表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遥か彼方の浮遊都市  作者: しんら
学院都市

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/191

<小さな歪みはやがて大きくなる>

「雨...か」


洞窟を通り、人気の無い森の中を歩く寮組。

アレットの足止めが上手くいったのか、敵が追いかけてくる様子はない。どうやら、無事に逃げ切ったようだ。

アレットと別れる前はあれほど晴れていたというのに、急に振りだした雨はまるで何かが変わってしまったことを伝えているようだった。


「サネラさん、大丈夫ですか?」

「....あ。ええ、そうね。大丈夫よ」


前を歩くナギサとカルナについていっているが、洞窟を抜けてから、サネラの様子がおかしい。さっきからボーッとしていて、足元を滑らせないか心配だ。


「まだ、駄目ね」


サネラが何かをずっと堪えているのは分かる。そして、その要因も。


「アレット、やっぱり君はバカだよ...。大バカ野郎だ」


ガブィナの目から、何かがこぼれ落ちた。



...副理事長と教頭は先にあの二人を排除しに向かった黒服と合流しようと、林の中を歩いてきた。


「...副理事長様、これは?」


教頭はその光景に目を疑った。いや、疑わざるを得なかった。


「見た通りだ。ワシらより先に向かった黒服は全滅。それもワシの知らない誰かが介入してな」


雨によって木々から木々へと炎が移ることは無かったが、辺り一面焼け野原と化し、黒服であった者達の黒焦げになった死体が積み上げられていた。


「アレットが音を操作しワシらに届かないようにし、協力者によって焼き払われた、と考えるのが妥当だな」

「しかし...。たった二人にこの者達が殺されるはずが...」

「簡単だ。この場に残る魔力は、神器によるもの。協力者は神器の保持者だろう」


教頭からは感じ取れないが、副理事長には感知出来る。それは、神器を使用した者にしか感じることが出来ないからだ。神器に触れたことすら無い人間には、神器の魔力を感知出来ないという。


「まさか、神器の保持者とも協力関係にあったとはな。ますます、厄介なことになった」


現在、この都市で確認出来た神器はアカツキの見に宿る深淵の神器アルマ、クルスタミナが所有する記憶を消去、操作する神器メモリアにアレット達の協力者と思われる者が所有しているであろう、業火、地獄の炎、永遠の炎、炎と呼べるもの全てを扱うことが出来る神器、ウルティオーだ。


「しかし、この町に神器の保持者が侵入出来る訳がありません。それこそ、バーサーカーなどの組織でないと」

「...そういうことか」


あの女は特殊部隊バーサーカーの一員だった。全都市での共通認識としてその組織名は知らない者が居ないほど知名度はあるが、組織の全貌は明らかにされていない。魔獣討伐のエキスパート、バーサーカーのメンバーに神器を所有している者が居てもおかしくはない。


「教頭、ワシは一旦屋敷に戻る。あのアカツキという反逆者に聞きたいことが出来た」

「はぁ...。ですが、この場の指示は誰がすればよろしいでしょうか?」

「あいつらの逃走ルートに配置しておるのだろう?ならば問題はないはずだ」


カルタッタ率いる1組の生徒は分隊となって逃走経路を完全に塞いでいる。一ヶ所で交戦が始まれば、直ちに移動を開始し、物量と技術で叩き伏せる。これがクルスタミナの考えた作戦なのだが、今回の黒服壊滅によって、一つの不安が生まれた。


「確かに我が校の生徒は優秀ですが、この黒服達が壊滅させられた敵に勝てるでしょうか?」


そう、確かに1組はそこらの衛兵よりも数倍強い。その更に上をいく黒服が勝てない相手に果たして勝てるのだろうか?


「ならば黒服を増員すればよいだけだ。まだまだ、兵のストックはある」

「了解致しました。しかし...」


それでも不安を完璧に拭い切れない。その理由が、クルスタミナの作戦通りに事が進まなかったからである。性格がクズであろうと、クルスタミナの考案する作戦が成功しなかったことはない。しかしそれは何の狂いもなく作戦が上手くいった時のみ。イレギュラーの登場は作戦には組み込まれてはいない。それが心配で仕方ないのだろう。


「ワシの作戦が失敗する...と言いたいのか」


冷静に、それに若干怒りを含めた声でクルスタミナは振り向く。


「その可能性があると言いたいのです。副理事長様の作戦はここまでは完璧です。しかし、相手の戦力が未知数となった今、失敗する確率が少しですが上がります」

「わずかなものだろう」

「わずかなものでも十分脅威に...」


教頭の忠告に苛立ったクルスタミナは雑に話を終わらせる。


「ならば黒服を総動員だ!!総勢500の黒服の兵ならば、未知数の脅威を捩じ伏せられる!!」


このまま話していても、クルスタミナの機嫌を損ねるだけだと判断し、教頭は口を閉じる。


「ワシの周りをうろちょろしている奴らを始末出来ればそれでよいのだ!!この戦いは兵を集中させる為の陽動と言っただろう!!ワシ自ら出れば、必ず動き出す。その為にわざわざここまで来たのだ」


クルスタミナはそう捲し立て、屋敷へと帰っていく。


「副理事長様は焦っておられる。長年神器を扱っているであろう敵がコントロールを出来ない筈がない」


焼け野原と化した林を見渡しながら、教頭は冷静に考える。


「もし最近神器を入手したのならば、制御もままならないはず。わざわざ表だった行動を起こす可能性はずがない...」


考えても、結論にはたどり着かない。アレットの協力者だということだけは考えがつく。


「この戦いで潰しておかねば」


教頭はカルタッタと合流する為、前に歩き出す。その先に灰と化した林を発見するのも、そう時間は掛からなかった。



...教頭の忠告に苛立ちを覚えながら屋敷に戻ると、作戦通り5組によってアカツキ、ガルナ、ミク、カナスラの四人が捕縛されていた。


「作戦通りではないか」


やはりあの男の考えは間違っていた。

ワシの作戦が失敗するはずがないのだ。


「さて、反逆者共。一週間ぶりの同級生との対面はどうであった?」

「いつも通り、ただのバカだ」


この状況でも淡々とした表情のガルナ。それに比べ、カナスラはかなり怯えているようだった。


「相変わらず、冷徹な男だ。父親はあれほど仲間思いだったというのに」

「あんなバカな奴を父親とは思いたくもないな。あれほど、生きる為に最善の道を選べと言っていたのに、当の本人は下らんことで死んだ」


ガルナの冷徹な一言にクルスタミナは大きく笑う。

そして一息つき。


「随分と親不孝者な息子だ」

「その親を殺した奴に言われたくはないな」


ガルナの言葉によって一時の静寂が訪れる。

クルスタミナは捕縛した後に待機していたであろう5組を屋敷の外に出るよう伝え、去ったことを確認すると四人の方へ戻っていく。


アカツキとミクは諦めているのか、抗うこともせずにただ静かに成り行きを見ている。

クルスタミナは四人全員の顔をじっくりと舐めるように見ると、小さく手を上げる。


「カナスラ、右を向け」

「...?」


突然カナスラの名前を呼び、指示をするカナスラ。

本人は何を言っているのか分からないと言った感じにきょとんとしているが、その首は確かに右を向いていた。


「...え?え?」


自分の体が勝手に動いたことに驚きを隠せないようだ。


「儀式は終わっているのだ。当たり前だろう?」


クルスタミナは少しずつ口の口角を上げ、下卑た笑いをこぼす。


「てめぇ...」


その行動にアカツキが怒りを見せるが、何も出来ずにただその光景を見るしか出来ない。


「貴様らを縛っている縄は特殊な物質で作られておる。無理に出ようとすれば、肉が抉れるぞ」


クルスタミナはとても愉快そうに笑い、アカツキに近づく。


「ワシはお前に聞きたいことがあったのだ」

「うっせえ。顔を近づけんなよ、豚」


バキッ!!と大きな音が静かな屋敷の中に響く。

クルスタミナは顔を赤くし、アカツキの顔を全力で蹴ったのだろう。アカツキは何とか痛みに耐えて、前に向き直す。

すると、クルスタミナは手に持っていた杖をアカツキに向けていた。


「ワシの気分次第で貴様の記憶は消えるのだ!!そのことを知っておるのだろうな!!」

「知ってなきゃ言ってないとでも思ってんの?お前みたいな奴に媚を売る必要はねえよ。それに俺に聞きたいことがあんだろ?なら記憶を消しちゃマズイよなぁ?」

「クソガキが...!!」


アカツキの挑発によってクルスタミナは怒り、持っていた杖で何度もアカツキを殴り付ける。

鈍い音が何度も部屋の中に響き、アカツキの意識も少しずつ朦朧としていく。

しかし、そのまま気絶させるようなことをせず、更に苦痛を与える為に殴っている杖を止める。


「話す気がない奴によく効く方法がある」


何度も殴られたことにより顔を腫らしたアカツキの顔を髪を掴み、強引に前に向けさせる。


「仲間が苦しむ様をそこで見ているがいい」


クルスタミナはそのまま隣にいたカナスラの紐を解く。


「カナスラ、命令だ。アカツキを全力で殴れ」

「や...!!」


カナスラは意識が朦朧としたアカツキの顔に全力で殴り付ける。


「依存の儀式だけでは心や感情が残っている分、めんどくさいが。利点もある。無理矢理に従わせた時の苦しそうな顔を見れるのだ」


クルスタミナは更に笑みを深くし、カナスラに命令をする。


「カナスラ、こちらへ来い」

「嫌だ。嫌だ...!!」


しかし、依存の儀式により逆らうことが出来ずに体が勝手に動いている。

本人の意思などは関係なく、命令には従わねばならない。激しく拒否すれば、動きは鈍るが命令に逆らうことは出来ない。


「貴様には教育する前に逃げられたからな。ここで教育してやろう」

「離せ!!触らない...で!!」


クルスタミナの下まで移動したカナスラは腕を掴まれるが、その手を払いのけて逃げ出そうとする。


「カナスラ、命令だ。ここまで来て、這いつくばれ」

「い...や...だ」


途中で体は勝手に引き返そうとするが、カナスラは全力で勝手に動く体を止めようとする。

しかし、いくら抵抗していてもジリジリと徐々に差は縮まっていく。


「さあ、ここまで来い」

「動く...なぁ!!」


クルスタミナはどれだけ時間が掛かろうと、この場に這いつくばるのを待つだけだ。抵抗する時間が長ければ長い程、その光景を何も出来ずに見ているアカツキに精神的ダメージを与えるだけだ。


ただ見るだけの無力感は想像以上に辛いものだろう。しかも、それが知り合いで一緒に行動をしていれば尚更だ。抗っても抗わなくてもアカツキにはとても辛いものとなるだろう。勿論アカツキだけでなく、他の二人も同じだ。


三分程、抵抗をしていたカナスラも徐々に強制力が高くなり、抵抗する力も落ちていく。


「や...だ」


体を支配する強制力に抗えなくなり、カナスラは這いつくばる形になる。


「まずは仲間の拷問と行こうか」


クルスタミナは部屋に飾っていた鎧から剣を取り、カナスラの指に突き立てる。


「ワシが聞きたいことは一つ。あのバーサーカーの女共の潜伏先を教えろ」

「あいつ...らが...何か...したのか」


苦しそうに息をしながら途切れ途切れの言葉で問いかける。


「ああ。やはり協力関係にあるお前ならば知っているはずだ。アレットに助太刀をした神器持ちの奴を」


しかし、アカツキは何も言わずに黙りこむ。


「知らないふりをするのもいいが、十秒以内に答えなければ指を切り落とすぞ」

「....っ!!」


ここで情報を手に入れたら、アカツキを残し、ガルナの方は始末するか。

もし嘘の情報を言った時には、この女二人を利用して聞けばいい。

まあ、情報を入手したら殺すがな。


「さあ、言え」

「くそ...。許してくれ」


アカツキは小さくここに居ない誰かに謝り、諦めたようにため息をつき...。


「上だ」

「...上?詳しく言わねば指を切り落とすぞ」

「ああ!!もう、良いだろ!!」


アカツキは突然、立ち上がり...!!


「死ねやあああああああああああああああああああああああ!!!!」


体重を乗せた左手でクルスタミナの顔面を全力で殴る。

解けることのない縄から抜け出すというあり得ない出来事に対処が遅れたクルスタミナはその攻撃を避けることが出来ない。


「ごぶ!!!!」


同時に他の三人も何事も無かったかのように立ち上がり、クルスタミナに近寄ってくる。


「くそ!!貴様ら!!」


杖を三人が向かってくる方向に向け、記憶を消去を行おうとするがアカツキによって蹴り飛ばされる。


「あがあああああ!!!」


同時に手にも当たったようで、その場で右手を押さえてもがき続ける。


「勝手に動き過ぎだ」

「お前には分かんないだろうけどな!!殴られるのってめちゃくちゃ痛いんだよ!!」

「ガルナ君の言う通りだよ!折角カナちゃん迫真の演技中だったのにぶち壊すなんて!!」


クルスタミナにはこの状況が全く飲み込めない。


ワシの作った人形達によってこいつらは捕まったはずだ。魔力を放出すると逆に魔力を吸い込む特別製の縄によって魔法を使うことすら出来ないはずだ。

何でカナスラが自分の意思で立ち上がっている。どうしてアカツキは動けた!!

作戦は全て完璧だったはずだ!!こんな呆気なく終わるはずがない!!


「大激闘の果てにようやく勝利、とかいうのは今は要らないんだよ」


アカツキが放心状態のクルスタミナに語りかける。

その目には諦めきっていた時とは違い、しっかりと光が存在していた。


「中々の演技だったろ?汚い手を使おうが、勝ちは勝ち。そっちが汚い手を使うならこっちも汚い手を良心を痛めずに使えるからな」

「アカツキさんに良心があったんですか?」

「カナちゃん!!やめてあげて!!アカツキ君は人間アピールをしてるだけなの!!それ以上傷つけないで!!」


...。

こいつらは後で痛い目見せてやるとして、今はこっちだ。


「んでさ。今度はこっちが質問する。アレットに何があった。お前が知ってることを全て言え。言わなかったら指を一本ずつ切り落とすぞ」


落ちていた剣を拾い上げ、特別製の縄で身動きを封じたクルスタミナの指に突き立てる。


「この...。ワシが!!貴様らに負けるはずがない!!どんな手を使った!!」

「記憶消去の神器の効果を打ち消しただけだよ。あなたが一週間策を練っていたようにアカツキ君も一週間努力したんだよ。神器の効果を相殺する為の修行だけどね」


ミクが律儀に説明してやる。


「まあ、お互いに中途半端だったから成功したんだけどな。俺のは一部だし、あんたのは所有権が別の奴にある。もし完全にあんたの物だったら、殺すしか方法は無かったよ」

「嘘だ!!嘘だ嘘だ!!ただのガキにワシが負けるはずがない!!」

「今頃5組の皆はクレア達を救出しに行ってるよ」


だが、これでも完全に敗北という訳ではない。まだ黒服が残っている、と思っていた。


「副理事長様、今回の勝負は貴方の負けです。神器及び兵は回収させて頂きました」


突然の乱入者に反応したガルナが近づこうとするが、その女性が忠告をする。


「ガルナ様、今回の目的に貴方の殺害は含まれておりませんが、邪魔をするようでしたら排除しても良いと承っております。その行動をお止めになることをオススメ致します」


顔色一つ変えずに丁寧な口調で忠告をする女性は床に落ちていた杖を拾い上げる。


「それではこれで役目は終えたので、(わたくし)はこれで」


ガルナは部屋を去っていく謎の女性を呆然と眺めていた。


「ガルナ?あれは...」


誰だ、と聞こうとした時にガルナの口が開く。


「ジューグ側近のメイド服...」


ジューグ、という名前にアカツキは覚えがある。それも嫌な方で。


「ジューグ、またあいつが関わってたのか」


アカツキの一言にガルナは声を荒げて、掴み掛かってくる。


「知ってるのか!!」

「はぁ?お前は俺のことを調べてんだろ?なら、農業都市での出来事も知ってるはずだぞ」

「俺の情報網はこの都市内だけだ。他都市のことまでそんな詳しいことは知らない」


そう、たとえどれだけ情報収集のプロと言ってもこの都市のみだ。全都市のことを事細かに知っているはずがない。


「詳しいことはこいつから情報を聞き出してからで良いだろ?アレット達との連絡が途絶えてるんだ。さっさと状況整理をして、人質にするなり、集めた情報を広めるなりして、この一件を片付けよう」

「....そうだな。すまん」


冷静さを取り戻したガルナは、手帳を取りだし何かをメモする。

その間にクルスタミナに尋問を開始しようとする...が。


「んじゃ、さっさと...」

「コレクション共!!こいつらの足止めをしろ!!」


最後の抵抗と言わんばかりに叫ぶと、屋敷内に最初から潜伏していたのか10を超える女性達がドアを蹴破ったり、タンスの中から武器を持って飛び出してくる。


「ここにいるガキを全員殺せ!!8番、ワシを解放しろ!!」


命令に従った、10人の女性達が一斉に襲いかかってくる。

その中から長髪の女性が縄に触れ、魔法を唱える。すると、縄は青く輝き魔法を吸収していく。

30秒後には赤く輝き、ボンッ!!と音を立てて小さく爆発する。


「逃がす...」


アカツキは腕から血を流しながら逃げ出すクルスタミナを追おうとするが、魔力が空っぽになったにも関わらず8番と呼ばれた女性が足を押さえてくる。


「アカツキ君!!早く記憶を戻してあげてよ!!」

「無茶言うな!!これ以上は魔力が限界だから無理だ!!取り敢えず全員動けないようにした方が早い!!」


アカツキの神器は体の生命活動を維持する為に一部となって活動している。

その力を一時適に魔力に乗せて放出することが出来る。一回一回に凄まじい集中力と魔力を使用する。5組の生徒を戻す際にガルナ達からも魔力を借りたせいで、全員魔法をに2、3回使える程度だ。


「ここは俺とミクで何とかする。アカツキとカナはあいつを追え」


「分かりました!!」

「行くぞ!!」

【???】


「ジューグ様、神器の回収を終了致しました」

「あの男は自分を過信し過ぎね」


ジューグは退屈そうに、机の上をトントンと叩いている。


「どうかなされましたか?」

「こんな呆気ない終わり方はつまんないわ」

「ジューグ様、あの男はもう利用価値は無いかと」

「そうね。だけど、最後は派手に踊ってもらうのも良いんじゃないかしら?」


ジューグの側近及びメイドとして、決して揺らぐことのない忠誠を見せるサティーナは少し不服そうだ。


「サティーナ、そんな顔しないの。貴女は私に無理させたくは無いのは分かっているわ」

「仮にもう一度チャンスを与えるとしても、もうあの男に学院都市での権力はありません。むやみやたら兵を消耗したくは...」

「うんうん。分かっているわ。だから、ちょっとだけ弄っちゃおうかしら」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ