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遥か彼方の浮遊都市  作者: 神羅
学院都市
51/186

<いつもの日常?>

やっぱり夜遅くの投稿は変わらない

「眠い」


シウンは大きな欠伸をしながら、階段を降りていく。

本当はもっと寝ていたかったが登校初日から寝坊というのは駄目だ、ということで、アレットに無理やり起こされた。


「頭がずきずきする」

「寝不足だからじゃない?」


この世界には二日酔いという言葉は無いのだから、そう思うのは当然か...。

というかもうこれで何回目だろうか。毎度ナルフリドが出る度にこんなことになってる気がする。


「おっはー」


食堂に入ると一番にミクが挨拶をする。昨日と同じテーブルには既に女子は全員起きており、朝食を取っていた。


「おはよ」


簡単に挨拶を済ませたシウンは食べ物を取りに行く。

寮での食事はバイキング形式で自分の好きな物を選べる。日によって出てくる料理も変わっているから飽きることはまず無いだろう。


「随分と疲れてるね」

「アカっちは頭が痛いんだってさ、僕は寝不足だと思うんだけどね」


ふーん...と言いながらシウンを観察するミク。


「あ、転んだ」

「相棒ーー!!」


アレットはシウンの下に走っていった。


「俺は何につまづいたんだ...」


何も無い所で盛大に転んだシウン。

まだ料理を運んでなかったから良いものの、こんなところで転ぶのは流石に恥ずかしいのか、周りをキョロキョロと見回していた。

そこにアレット駆けつけてくる。手を伸ばし、シウンを立ち上がらせると。


「本当に大丈夫?滑ったの?」

「滑ったというか何かにつまづいたんだよ。多分ボーッとしてたからかな」

「気を付けなよ?」

「ああ」


その後転ばない様に注意しながら料理をテーブルに運んでいく。


「大丈夫ですか?」

「へーきでしょ」


心配をしてくれるクレアといつもの様に他人事の様に言うナナ。


「シウン君はどうして転んだんですか?」

「何かにつまづいたんだと供述しており...」


ガッ!とアレットの胸元を掴むシウン。


「アカっち落ち着いて!冗談だってば」

「ったく...。でも本当に何かにつまづいたんだよなぁ...」

「ふふ...。幽霊ね」


幽霊という単語に一瞬反応を見せるシウン。

しかし何事も無かったかのように食べ始める。


「どうしたの?」


一瞬の動揺を見逃さなかったナナ。


「いや、何でもない」

「そっか」


まさかこの歳で幽霊が怖いとは言えないシウン。

もし言ったら3ヶ月間アレット達にいじられるのが目に見えるからだろう。


「シウン君、頭痛は大丈夫なの?」

「まだ痛むけど、その内治るだろ」

「痛み止め持ってるからあげよっか?」


それはありがたい。


「じゃあ朝食が終わったら貰うわ」

「はーい」


その後特に何も無く、時間が過ぎていった。


「これが制服か」

「なかなか似合ってるよ、アカっち」


制服や学年証などはナギサがユグド達によって運ばれた荷物を部屋に運ぶ時に一緒に置いていった。

白を基調とした制服だが見たときに思っていた通り、汚れが目立ちそうだ。


「じゃあ行こっか」

「おう」


部屋から出るシウンとアレット。

アレットは部屋にちゃんと鍵をかけると、バッグのポケットにしまう。

階段を降りて、寮の正門に向かうと準備をしていたクレア達が待っていた。


「遅い、何してたの」

「準備だよ。昨日はすぐに寝たからな」

「ちゃんと前日に準備しておきなよ」

「はいはい」


ナナといつもと特に変わらない会話をしながら、学院に向かう。

ミクから貰った痛み止めは予想以上に効き目があり、頭の痛みも今は気にならない。


学院に向かう時に様々な生徒を見かけたが、どの生徒も参考書などを読みながら移動していた。

ここが5組と違うところだ。5組の生徒が読んでいるのはマンガ本などばっかりで、誰一人勉強をしている様には見えなかった。

アレット達とバカな話をしながら歩いているとあっという間に学院に着いてしまった。


「アカっち達は転校生だから教室で自己紹介するまで別室だったよね?」

「そうだな」

「じゃあねー」

「ああ、また後でな」


寮の皆と別れて、あらかじめ指定されていた別室に向かう。

その途中に昨日の双子と遭遇した。


「おはようございます」

「昨日は無事に帰れましたか?」


相変わらず二人で一人と言った感じのサラとララ。


「無事...とは言えないけど、ちゃんと帰れたよ」

「それは良かったです」

「姉さん、委員長が来ました。早く教室に行きましょう」


と言って足早に去っていく二人。


「いつの間に知り合ってたの?」

「昨日のパーティーで最初の方にちょっとだけ話したんだ」

「ふーん...」


訝しむ目で見てくるナナ。

こいつが言いたいのはきっと「良くあんた一人で話せたね」とかだろう。

会って間もないのに、そんな風に分かってしまう自分が恐ろしい。と言うか、こいつの性格からしてそう言うことしか言えないだろうけど。

と、そんな考察をしていると委員長が話かけてくる。


「シウン君、アレット達を見なかったかしら?」

「先に教室に行ったよ」

「そう、じゃあまた後で」

「じゃあなー」


委員長とも軽く挨拶を済ませると、ナナだけでなくクレアまでもが驚いた顔で俺を見ていた。


「あんた...。まさか女ばっか狙ってるの?」


どうしてそうなった。


「いやいや、その解釈はおかしいだろ」

「あの人とはどういう関係ですか!?」


クレアまでもがシウンに質問を浴びせる。


「落ち着けって、ここで話すのもあれだから、まずは待合室に行こう!」


何とか二人を待合室まで連れていくシウン。

そこで先程の三人の話をする。


まずはクレアとナナが俺に抱いている女たらしという誤解を解かないと。


「あの三人とは挨拶をしただけで、実際のところあんまり親しくない。OK?」

「ふーん...」

「本当ですか?」

「お前らはどういう関係だと思ってるの?」


そう聞くとナナが真顔で言ってきた。


「不倫?」

「え!!?」


ナナの言葉に何故か驚きを見せるクレア。


「お前はもう少し純粋だと思ったんだけどな...。そうか、結構大人なんだな」

「だって初対面の人と面を向かって話せないあんたが、自己紹介だけであんな親しくなれるはずないでしょ?」

「人間は進歩するんだ。てか寮に居る5組の奴らと話してると、他の5組の奴らも大体同じように見えるんだよ」


そうですよね、と安堵したかのようなクレア。

ナナはまだ不満げだが、あの頭のおかしい面々を思い浮かべたのか一応納得してくれた。


ようやく一区切りつくとチャイムが鳴る。

それと同時にガラっと待合室のドアが開かれ、担任のアイナス先生が入ってくる。


「おはようございまーす。皆さん元気ですか?」


あの時の場の雰囲気だったから暗そうに見えたけど、実際に会ってみるとかなり明るめの先生だ。


「おはようございます」

「これから教室へ案内しますよ。寮に居る皆とはしたとは思うけど教室に入ったら自己紹介をしてくださいね」

「だって、頑張りなよシウン」


こいつ!!

ここで反撃しても良いけど、どうせ長引くからやめておこう。


「あのあと何かありませんでした?」

「...?」


ああ、あの豚同盟の奴らに散々嫌みを言われた後のことか。


「特に何もありませんでしたよ」

「そうですか...。副理事長が本当にすみません」

「いえいえ、先生が謝らなくてもいいんですよ」


本当にああいう上司がいると大変だよなぁ...。


「ここですよ。皆元気なので大変かもしれませんが、頑張ってくださいね」


元気過ぎなんだよなぁ。昨日のパーティーでこのクラスは異常にテンションが高いことがよーく分かった。

明日登校するにも関わらず、ナルフリドを振る舞い始めた時点でおかしいのに、学院都市内にはびこる害悪ロボットこと警備ロボットを撲滅してやらあああああ、とか騒ぎ出したりした。

まあ、サラとララの親父さんに説教されて実現することは無かったけど。


「皆ー、おはよーう」


元気よく教室のドアを開けるアイナス先生。

しかし目の前に広がる光景にシウン達すらも唖然となる。


「あなた達はいつも面倒ばかり増やして何がしたいのよ!!」

「委員長だって乗り気だったじゃないか!それに壊したのは僕じゃなくてリナだって言ってるだろ!」

「あなた達が無理やりナルフリドを飲まさせたからでしょ!!私が弱いのを知っていて飲まさせたんだもの!それはあんなにテンションが上がるわけよ!!」


机が辺りに散らばり、真ん中で取っ組み合いをするアレットとサネラ委員長。それを取り囲みながら歓声を上げる5組の生徒、その光景を見てアイナスはあわあわと慌てふためく。


「ついに学級崩壊が...。どうしよう、私はどうやって止めれば...」


そんな中シウンは傍観を決め込んでいるガルナの下に行く。


「どうしてこんなことになったんだ?」

「リナの父親は学院警備員だからな、昨日警備ロボットが破壊されたから緊急呼び出しを受けたんだとさ。そのことを聞いたリナがアレットの仕業だと勝手に思い込んだ結果こうなった」


流石は学級を仕切る学級委員長、よーくアレットのことを分かってる。でも昨日のあれは俺が飲み過ぎたせいで壊さざるを得なかったんだよな。ここは俺が謝って場を収めよう。


「考えてることは分かる。だが、やめておけ。そんなのであいつらは止まらない、どっちもバカだからな」

「でも先生も困ってるぞ?どうするんだよ」

「大丈夫だ、時期に収まる」


まさにその言葉を言った瞬間だった。


「喧嘩は」

「駄目です」


双子のサラとララが争いの場に乱入する。


「あなた達は黙っていなさい!これは私とアレットの...」

「委員長――なんですか」


ここからでは聞こえない小さな声で囁くサラかララ。

本当に似ているので会ったばかりのシウンにはどっちがどっちかまだ分からない。

しかしその一言でサネラの攻撃がピタッと止む。そして徐々に顔を赤くしていく。


「な、ななな何を言ってるんですか!!そんなわけ..わけ」


どんどん語尾が弱々しくなっていく。


「アレットも本当のことを言うのです」

「ララに言われなくても僕は本当のことを言ってたんだよ!!?」

「ならお互い落ち着きなさい。そしてちゃんと話し合いをして」

「姉さんの言う通りです」


これは...!!

こんなクラスにもちゃんとした奴が...。


「話し合いも何も二台も壊しといて言い訳はしないで頂戴!!」

「それも言ってるよね!?もう一台には僕らは関わってないって!」

「姉さん、早く止めましょう。これから先は無駄な話し合いです」

「そうね」


...おい。


急に慌て出した双子の姉妹。


「ガルナ、お前は何か知ってないか?」

「情報料は銀貨一枚だ」

「ほい」


校内一の情報通であるガルナ。

今回はさっさと終わらせたいから、銀貨一枚は仕方ない出費だ。


「委員長は酔って覚えていないが、酔っている委員長を家に送ったサラとララだ。帰り際にあの二人は小腹が空いたから寄り道をした。しかし途中で警備ロボットに見つかりダブルドロップキック。結果警備ロボットは大破した」


少しでも期待をした俺がバカだった。

あの双子も双子で隠蔽をしようとしてやがった。


「二人とも」

「座って座って」


サラとララはクラスの皆の協力を得て、机と椅子を裁判のような配置にする。

この時点で何をしてるんだお前らと言ってやりたい。


「皆が自分達で解決を...!なら担任として私も見届けないと!!」


この親にしてこの子ありではなく、この教師にしてこの生徒あり、担任であるアイナスすらも取り込んで、物凄く意味の無い学級裁判が開かれる!!


「なあ、やっぱりこのクラスは色々とおかしいと思うんだ」

「珍しいね。私もあんたと同じ意見だよ」

「流石にこれは私も庇えません...」


この状況に全くついていくことの出来ない三人。


「おい、早く傍聴席に着け。裁判が始まるぞ」

「何でお前も若干乗り気なの?」

「意味の無い裁判で授業時間が減るからだ」


学生が抱くごく普通の考えだった。

もう考えることを放棄したシウン達も加わり、裁判が開始した。

いつの間にか評価が20を越えていました!!(ありがたやありがたや)

そして記念すべき初めての感想!!とても励みになります!!ありがとうございます!

気になる点でご指摘された「」文字が続くとき誰がしゃべっているのか分からない。ですが地の文でわかりやすくしたり、特徴のある言葉遣いで区別しやすくしたいと思います。


読者の皆様に深く感謝します!!ありがとうございます!


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