<許されざる存在>
―――その再開は、必然であった。彼が自身の妹を最後まで想っていたことを、自身とすげ変えて現れた少年を受け入れざるを得ない状況にあった二人の旧友を最後まで友と呼んでいた事を。
彼が、何よりも優先していたのが繋がりであることを。
他者との繋がり、家族との繋がり、それら全てに執着し、自己を失って尚、その想いを切り離せない事を知っているからこそ、それを利用するのだ。
それが英雄としての自身に課せられた使命だ。しかし―――それでも。
「君は、これで良かったのかい」
閉じられた地獄の門、そこで叶った束の間の再開を青年は問いから始めた。
「これでって?」
その問いに対して少女はかつてと変わらない体躯、変わらない仕草で頭を傾けて疑問を口にする。
「―――この結末で、本当に君は良かったのかい」
「...やっぱりお兄ちゃんの言う事は難しいや。その結末って言うのは私のこと?それともあの人の事?」
その言葉を受けて、ネヴの顔が大きく歪む。生前ならまだしも、死後すらも彼女は本当の記憶を持たないのかと。先代当主カース・スルミルの手によって、彼女は全てを忘却し、偽りの兄を本物の兄と慕っていたのだ。
ネヴは死後信仰都市を漂っている間にそれを知り得たが、彼女は外界から切り離され、地獄の女主人としてハデスと共に居た。故に―――。
「覚えてるよ」
しかし、その絶望がたった一言で覆る。
「ううん。最初から全部覚えてたの。お兄ちゃんが本当のお兄ちゃんじゃない事。お父さんはメモリアルで私を都合の良い存在に変えたと思い込んでいたみたいだけど、私は一度もお兄ちゃんを―――ネヴ・スルミルを忘れたことは無い」
そう、前を向いて健やかな強さを持って彼女は語った。
これまで隠し通していたけれど、死ぬ瞬間まで言えなかったけれど。死んでからようやく伝える事が出来る。
「私も、お父さんの事は許せないよ。色んな人の人生をめちゃくちゃにして、グルーヴァやアシャちゃんに酷い事もたくさんした。けどね、それ以上に大切な人が、その怒りを我慢できるくらい強い想いがあったの」
彼はこの事態に陥った時点で、大予言者クラヴァ―・リストロミアの介入が無ければ止める手立てがないと言っていたがそれは違う。奇跡を為した大魔法、結合した一つの要素を二つに分けるその魔法が無くとも、ネヴ・スルミルの暴挙を止める手立てはこの世界に存在する。
少女の心に渦巻く黒い感情―――それと対を成すようにその中で輝く光を、私達は知っているのだから。
「―――私は大事だったんだよ。貴方の事も、本物のお兄ちゃんの事も、グルーヴァの事も、アシャちゃんの事も、みーんな大好きだから何とか生きていけた。けど、あの時の私には力が無かったから...」
その身を捧げることでしか、この先が無い事を知った。
―――私には、シズクと言う少女には何かを成し遂げるための力は無かった。故に選択肢は一つしか無く、それが唯一の先に続く希望だった。
「私もなんだよ。酷い人間だったのはお兄ちゃんだけじゃない、私も最低で最悪の人間だった。―――だから、一人で抱え込まなくていいんだよ」
その少女の言葉に、同じ名前をしたかつての巫女の姿が重なる。偶然や幻想などではない。ネヴの目には確かに二人の少女が...。
「――――まさか、君は」
消えた筈の初代巫女。最初の地獄との戦いで次代に託して死んでいった彼女の魂が、同じ名前をした少女の下へと集い、二つが重なり、今の彼女を構成している。
「―――何も救えてないなんてことはない。一人の私は英雄に拾われ、その愛情を受けて育ち、もう一人の私は本物の兄の手で掬い上げられた。二人の貴方が、今の私達を助けてくれたの」
そこまで言われて、ようやくネヴは一つの結論に思い至る。この空間が、この再開が意味するものに。
「そうか、君も最後の刻は定めていたんだね」
これは彼女の決意の表れだ。シズクという少女が消え去ってしまう前に心に残っていた未練を払う為の贖罪の場。きっと自分も全てを投げ去ってしまう前ならば、一番その想いを伝えたい誰かに全て伝えた後切ることを願う。
同じだから、分かるのだ。―――兄妹だから、分かってしまうんだよ。
「ごめんね。お兄ちゃん、でもこれは約束だから。黒羽との、―――たった一人の少女の為に全てを捨て去ることを良しとした一人の少年と私が交わした秘密の盟約」
始まりはいつだっただろうか。そうだ、私が死んでから少しした後、何もない白い世界で次を待ちわびていた私を奪い去るように現れた黒い腕。理を踏み越えて現れたその黒き腕は私の手を引っ張り、魂の檻から私を掬いあげた。
『良かった。まだ、居てくれて。―――お前まで、消えないでいてくれて』
魂だけとなった私を抱きしめてその男の人は泣いていた。最初は何が起きているのか分からなかった。だって、一度死んだはずなのにまた人の温もりを感じ取れるなんて誰が思えるのだろう。ましてや―――その温もりが、もう会えないと思っていた人のものだなんて。
私が死んでからこちらでは幾何かの歳月が流れ、かつての少年は青年へ、荒れ果てた大地は草木が生い茂る草原と化していた。
そして、私が許されてはいけないということも悟ってしまう。その最後も、終わりの後も、私と言う人間は許されない存在であった。英雄の紛い物として生み出された被造物、スルミルの名すら与えられなかった出来損ない。
兄に選択を強いて、許されてはいけない再誕を果たしたこの世の異物。それがシズクという存在の全てである。
私は力が無いなどという言葉を盾に、父の暴挙も、兄の気持ちも考えず全てを投げ出した。その選択が齎したのは輝かしい未来などではなく、歪み、狂い果てた黒い未来。私が選択を違えなければ、己の無力に寄り添いながらも、共に歩む事を考えていれば、このような結末にはならなかったのではないかと何度も思った。
およそこの世のものとは思えない怪物が闊歩する異空間で、あの人が大事にしている黒い塊の傍らで私は飾られている。今度こそ手放すことは無いようにと、その異空間の主に飼われながら、幾星霜と言う年月を傍観しながら生きている。
兄だった人が、愛しい家族がその手を血に染めて、狂気に落ちていく様をただ見る事しか出来ず、感情というものが乏しくなっていた頃、その少年はこの世界に訪れた。来訪者、という割にはボロボロだし、覚悟らしいものも持っていない。私の後ろで眠る怪物にいつ殺されるのかビクビクしながらも、それでも、その少年は手を伸ばす。
『ぼ、僕と。―――俺と契約しろ、悪魔!!』
臆病ながらも大胆に、それでいて人間らしい強欲さを携えた黒羽と名乗る少年は地獄の女主人に契約を迫る。どこぞの絵物語で学んだのかは知らないが、私を悪魔と呼び、あまつさえ契約を持ちかけた少年。
長い年月を地獄で過ごす内にその性質は人では無く、怪物に大きく傾いたその女は感情の乏しい顔で、その眩しい光に手を伸ばす。
羽虫が光を求めて、それに焦がれるように、私という闇はその少年の決意と覚悟に救いを求める手を伸ばしたのだ。その手が触れあった瞬間、私を通して何かが胎動を始める。その瞬間、靄の掛かったような視界は鮮明に、虚ろとなっていた心に僅かな光が注がれる。
その人間性を育て上げるように彼は足しげく私の所に通い、何度も地獄の力を求めた。最初は興味も無く、断っていたが、次第に元の人格を取り戻していくと私は彼を思ってその願いを拒絶する。
彼は死ぬことなど怖くはないと語るが、そんなものが生ぬるく感じる程の生き地獄を彼は味合わなければいけなくなる。それしか方法が無いにしても、それを幼い彼に強いて良いものかと葛藤しながら日々を消化する。
『どうしてそんなに力を求めるの?』
そもそも地獄に通じる道をどこで見つけたのか、どうして何度も訪れる事が出来るのかを彼は最後まで語らなかったが、その質問だけには答えてくれた。
『―――救いたい人が居るんだ。自分の全てを投げ出してでも、助けてあげたい人が。でも、俺には力が無い』
『...その人は君にも幸せに生きて欲しいと思うのだけれど』
『―――だからだ。あいつは、ずっと誰かの為に生きている。だから、俺だけはそれに甘えてちゃいけないんだ。巫女として、人の願いを叶えるだけのあの子に俺だけは幸せに生きてくれと伝えたい』
―――そういう、考え方もあったのかと私は思案する。優しいだけの人間に必要なのは、その優しさに依存する人間だけでは無く、その優しさを否定し、与えるだけの立場から与えられる側にしてあげる誰かが居てあげなくてはいけない。
そんな何とも人間らしい言葉を受けて、私は最後の問いをする。
『―――その子の名前を教えてくれる?』
『え...』
『良いから、早く』
『天間。あまのましずくだ』
―――運命は巡る。この都市に用意された物語は最早単一化し、始まりと終わりに立ち会う人間もまた、元から用意された道化。私達は、その命が終わるまで、終わって尚、踊ることを辞めるのは許されない。
同時に、私は理解する。―――私が舞台に上がらなければ、この地獄を終わらせることは出来ないのだと。私から始まった物語は、私の手で幕を引けと神様は言っているのだろうか。
『...分かった。けど、生半可な覚悟では貴方の願いは果たせない。それは理解している?』
―――なんて、そんな事を言ってはみたものの彼がどう答えるかなんて私は知っているのに。
『―――何でもする。雫を助けられるのなら』
『...分かりました。でも、力を得るには対価が必要になる。契約の内容もそうだけど、貴方には私の望みも叶えて貰います』
契約の内容は、地獄の力を宿したその瞬間から、死ぬその瞬間まで眠ることを禁じるというもの。彼と言う存在を門と同化させ、兄から半ば強引に渡されたこの異界の半分を彼と言う門を通じて私が行使する。そうすることで力を持たない黒羽にも、地獄の力を扱う事が可能になるだろう。
しかし、彼と私の目的が果たされるその瞬間まで兄にバレてはいけない。地獄の力が誰かに行使されたとあれば、間違いなくもう半分の地獄を支配する彼が見逃さない。故に、その目が機能出来ない瞬間、或いはその時が来るまで力は封じておかなければいけない。
故にこそ、彼に眠りを禁じた。常にその荒れ狂う力を制御し、決して外部の人間には見せない事。それが契約の内容。
『分かった。寝るなと言うなら、どんな手を使っても俺は常に目を開けている。決して、目を反らさず、現実に生きろと、貴女が言うのであればそれに従う。けれど、貴女の望む事とは何だ』
『...助けてあげること』
『え?』
『―――絶対に君が助けたいと思う人を助けてあげて。それが私の。シズクの望みだよ』
―――そして、とても長い年月を経て、遂に少年は運命に相対した。これまでの旅路、これまでの苦悩の行きつく先。黒羽勇矢という人間が定めた始まりの刻。
眩いばかりの光に、全てを塗りつぶすような黒を持って抗う男が一人、そこに立つ。
「来たんだね、黒羽」
星との同期を終えて、人器メモリアルはその機能を停止させた。それを持って付随する記憶の改変は解かれ、全ての人間が正しき記憶を取り戻した。それを為してしまえば、天間雫と言う人間に心残りは無くなり、遂にその復讐を果たす為に動き出す。―――だから、その前に立ちはだかる存在が現れたのも、また必然なのだろう。
「―――あぁ、これで終わりだよ。雫」
その体に刻まれた地獄の門としての機能、右腕に巻いていた包帯をほどき、その下に刻まれた黒々とした刻印を露わにすると、黒羽の背後に巨大な髑髏を宿した古の門が開かれる。創世の神の庇護を失った人々が新たに生み出した信仰の形。罪なき魂が白き世界に連れていかれるのならば、この門を通ることが許されるのは罪を背負った人間だ。
「―――契約の成就は為された。巡る因果は既に別れを告げ、我等原罪を背負いし咎人もまた、その罪を清算する時が訪れた」
ここではないどこか、二人の兄と向き合う存在との同期が始まる。ここに在るのは門としての黒羽、―――それを開くための鍵を有した存在がその意思を持ってして遂に地獄の門は開かれる。
同じ刻、同じ都市にあるその存在もまた、門の出現に伴い最後の語らいを終えようとしていた。
「...うん。私達が始めた物語だもの。―――終わらせるなら、他の誰でもない。家族である私達が終わらせなくちゃ」
「そうだね。この体の主である彼にもこれ以上負担を掛けさせるわけにはいかない。それに彼等は優しいだけの部外者だった」
彼が聞いたら怒るだろうけど、それは紛れもない事実だ。神器メモリアに付随する問題を解決した時点でアカツキ達が信仰都市の問題に構う必要は無かった。それでも、彼等はそこに住む人々を、そこでの出会いを何よりも大事に思い行動を起こした。
何とも、―――人間らしい生き方だろうか。
「―――であるのなら、僕達は」「私達は」「俺達は」
「「「――――――報いなければならない」」」
その決断に、その勇気に、彼等が用意してくれた束の間の再開に。
門と鍵、二者の承認を持って遂にその門は開かれる。許されざる異界の扉、門に飾られた髑髏が絶叫と共に震え、地の底から響くような人々の慟哭が信仰都市に響き渡る。
「―――ガルナ!!」
地獄の門が開かれ、そこから何かが現れる直前、小さな門を通して訪れた少女がその名前を呼ぶ。見覚えのない容姿と声に一瞬身構えるが、ガルナはその少女が持つ独特の魔力に即座に気づき、その名前を呼んだ。
「―――アニマか!?」
「異界の門が開かれる!だから皆を連れてここを離れないと!」
これより起こるのはこの都市の災禍の根源。人の呪いが育んだ怪物の生誕だ。それを前に呪いに耐性の無い人間は即座に発狂し、死に果てる。ガルナたちがそうならない為にシズクは神器アニマ・パラトゥースをガルナたちの下へと送った。
「...私はここに残る」
「でも、アマテラスさん!!」
「心配は不要だクレア。今は見た目通りの幼子にしか見えないじゃろうが、元は神だったもの。呪いに対する耐性はこの場の誰よりもある。―――それに、私は見届けなければならないのじゃ」
それは神としてではなく、アマテラスという人間の責務。この都市に深く関わった者として、最後まであの二人を見届ける責任が―――僕達にはあるのだから。
「...お供いたします、アマテラス様」
「ネオ...。無事だったのじゃな」
「はい、泥に飲み込まれ、そのまま死ぬものと思っていましたが―――お祖父様が助けてくださいました。今はグルーヴァ様とウルペースの皆と共にネヴ・スルミルと対峙しています」
「そうか、あの男もつくづく甘いな。しかし、良いのか。あの二人はお主にとって...。───家族じゃろう」
かつては同じ道を歩み、同じ屋根の下、寝食を共にした家族が殺し合う様を、ただ見る事しか出来ない苦悩と葛藤は計り知れない。
しかも、それを齢十数年の幼子が見るにはあまりに酷というものだ。
「良いんです。僕なんかより、二人の方がよっぽど辛いでしょうから。―――それに、兄妹喧嘩なんて見慣れたものですよ」
そう、場を和ませるように微笑んだネオの瞳の端。そこには僅かな雫が湛えられ、彼が如何に耐え難いものに耐えているのかを彷彿とさせる。
「...そうか。であれば見届けよう、私達で」
「アマテラスさん、ネオさん...」
「クレア。―――行くぞ、俺達はやるべき事をやった。後は、この都市で生きた者達に任せるだけだ」
ガルナが床に寝かされたナナを抱きかかえ、良心と葛藤の最中で苦悶するクレアの名前を呼ぶ。
「―――っ。はい!あとは皆さんに任せなきゃ、ですもんね!」
もう、私達に出来ることはない。それに、これ以上の干渉は覚悟を決めた彼等への冒涜になる。彼等は自分達の問題に自分達だけで向き合う事を選んだ、それだけの話で、―――それ以外、必要無いだろう。
「クレア様、ガルナ様。ナナとアカツキ様にもお伝えください、我等は感謝していたと。皆様のおかげで、お祖父様の凶行は未然に終わり、僕達は終わりの前に向き合う時間を頂きました」
「...全てが終わった後に、こいつ等とまた会いに来るさ。その時に直接言ってやってくれ」
別れを告げるようなネオの言葉に、再会を願うガルナの言葉が突き刺さる。彼は、最後まで仲間を信じている。そしてそれはアカツキ達だけではなく、共に戦い、共に同じ場所を目指した、自分達も含まれていたのだ。
「―――。そうですね...。また会いましょう、皆さん」
ネオとアマテラス、二人をこの場に残してガルナたちは時空間魔法でその場を去る。別れの間際、ネオがこちらに手を振り、クレアがそれに手を振り返して、それを見届けたガルナがアニマの魔力を一時的に借り受けて、自分達を転送させる。
「―――お兄ちゃん!!」
それを確認してネオが前方で雫と相対する黒羽へ合図をする。それを受けて、黒羽は僅かに振り向き、二人の顔を確認したあと、前を見据える。
―――あれほど恋焦がれた大事な人間を。天間雫という少女を視界に焼き付けて、その背後に座する門をこじ開ける。
「来たれ、来たれ。終わりの門。人の業が生み出した観測の彼方より人を弄ぶ者。永き時を経て成長した異界の賊神よ。今、鎖は解かれ、汝を使役する者は消え去った。―――故に、我が願い、我が信仰を聞き届けよ!!」
開かれた扉の先、そこに封じ込まれた存在が主人の手を離れて世界に解き放たれる。しかし、それは世界の敵などではなく、自身を信仰する唯一の存在の願いを叶えるべくその門を通じて現れる。
―――巨大な触手と六つの指を持った人の手の形をした二対の貌。
下半身は無数の人の手らしきもので構成され、触手に類するであろう吸盤部分には無数の人間の顔が貼り付けられ、それが決して許されてはいけない存在であることを見た者に知らしめる。
この世界では生まれてはいけない正真正銘の怪物。
その絶叫は聞いたものを呪いで蝕み、その御身を間近で見ようものなら、その者は狂い果てる。かつてはネヴ・スルミルによってその一部しか顕現する事を許されなかったが、英雄アシャによってを地獄を管理する権限を失ったことにより、その権利の全てはもう片方の主人であるシズクへと還元された。
そして、その主の意思を持って、完全に地獄という世界は手放される。
故にそれは既に自由の身となり、神として純粋に信徒の願いを聞き届けるべく姿を現す。
仰都市で生まれた、第三の神。否、その前身たる神降都市デザイアより存在する原初の神。
その信仰は許されてはならない。その存在は許されてはならない。───彼等は、未来永劫許されてはならないのだ。
人の絶叫と悲鳴。二つの音が奏でる地獄の讃美歌は大地を揺らし、その存在の誕生を祝福すると、それに答えるように巨体が活動を始め、
―――そうして、終わりが始まる。