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遥か彼方の浮遊都市  作者: しんら
【農業都市】
37/187

第一章 旅立ちの物語 <行ってきます>

「むむむ...」


俺、昨日の夜にめっちゃ恥ずい事言っちゃったんだけど...。

少し酔いが残ってたからってあれはない、ないな。どうしよう...。色々と大変な事になった。


アカツキは昨日の夜のクレアとの会話を思い出す...。


ああああああああああああああああああああ!!!!!

どうしよう、どうしよう...。

今までのキャラが...。

それにクレアを連れていくって事は当然あいつも危険に晒される。

本当にまずいことになったぞ?


現在は朝の5時、ようやく日が昇ってきており薄暗い光で照らされる部屋の中でアカツキは今後をどうするか真剣に悩んでいた。


一緒に旅をしてくれるのは本当にありがたいけど、今の俺は何の力も持ってないし、守れるとは思えない。

だけどあんなこと言っといて断るのもあれだしなぁ...。


早く起きすぎてしまったアカツキはかれこれ三十分考え事をしている。

しかしそんなアカツキの部屋に来訪者が...。


「アカツキ、起きてる?」


ノックの後に聞こえてきたのは病院で一度だけ話をしたグルキスの声だった。


こんな朝早くになんだ?

まあ、このまま寝たふりをしても良いけど、わざわざ来てくれたんだから行かなきゃな。


すっとその場を立ち上がり、ロックを外しグルキスを中に招き入れる。


「おはよ。こんな朝早くにどうした?」

「おはよう、アカツキ。ちょっと僕から君に頼みたい事があってね」

「頼みたい事?」


とりあえず立ち話もあれなので、近くの椅子に座らせる。


「ありがとう。それで話っていうのはね」

「待て待て、絶対ろくな事じゃないだろ?一度精神統一をさせてくれ」


これまでの経験からして、この頼み事も絶対に面倒な事だったりする。

なので、少し深呼吸を...。


ふぅ...。


「よし!バッチこい!!」

「うん、分かった。君は昼にはここを出るんだろう?」

「そうだな」

「その旅に同行させてほしい人が居るんだ」


えぇ...。

ただでさえクレアの事だけでも手一杯なのにまたですか...。


「まあ、素行が悪い以外は普通に何でもこなせる女の子だから」

「して、理由は?」

「君には嘘に聞こえるかもしれないけど、二年前にある占い師に出会ったんだよ。黄色いローブを纏った高齢のおじいさんらしき人で、その際に助言というか警告というか...。まあ、取り敢えず聞き捨てならない事を聞いたんだよ」

「ふむふむ」

「おじいさんが言うにはナナが僕達と一緒に居ると危険だってね」


胡散臭いけど、今回の件でたしかナナって子は意識不明の状態なんだっけ。

だったら正しかったって事だろうけど...。


「やっぱり信用出来ないかなぁ...」

「まあ、そうだろうけど僕があのおじいさんの占いが当たるって思うようになった出来事があったんだ。ほら今回の暴動でアラタが死にかけた君を守ってくれたりしたよね」

「あー、あの牢獄の時だな」

「普通ならそんなヴァレクに疑われるような行動をしないはずなんだけどね。だけどわざわざ尋問官を殺してまで君を守った。後で理由を聞いてみたら、彼も同じく助言をされてたんだって。内容はジューグが隠し持っているであろうヨハネの黙示録」


アカツキはその単語を聞いて驚きを見せる。


「それって終末とかが記されている書物か?」

「....いや?ヨハネの黙示録は世界に数冊存在している古代の賢人が作り出した物で中には終末のシナリオが書かれた物もあるらしいけど、他にも人の未来を自由に覗ける書物だったり、古代に消滅した魔法の知識が記された書物を全部ひっくるめてヨハネの黙示録って言うんだ」


俺の知ってるのは終末に向かう七つの封印だったりありとあらゆる禍を記されているものなんだが?

つまり古代にも異世界からの来訪者が居てそいつが書いた書物か。

少しは関わりがあるんだろうけど、生憎あんまりそういうのは調べなかったからなぁ...。

中二病こじらせてる時にもっと調べとけば良かった。


「それでそのジューグって奴が持っていたのは?」

「禁忌の知識の書庫にあると言われた一章『人の未来を予言した書物』だったみたいだよ。それである人物を調べろって言われた。その人物がアカツキ、君だったらしい。未来に出現するであろう人物をあのおじいさんは調べるように助言した。そこで君の持つ神器の可能性を知った」


つまりはそのじいさんは俺がここに来る事を最初から知っていたってことか。


「しかも変装して侵入しろとか言われたって。まあ、僕に変装して書物を見た事で今回、上手くジューグを騙せたんだけどね」


多分それも予想して助言したのか...?


「何者だよ...」

「僕も分からないけど占いが当たっているのが現状だよ。それで僕はナナを苦渋の決断で君に預ける事にしたんだよ」

「そっか、お前シスコンだったもんな」


「えっ!!!?」


グルキスは突然のシスコン呼ばわりに驚きを見せる。


「いや、な?アズーリ教えてくれたんだよ」

「確かに妹は大事にしてたけど...」

「だって会ったばかりの少女に自分の妹重ねて名前まで一緒にしちゃうんだからな。もし俺がシスコンだったらその気持ちがよく分かると思うが、聞いてて若干引いたわ」

「そんな目で見ないでよ...。実際そうなんだから仕方ないじゃないか」


ほら結局自分でシスコンだって認めちゃった。


「人によって性癖は違うからな、少し気持ち悪いけど...。うん、我慢する」

「だからそんな目で僕を見ないでよ!!」


嫌悪感の混じった視線を浴びせてくるアカツキに我慢できなくなったのか、目を反らしながら話を続ける。


「それでナナを君に預けたいんだよ」

「おいおい、『シスコンの僕はナナが大事で愛しいけど、危険には晒したくないんだ!!』こうだろ?」

「そろそろ僕も怒るよ?」


そっと手をアカツキの方へと向けると突然アカツキは地面に叩き伏せられる。


「あべし!!....ごめんなさい、調子に乗りすぎました許してくださいグルキス様ぁ!!!」


一気に捲し立てるアカツキを尻目にグルキスは部屋を出ようとする。


「じゃあナナを頼んだよ、アカツキ。後いざとなったらこれを渡してね」

「お願いだから解除して!!じゃないとその手紙も受け取れません!」

「じゃあナナを連れていきますって言えば許してあげるよ」


ぐぬぬぬ...。

面倒なことこの上ないけど、左腕が痛い..!!


「分かった!!分かったから早く解除してくれ!!左腕がぁ!」

「はい、約束した」


何のモーションも無く重力が正常に戻る。

いまだに左腕を押さえながら、グルキスの持つ手紙を受けとる。


「じゃあ頼んだよ」

「この鬼シスコンが!!」


またもグルキスに重力魔法を食らい、一時間放置されました。


...


「どうしました?左腕ばっかり押さえて」

「大丈夫、ちょっと左腕が疼くだけだからな」

「そ、そうですか」


一時間もグルキスの野郎に放置されたせいで左腕に重心が掛かり過ぎてめちゃくちゃ痛い。

今度またここに帰ってきたら復讐してやろうかな...。


にしても何でナナって子がもう目を覚ましてるのにあいつから説得しに行かないのかな?

あいつの方が長い付き合いなんだから俺なんかよりもよっぽど説得しやすいと思う。

この手紙の中身も何を書いてるか分からないし、本当に何の為にこんな回りくどい事してんのか分かんないな。


現在アカツキ達はグルキスにナナを頼まれた為に、こうしてわざわざ病室に赴き話をする。

アカツキが見たことあるのは、農業地区での戦闘とヴァレクの屋敷。そしてクレア奪還の時に階段の隅で気を失っている時だ。会話もした事が無い為、どう接すれば良いのかよく分からないようだ。


「昨日の深夜に目を覚ましたばっかなんだろ?今起きてるのかな?」

「起きてるというか、寝ないというか...。まあ会ってみればきっと分かりますよ」


どうやらクレアは昨日俺と部屋で話し合った後、一足先に会いに来たらしい。

そこでほんの少し彼女と話そうとしたが、見事に追い出されてしまったと言っていた。


「そうだな」


やがて一番端の病室に到着する。

この中に昨日の花火の途中で目を覚ましたナナと言う少女がいる。

とりあえずはおはようからか?その後はどうやって話題を言おうか...


「悩んでばっかりじゃ時間が過ぎるだけです、アズーリさんが頼んだ馬は丁度正午に到着するのでここで手間取ってたら、迷惑をかけてしまいますよ?」

「いやいや、珍しくお前が寝坊しなきゃもうちょっと早く来れたんだぞ?」

「う...」


そう、昨日寝るのが遅すぎたこいつは俺がいつも起きる時間よりも一時間以上も寝ていた。

いつも俺が起きるのは9時、そしてクレアを起こしたのが10時半、よってもう時間が殆どない。

てな訳で後はなるようになれ!


ガラッと病室のドアを勢い良く開く。


「おはよう!ナ...ナさん?」


アカツキがドアを開くと、ベッドの上で少女が果物ナイフを持って手首を切ろうとしていた。


「バ...ッカ!何してやがる!!」


アカツキは即座に果物ナイフを取り上げようとする。


「あんたは...」


少女の手を押さえているアカツキの顔を上目遣いで見ながら、質問を投げ掛けてくる。


「なにしてんだよ」


アカツキは質問には答えずに、果物ナイフをまだ離そうとしない少女の手を出来る限りの力で押さえ込む。

それでもナイフを確実に手首に近づけていく。


「やめろって言ってるだろ!!死ぬ気か、バカ!」

「死のうとしてるからこうしてるんだ、離してよ」

「クレア!!俺が押さえてるから、ナイフを取れ!」

「分かりました!アカツキさん、絶対に力を緩めないでください!」


急な出来事に一拍遅れたクレアが走ってやって来る。


「そうか...。アカツキだったね、忘れてたよ」

「おいおい、華奢な体して、どんだけ力あるんだよ」


いくらスポーツは勿論筋トレすらあまりしてなかったアカツキとは言え、年下の少女に力負けするはずがないのだが、ジリジリと手首に迫っていく。


「早く取ってくれ!」

「待ってください、今筋力増加の魔法を...」


クレアがさっと手を前に差し出すと彼女の周りに淡く赤い光が降り注ぐ。


「これで...」


筋力増加の魔法で強化した事で、一時的に筋力を上げ、容易くナナからナイフを奪い取る。


「...返してよ」

「はぁ?」

「あんたらには関係ないでしょ!グルキスもルカもアラタも皆死んだのに、どうして私だけ助けるの!?」


ああ、そう言うことか...。

あいつら自分達が死んだと思わせてるのかよ、アズーリもそれには合意してんのかは分からないけどあいつの事だから、アラタに頼まれれば簡単に嘘を言うだろう。


「まずは落ち着けって、話はそれからだ」


とりあえず周りに危険な者が無いか確認をする。

舌を噛みきったりしようとすれば即座に止めれる位置だし、まずは一安心。


「なあ、お前はどこまで覚えてる?」

「答えたくない」

「じゃあ次に質問。これからどうする」

「あんたらが去ったら勝手に死ぬよ」

「...どうしても?」

「何でこんな世界で生きなきゃいけないわけ?」


自暴自棄になってんな...。


「何が帰ったら話して貰って...だ。結局私は一人ぼっちじゃない...」

「お前本気で死んでも良いと思ってんのか」

「二回目だよ...。だから私の勝手でしょ!!」

「じゃあさっさと死ね。あいつらとの思い出も、生きてきた証も全部捨てる事が出来んならな。あいつらがどんな思いでお前を助けたかも知らないままに、あいつらの意思を蔑ろにしてな」


これには罪悪感が重くのし掛かる...けど、死なれるよりはマシだ。


「そんな綺麗事なんかで...」

「綺麗事だ?ふざけんなよ、何のためにお前を逃がそうとしたんだよ。お前に生きて欲しいからだろうが!なのに何が綺麗事だ!!人をバカにすんのも大概にしろよ」

「あんたに何が分かるんだよ!」


こっからは賭けだ。


「分かるんだよ、グルキスって奴に頼まれたんだからな。これに全部書いてあったよ」


そう言って手紙を渡す。


「グルキス...が?」


無理矢理手紙を押し付けると、ナナは恐々と手紙を開き始める。


【ナナへ】

『こうして手紙でしか話せない事を許して欲しい。多分これを見てる時には僕達はナナと話せない状況だと思う。だからこうして誰かに手紙を託す事しか出来ない。

多分今ナナは怒っているのかな?それとも僕達の為に悲しんでくれてるのかな。僕の勝手な都合で君を引き取り、嘘を何度もつきながら、君を真実から遠ざけ今日まで年月が経ってしまった。当然そんな事をしたらナナは怒るよね...。だから僕は君が知りたいであろう事をこのに書き記した。

まずはどうして君を引き取ったかだね。僕が始めて会ったときのことをナナは覚えてる?僕は今も鮮明に覚えてるよ。七年前の昼、僕が一人で町を歩いていた時に、路地裏でまだ小さかったナナを見つけた。奴隷だった頃の記憶なんか思い出したくないとは思うけど、話に付き合って欲しい。

君は質の悪い男に買われた事以外は、当時の農業都市では普通の奴隷の少女だ。だけど僕が始めて見たときに思ったのは昔、死んでしまった妹に似てる、だったよ。もう知ってるかもしれないけど僕の妹はヴァレクによって殺された。ここでもう一つの知りたいであろう事に繋がるんだ。それはどうして今まで多くの人が君に隠し事をしてきたかだ。正直に言うと嫌われたくなかったんだ。君が奴隷なんていう不当な扱いを受けてきたか、それは僕らが昔起こした一斉蜂起が原因なんだ。僕が妹を殺された事で怒り、アラタ達を巻き込んで起こしたのが奴隷の一斉蜂起。これでヴァレクを殺せれば良かったんだけど、結果はアラタが殺され、僕達も命からがらに逃げたりしたが、結局は全員捕まった。その際に奴隷の選別が行われたんだ。戦力になる奴隷を集め力を持たない者達は将来力を持つかもしれない子供を選抜対象から抜かし、主に老人などを殺していった。これが農業都市の戦力増加を促し、今では他都市にも劣らない戦力を保持している。その過程で君の家族は殺され君だけが生き残った。』


二枚目


『そして僕は幼い頃の妹の生き写しのような名もない少女を心の安定の為に、買い取った。金をちらつかせたら簡単に手放してくれたよ。...最低でしょ?君には何も教えずに心の拠り所にするためだけにナナ、君を今まで一緒に行動させてたんだ、こんな君に会う価値の無い、ゴミみたいな男の最後の頼みを聞いてくれるなら裏を見てくれ。もし許せないなら...。この手紙を燃やしてくれ』


ナナは裏を見る勇気が出ないのか、ぷるぷると震えながら手紙を握り締めている。


「どうする、グルキスはお前を今まで騙してきた。だけどな、それ以上にお前を愛していたと思うぞ。無理に見ろとは言わない、お前が決めろよ」


その言葉がきっかけになったのかは分からないが、ナナは少しずつ裏に捲り始める。

十秒程時間を掛けて、ようやく裏に書いてあった文字が確認出来る。



               『ナナをいつまでも愛してる』

                  だから生きてくれ



大きな文字でそう書かれていた。

ナナはそれを何度も読み返し、涙を溢す。


「ばかぁ...。なら...。生きててよ」


消え入りそうな声でそう呟き泣き始めた。


...


あれから十五分程泣き続けたナナ。

今はただ窓から外をボーッとしながら見ていた。


「ナナ」

「...なに」


俺はようやくここで本題に取りかかる。

さっきまでは心底嫌だったけど、今は連れてっても良いと思っている。

さすがの俺でも人前で大声で泣いている少女をこのまま何もせずに置いていく程腐ってはいない...と思う。

グルキス達に会わせてやろうとも考えたけど、そうする事で危険に晒されるのを知ったまま旅に出るのは心にわだかまりが残る。何よりグルキスが言っていた危険に晒されるというのは死に直結してしまう出来事なのではないかと思っている。旅の最中にもきっと危険な事があるとは思うが、いざとなったら二人だけでも逃がせば...。とか思ってるけど、勝手すぎるかなぁ...。

悩んでても仕方ないか、最後に決めるのはこいつだしな。


「俺達はこれから旅に出るんだけどさ、何なら付いてくるか?」

「は?」

「このまま居ても、あいつらとは会えない。何もする事が無いなら外の世界を見て回って、また農業都市に返ってきたら、あいつらに土産話でもしてやったら喜ぶんじゃないか?」

「外の世界に...。皆喜んでくれるのかな」

「絶対とは言えないけど、アラ....。いや、シンとかグルキスなら好きだと思うよ」

「とか?私達はずっと三人だったよ?」


...そうだったな。ルカって人は誰の記憶にも残ってないんだった。

他の人に忘れられるって、どんな気持ちなのかな...。

駄目だ駄目だ、今は連れていくように説得させないと...


「ナ...」

「良いよ」


説得するために口を開いたアカツキを遮ってナナは簡単に了承した。


「...え?」

「だって、あの二人はお伽噺とか好きだったからね。世界のお伽噺を聞いたら絶対喜ぶと思う」


まじか、流石にこれは予想出来ませんでした。


...


ナナと話した後に俺とクレアは準備していた荷物を荷馬車に持っていき、準備は整った。

ナナは急いで荷造りをして、今は二人の墓にお参りに行っている。

わざわざ偽物の墓まで作り、死んだことにさせている、この手際の良さからしてアズーリも関わっているのは間違いないみたいだ。


俺達は最後にやることもやったし今は案内をしているアズーリとナナが戻ってくるのを待っているだけだ。


「お待たせ」


噂をすれば...。


「もう良いのか?」

「良いよ、二人の墓にちゃんと報告もしてきたし」

「そっか、じゃあ行こうか」


ナナの荷物を積み込み、空いた席に腰を下ろす。

そして下にいるアズーリに。


「馬を用意してくれてありがとな」

「これくらいの事で礼なんて言わなくても良いよ」

「多分来年には帰ってくると思うから、祭りも楽しみだしな」

「そうかい、じゃあそれまでに農業都市を変えておくよ、奴隷の居ない普通の都市にね」

「手伝えなくてすまないな」


アズーリは手を横に降りながら。


「大丈夫だよ、それにこれからはこっちの心配よりも自分達の心配をしなよ、もう知ってると思うけど、どこの都市もぴりぴりしてるんだ、衛兵にでも疑われたら即刻切り殺されるとかもあり得るんだから」

「何とか上手くやるよ、それに次の都市はお前の知り合いが仕切ってるんだろ?なら問題は無いよ」

「今回はね、だけど旅なんてのはいつ何が起きるのか分からない、常々油断しないようにね」


念には念をと言わんばかりに忠告してくるが、それほど心配してくれてるんだな。


「分かったよ、一応俺を除く二人はそこそこ魔法とか使えるし最悪な展開にはならないよ」

「女の子二人に頼る男って...。僕が悪いんだからなにも言えないけどさ...」

「言ったろ、ああするしか方法が無かったんだから俺は怒ってないって。俺も生きてるしアラタも生きてる、それで良いじゃないか」

「うん...。本当に悪いね、もしも何かあったら直ぐに呼んでくれ、何よりも最優先で助けに行くから」

「あいよ」


ひとしきり会話を終えると、待っててくれたおじさんが...。


「皆さん掴まっててくださいね、出発しますよ」


その一言を聞き、最後に言いたい事を言う。


「じゃあな、うちの妹のアルフをよろしくな?」

「大丈夫、今はアカネが付きっきりで勉強してくれてるし、グラフォルも我が子を大事にしてるからね」

「そりゃ良かった」


行きますよーとおじさんが告げる。


「三人とも良い旅を。行ってらっしゃい」

「おう!!行ってくる」


馬はようやくかとばかりに走り出す。

遠ざかっていく農業都市を見ながら、新しい都市がどんな所か期待している。


楽しみだなぁ

ようやっと一章終了!!

ここまででブックマークをしてくれてる方は四名様!!

ありがたい!!

これからも頑張りますよ!

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