女の襟首を掴みながら持ち上げる。
「ったく、面倒かけさせやがって」
その青い服装に付けられた胸章を確認した少女が苦しそうに呻く。
「都市壊滅...部隊の?」
「よく知ってんじゃねぇか、副団長リリーナ・クラセスタ、まあ、今は護衛にこき使われてるただの女さ」
リリーナと名乗る女性は何の躊躇いもなくクラリナな身に付けているぶかぶかの服を引き剥がす。
「やめ...!!」
クラリナが必死に抵抗しようとするが、リリーナに襟を掴まれ持ち上げられているため、体に力が入らず、為す術なく服を剥がされる。
「やっぱな、服の中に虫を隠してやがったか」
服を剥がされた少女の体にはびっしりと虫が張り付き、見ていて気分が悪くならないほうがおかしいほど蠢いている。
「面倒かけさせんなよ」
リリーナが持っていた大剣でクラリナの義足を躊躇い無く切り落とすと体を覆っていた虫は一瞬で音もなく四散する。
リリーナが少女を床に下ろすと苦しそうに咳き込んだ後、少し息を整えてから自分が何の服も着ていなかったことに気付くが、そんなことよりも消えてしまった虫の大群を呼ぶ。
「虫さん!!戻ってきて!」
「無理だよ、あんたにはもう虫の大群を従える力はない。そこに落ちてる義足を見れば分かるだろ」
先程まで自分の体の一部だった義足を這いずりなから取り、クラリナは震えながら問いかける。
「どうして都市壊滅部隊が来たの..?」
「言ったろ。私は護衛として来たって、それに安心しろよ。あんたを殺すわけじゃない。もし殺したらあのくそ医者が怒るしな」
リリーナは戦意を無くしたクラリナに羽織っていた青い服を被せる。
「でもあんたにはそれなりの罰は受けてもらうよ」
「やだ。やだ、私はまだ...」
弱々しく呟いてはいるが、もう既にクラリナの体は戦う意思を無くし、その場を動こうとしない。それなのに心は今も戦えと叫ぶ。矛盾に苛まれたクラリナが取った行動は―――
「が。ぶ、あ」
「バカが!!」
情報が漏れないようにクラリナは自分の舌を噛みきることで抵抗を見せる。
それが今のクラリナが主であるジューグに尽くすための最善の行動だ。
「おい!遅いんだよ、くそ医者!!」
力なく床に倒れるクラリナを持ち上げたリリーナは大きな声である男の名前を呼ぶ。
「アオバ!!」
自分で選択したにも関わらず、息が出来ない苦しみで足をじたばたさせるクラリナを見て、焦った様子のリリーナ。
「ちょっ...と!!早すぎ、ますって」
その緊迫した場面に登場したのは汚れ一つない白衣姿の青年だった。年齢は20代前半と言ったところだろうか?
髪は透き通るように白く染まっているが、一部分だけ黒が混じり不思議な雰囲気を発する青年、アオバはリリーナに抱えられている少女が苦しそうにしてることに気付き、慌てた様子で近づく。
「何があったんですか!」
「こいつが舌を噛みきりやがった!早く治療しやがれ!」
「舌を...!?分かりました、すぐに治します!」
アオバが床に置くように指示すると、リリーナは指示にしたがう。
「リリーナさん、そこにいる二人には見せることになりますが、良いでしょうか?」
どんどん血の気を失っていく少女の額に手を置いたアオバは心配そうに尋ねる。
それもそうだろう。
アオバが行っている行動は全都市共通の禁忌とされているものであり、見つかれば弁解の言葉も許されずに殺されるだろう。
「私からしたらあの二人よりこのガキの方が優先順位が高い。なんなら機密保持の為にあの二人は殺せる。あんたが心配することはそいつの再生に失敗して、私に殺されることだ」
「―――」
リリーナの答えを聞いたアオバが額に置いた手を離すとクラリナの額には紋様が刻み込まれていた。
紋様が少しずつ光を強くしていくと、クラリナの呼吸がどんどん正常になっていく。
「リリーナさん、確認を。僕は残った二人の治療をします。特に男の人の方はかなり危険です。応急処置をした後にすぐに運ぶので手伝ってください」
ジャックスの方をちらりと見て、アオバは流れている血の量でかなり危険な状態であると判断する。
リリーナは気を失ったクラリナの口を確認した後、サティーナを担ぎ上げ移動を開始しようとする。
しかし、サティーナは。
「離してください」
「無理だね。何をするのか分からないけど自分の体を見てみろ。そこの男ほどじゃないけどあんたも危険だ」
サティーナの虫に喰われた部分の腕にはジャックスが気を失う直前に止血をするために糸状の結界で無理矢理血を止めてはいるが荒療治であることに変わりない。
リリーナの言っていることは正しい、が。
「アカツキ..様を助け..ないと、駄目なんです」
力なく喋るサティーナの瞳から小さな雫が落ちる。
それは忠誠心でも何でもなくて、自分が守る術を持たないが為に残してしまったことによる後悔だろうか。
「アカツキ...ね。あんたの命よりもそんなに大事と思えるのか?」
「馬鹿げてると思うならそう思って下さい。...けど、絶対に守らないと駄目なんです。あの人はずっと泣いてるから、独りぼっちだから」
リリーナはため息をつき、サティーナを下ろすと前を進むアオバの襟を掴み引き留める。
急に後ろから襟を掴まれたアオバは一瞬呻いた後、後ろを振り返る。
「何をするんですか!」
「この女を治してから行け。私はこいつに付いていく」
「何をバカなことを言ってるんですか!その人も重症なのに!」
医者としてのプライドが怪我人を見過ごすことが出来ないのか、アオバはリリーナに抗議をする。
「あんたの力が万能じゃないのは知ってる。けど、一時的な治療なら出来るだろ?」
「さっきの少女を治してから五分も経っていませんよ?出来ても止血程度、それも一時間もすれば傷口は開く。そんなことを...」
頑なに言うことを聞かないアオバにリリーナは胸ポケットから手帳を出す。
「これは護衛としての頼みじゃなく、あんたら名も無き医師団に協力関係である都市壊滅部隊副団長からの命令だ。何なら団長代理の命令だと思え」
「...。どうしてそこまで拘るんですか?」
リリーナの考えてることが理解できないとばかりに見つめるアオバにリリーナは単純な答えを返す。
「気に入ったからだ、このこの女をな。話に聞いていたサティーナって奴とは違うらしい。その証拠がこの涙だ」
リリーナはサティーナが溢している涙を指差し、アオバに言う。
「女が一人の男の為に泣いてんだ。理由はこれで十分じゃねえか?」
アオバは諦めたように下を向いてため息をつくと小さな瓶を取り出し、サティーナに近づく。
「最低限の止血は出来ます。ですが、無理はしないで下さい。もし傷口が開くようでしたらこの液体を飲んで、数分の間動かないこと。多少体に負荷は掛かりますが、それで一時的な再生が行えます。ですが、それも五分のみ。五分以内に僕の所へ来なければ死ぬと思ってください」
忠告と共に瓶をサティーナに握らせて、額に手を置き、十秒後に手を離すとクラリナ同様紋様が光り、サティーナの喰われた腕が隆起し、傷口が塞がる。
「リリーナさん、ワガママはこれっきりにしてください」
「ああ、勿論だ。これからは護衛としてこき使われてやるさ」
二人はそれだけ話をすると、背を向きアオバジャックスを背負い正面玄関へ、リリーナは少女を背負いながらサティーナと共にアカツキの居る場所へと向かう。
そして。
―――その直後、大きな爆発が屋敷を揺るがす。