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遥か彼方の浮遊都市  作者: しんら
【信仰都市編】
177/187

<神と人>

なんと半年ぶりの更新です

暖かな光があった。


魔力が殆んど失われ、傷だらけだった体がたちまち癒えていく祝福のような暖かい光。


「傷だけ...じゃない」


傷が治り、痛みが和らいでくだけでなく、器を満たしていく高濃度の魔力。これは他者に魔力を分け与える、といったスケールで済む話ではない。


内容だけ見ればこれは魔力の譲渡であることは疑いようがない。


だが、人一人の、いやもしかしたらこの光が届いた場所全てに存在する人間に魔力、および呪力をその者が持てる量を譲渡しているとしたら、それを分け与えているの一言で済ませて良いものだろうか。


アカツキの放った光が収束し、再び視界が映したのは破壊された街と、こちらへ近づいてくるクレアの姿だった。


「ナナちゃん!」


「クレア!!ほんとに無事で良かった...」


「はい。急に目の前が真っ白になったと思ったら傷もいつの間にか治ってて、ええと、それだけじゃなくて魔力も急に戻ってて、もう何が起こったのか...」


やはり、ナナの予想通りアカツキが放った極光は他の人間に対して効果があったらしく、ネヴの災厄によって精神に異常をきたした際に自傷してしまった傷も既に治癒されており、ナナと同様に魔力も分け与えられたのか、顔色も大分良くなってきている。


「ガルナ達は...」


アマテラスと契約をしていたガルナを探すために視線を辺りに動かすと、ネヴと対峙するアカツキとその後ろで空間の裂け目を生み出していたガルナが目に入る。


「ちゃんと目的地に繋がったか?」


「あぁ、助かったぞ。アカツキ」


「別にいいって。それもスルミルのおかげだ。お礼なら後でこいつに言っといてくれ」


アカツキが呆然と立ち尽くすネヴを警戒しながら、ガルナと軽い会話を終える。それ以外の大事な話は既に神器を介して念話で済ませてある。―――だからこそ。


「本当に、一人で残るんだな」


「スルミルとの約束だからな。それに俺なんかよりもガルナ達の方がきっと辛い戦いになる」


アカツキとガルナの間で交わされたのはこの戦況をひっくり返し、既に多くの血が流れてしまった大厄災を終わらせる唯一の方法。


「一方的に聞かされて混乱するだろうけど、頼む。雫を止めてくれ」


アカツキの所有する神器アニマ・パラトゥースの能力の一つである仲間との念話はアマテラスと契約を結び、外界とのコンタクトが切れている状況下であっても一方的にアカツキの意思をガルナに流し込むことで干渉をすることが可能だった。


つまりは会話という会話をしていた訳ではなく、アカツキが勝手に話を進めていたようなものだ。ガルナ達に雫の対処を任せ、この場をアカツキ単体で乗り切る。


アカツキが相手にするのは完全な敵、一方でガルナ達は一時は行動を共にし、ガルナは命を救われたこともある雫と戦うことになるだろう。


雫は敵ではない、むしろ仲間だと思っていたいが彼女は既に矛盾し、破綻しかけている。巫女の願いに縛られ、神に至って尚、人に縛られ続ける人の為だけに存在する機械的な神。それが現在の雫という存在だ。


「大事なことは全部伝えた通りだ。あとは上手くやってくれ――――――本当に、ごめん」


「そこまで謝ることは無かろう。それが今の私達に出来る最善にして唯一の策じゃろうからな」


ガルナと契約している信仰都市にて崇められていた神、アマテラスの達観した答えにアカツキは顔を曇らせ、目を伏せる。


「あんたの事はあいつの記憶を介して前より詳しく知れたつもりだ。だから謝るんだよ。最後まで人の為に戦い続けろって言ってるんだからな...」


「は...。勝手に知った気になるな。私は私の意思で雫を連れ戻すのだ、お前に言われなくともその為に戻ってきたのじゃからな」


アマテラスという神は原初の檻にてかつての友との再開を果たし、そこで人の為に意味もなく生き続けてきた神としての機能を停止し、自由を手に入れた。何をするにも自分で決めることが出来るようになったのだ。


「――――――私はもう二度とあの子を一人にさせない」


かつてのように人の為に有り続ける巫女はこの都市に必要ない。


今に至るまで繰り返されてきた巫女継承の儀式によって歴代の巫女の人格と混ざり、溶け合ってしまっている影響で雫はこれまでの巫女の願いと記憶を断片的に、それも曲折して受け取ってしまっている。


その為に雫はこれまで巫女という存在を後世に繋げるために犠牲になってきた人々に意味を持たせるため、終末の柱を取り込み、人の為の神の座をアマテラスから強制的に引き継ぎ、今もこの都市のどこかで誰かを待ち続けている。


「だから、心配するな。お前にはお前のやるべきことがあるのだろう。私の事なぞ気にするな、その思いやりはこの場においては足手まといになるぞ」


優しさは決して悪いことではなく、人を思いやるその気持ちは人の良い部分であると言っていい。だが、これからアカツキに待っているネヴとの戦闘では誰かを心配するなどといった、不安や葛藤は必要ない。


考えるべきは他人の事ではなく自分のことだ。ネヴは異界の王からの干渉を受けなくなってもその歩みを止めることはしない。数百年に渡る妄執と一度も忘れることの無かった願いは歪な形とはいえ、ネヴを神へ至らしめた。


「仮にも神を相手にするのだ。油断はするなよ」


「あぁ。アマテラス、あんたも生き延びろよ。今まで色々あったけど、あんたには親近感を覚えてるんだ。多分、聞いたことのある名前だからだろうけど」


「名前...か。その点でも私はお前も他人とは思えんよ、アカツキ」


それだけを言い残してアマテラスはガルナの横に立ち、魔力の譲渡と共に空間転移の魔法の精度を上げるための干渉を始める。


そうして二人が掌を突き出した先に空間の歪みが生まれ、雫の居るであろう場所への移動方法が確立される。


「これを通れば恐らく、いや。確実に雫の居る場所に出る。だが、そうだな。ここは間違いなくあの子の――――――帰るべき場所だった」


アカツキに雫がそこで誰かを待っていると聞かされてアマテラスは少しだけ安堵した。巫女の願いに縛られても雫には帰るべき場所があったことに。思えば、あの子の始まりはここであった。


雫の先代、その母にあたるレイの中で眠り続けている時も、覚醒し、雫の中で見ていた時にもこの景色をよく見ていた。


「―――間に合った!?」


ガルナとアマテラスにより空間を渡る魔法が行使され、空間の歪みが現れたと同時にクレアの手を引いたナナが到着する。そして、背中を向けているアカツキを見つけたナナは。


「頑張りなよ、アカツキ」


特に言葉を交わすことなく、ただ一言だけ告げて、それ以上の会話をしなかった。アカツキも小さく「おう」とだけ答えて、ナナ達に背を向けたまま振り返らない。


「――――――アカツキさん」


その声を聞いても振り返らない。振り返りたくなるのを我慢して、前を向き続ける。


「また、後で会いましょう。この戦いが全部終わった――――――その後に」


クレアが最後まで言い終わるのを待って、ガルナは「行くぞ」と低く呟き、アマテラスを抱えて、空間の歪みの中に入っていく。それに続いてナナとクレアが二人で顔を合わせて同時に飛び込んでいく。


全員が空間の歪みの中に身を投じて、雫の場所へと向かい、少しの静寂の後に、アカツキは大きく深呼吸をして。


「――――――生き延びるぞ、俺」


意識を手放していた放心状態から、覚醒し目を開いたネヴを前にしてアカツキはそう言い聞かせ、剣を握る。


「...何故、セレーノスから俺を解放した」


ネヴには理解できない。ネヴは自身を許されざる悪だと認識している。誰がなんと言おうとも、数多の人間を不幸にし、その命を踏みにじってきた大悪党として自覚し、自分が救われるべきでないということも理解している。


感情持たぬ傀儡に成り果てたとしても、それはそれでネヴという男の最後として受け入れられた。


だというのに、瞳はまた世界を映し、思考は回帰した。何も考えず、セレーノスの望むままに動き続ける人形ではなく、ネヴという1つの個として目覚めてしまった。


「俺が戦うのはネヴ・スルミルという男だ。何の感情も意識も持たない人形と戦うつもりなんてない」


「それは俺に反省して貰いたいからか...。この都市を救う正義の英雄として、俺を屈服させた後で自身の行いを悪として認め、懺悔して欲しいから―――俺を現実へ連れ戻したのか?」


だとしたら、それは叶わぬ願いだ。何故ならネヴは自身が悪だということに、とうの昔に気付いている。気付いていて悪として生きることを選んだのだ。


「懺悔も後悔もするつもりはない。たとえ過去に戻れたとしても、何度でも俺はこの道を選ぶ」


「だろうな。お前は後悔なんてしない。そんなこと――――――知ってたよ」


「......だとしたら、何故俺を再び目覚めさせた!!お前は自分が何をしたのか理解しているのか!?セレーノスの傀儡としてあれば、お前は苦労せず俺を殺せた筈だ!!」


ネヴという人間、いや既に神の領域へと足を踏み入れた存在を人間だなとど呼ぶのは間違いだ。ネヴは既に神に至り、その力は言わずもがな、彼にはセレーノスですら知らぬ―――数多の呪術と技術を蓄積した記憶が存在する。


セレーノスに操られた人形であれば恐らくアカツキは難なくネヴを殺すことが出来た。所詮は思考を持たない操り人形、ゲーム感覚で操作しているセレーノスではネヴの力を最大限発揮することは出来ない。


だとしても。例えその選択が自身を追い詰めることになったとしてもアカツキはネヴを目覚めさせる。


そうしたいから、―――そうでなくては意味がないから。


「俺はお前を本当の意味で倒すためにここに居るんだ。これは俺が交わした約束、俺がやらなくちゃいけないことだから」


「......なら、その選択が間違いであったと証明してやる。どこまでも善人で、どこまでも英雄であり続ける貴様に」


ネヴの身に纏う呪いが更に深く深く淀んでいく。大地を犯し、立ち上る瘴気は空を汚していく。この都市で積み上げられた数々の悲劇は呪いを産み落とし、今やその呪いは人ではなく世界を呪うものとなる。


「あぁ、ネヴ。―――あんたの言う通りだったよ」


アカツキはそう呟くと静かに剣を抜き、眼前に立つ呪いの神に対峙する。


「死ね」


ネヴの一言と共に周囲を満たしていた呪いの泥が一斉に形を変えてアカツキの命を奪うために躍動する。


全方位から襲い来る無数の腕と触手、最早門を開く必要すらなく、ネヴは地獄で今も尚肥大化し続ける怪物の腕を借り受けることが出来るのだ。


それは始まりからその世界(地獄)に居た獣。無数の鎖に繋がれたこの世界に存在してはならない、居るだけで世界を終わらせてしまう存在。


そんな怪物の一端でしかない腕は辺りを縦横無尽に駆け巡り、アカツキの立つ場所へと進む。


「逃げる必要はない、か」


その光景を目の当たりにして平静を保っていられるのは事態を理解できていないのではなく、理解して尚、避ける必要はないと判断したからだろう。


そして、それほどまでの自信がどこから来るのかをネヴは知っている。―――ネヴ・スルミルだからこそ、知っているのだ。


覚悟を決めたように顔を上げて、アカツキの目がネヴと交差する。―――その瞳はかつて見た英雄と同じものだ。


地獄を統べて尚、敵わないと思うほどの力を持った最後の英雄――――――ネヴ・スルミル、その人に。


『天雷』


空を覆っていた瘴気を吹き飛ばし、地上を跋扈していた怪物の腕を一瞬の内に焼き払う神の雷、眩い光の後にあったのは破壊し尽くされた大地のみ。


その破壊をもたらした原因を一切合切焼き払った男を見つめるネヴの目は少しの憂いを浮かべた後に明確な敵意と殺意を宿す。


「英雄を取り込み、その力を我が物としたか。であればお前はもうアカツキではなく、―――英雄ネヴ・スルミルか」


「半分以上は、だよ。元々ボロボロで動くことすらままならなかった体を動かすにはこれしか無かった。俺が誰かって話をすれば俺は俺だ。ネヴは最後のために休んでるからな、表に出てくることはないよ」


「――――――そうか」


英雄ネヴ・スルミルは全力を自分ではなく、倒した先に現れる者に使うと判断したのだ。だとすれば、自分は通過点でしかなく、言葉を交わす必要すらないと。


「――――――ッ!!」


突然足元から溢れ出した泥から回避したアカツキ、その行動を読んでいたネヴは先回りし、空いていた脇腹をその足で蹴り飛ばす。


地面に足を付いていなかったアカツキは踏ん張ることすら出来ず、人の域を越えたネヴの膂力をまともに受け彼方へと吹き飛ばされていく。


空中で何度も回転しながら振り回されるアカツキは痛みに呻きながらも剣を地面に突き立て、地に足を付けることが叶う。


地面に膝をつきながら何度か咳き込み、アカツキは自身の脇腹に手を添える。


「やば...すぎだろ」


まさか何の変哲もない蹴りでこれほどのダメージを受けるとは思ってもいなかったのか、予想外の痛みに顔を歪ませる。


「咄嗟の防御も殆んど意味ねぇし...」


避けた先に現れたネヴを見て会回避は間に合わないと踏んだアカツキは脇腹に蹴りが直撃する寸前で神器を発動させ、脇腹を闇で覆ったがそれすら突き破ってネヴの蹴りはアカツキへダメージを与えた。


「仮にも...神器の力なんだけどな」


だが、それも神より与えられた力に過ぎなく、神を相手に通用するかは甚だ疑問だが。


「やるしか、ねぇだろ」


迫り来る追撃の一手、地面に着地して間もないアカツキの周りに溢れた泥から逃げ道を塞ぐように何の武器も持たない人の形だけをした無数の泥人形が出現する。


「......」


見てる。彼らは瞳なきその目で確実に自分を見つめている。


喜び、怒り、哀しみ、楽しみながら自分を見ています。


歓喜の歌が空から響く、怒りの声が地の底から響く。


皆、皆、悲しそうに泣いています。けど、それはとても嬉しそうです。


貴方も一緒に笑いませんか?


貴方も一緒に怒ってみませんか?


貴方は悲しくて泣いてはいませんか?


ほら、ほら、手を伸ばして。一緒に楽しいことをしましょう。


眼前で楽しそうに泣き、笑顔で怒っている泥人形に手を差し出され、アカツキは光の無い瞳で手を伸ばしかけるが――――――。


「......!」


アカツキは得体の知れない何かに引きずり込まれる寸前、剣を右足へと突き立て、何の躊躇いも無しに右足を貫いた。


「――――――早かったな」


痛みによる強制的な現実への帰還は成功したが、その一瞬は致命的な隙となる。


やられた、呪いとは人を物理的に傷つけるだけでなく、内側から侵食することも出来る。ナナ達が窮地に立たされたように、呪いによる精神汚染はアカツキの身動きを奪い、その隙にネヴはアカツキの目前へと迫っていた。


「くそ」


顔を鷲掴みにされ、逃げることすら出来なくなったアカツキをネヴの背中から現れた無数の腕が包み込み、人の形を保てないくらいの握力で握り潰す。


人の壊れる音が荒野に響き渡り、アカツキを握り潰した泥の腕が開かれる。


「呆気ない終わりだったな」


ネヴが掴んでいた頭部を除いた胴体は原型を無くし、ベチャリと音を立てて地面に叩き付けられる。


生気を無くした顔を踏み潰し、ネヴは難なくといった様子でアカツキを殺し、死骸となった英雄を見下ろす。


「自身の力を過大評価し過ぎたな、世界すら侵す呪いがたった一人の人間に防げる訳がないだろう」


英雄、ネヴ・スルミルは致命的な間違いを犯した。アカツキに任せるのではなく、アカツキの体を自身の肉体として甦っていればまだ勝機はあった。


英雄の力は英雄が持ってこそ真価を発揮する。資格を持たない人間に力を渡したところでその実力の10分の1程度にしかならない。


先程の天雷も威力としては申し分無かったが、あの男の起こした雷はその程度では無かった。


「だが、これでようやく」


出来損ないの英雄の死体に背を向け一歩、前へと進む。


「...どういう、ことだ」


すると、そこには先程踏み潰した筈の男の生首が転がっていた。その生首は独りでに転がりだし、ネヴの足元へと向かってくる。


そして、足元に到達したアカツキの生首は虚ろな瞳でネヴを見上げている。最初は虚ろだった瞳に光が灯り、失われた肉体が首の断面から生え揃い、ネヴと同じ目線でアカツキは呟いた。


「そっくりそのまま返すよ」


瞬間、ネヴは自身が精神汚染の呪いに掛かっていることを理解し、瞬時に現実へと戻ろうとするも、それは叶わない。何せ、今ネヴを侵している呪いはネヴ自身によるものだ。


「呪いを返されるなんて考えたことも無い。ここでは呪ったもん勝ちだったんだろ?これもスルミルからの助言だぜ」


ネヴは自身に残された3年という月日で実に多くの事を考えてきた。それも、これまで生きてきた時間よりも遥かに多くの事をだ。


たった3年、ネヴの人生からしたら十分の一程の時間だったがその3年は何十年にも感じられたという。ネヴは信仰都市の復興は勿論、自身亡き後に起こる災厄、いずれ来たる破滅の時への対処、そして、それらを引き起こすであろう何者かへの対処、それを3年間絶え間なく考えてきた。


「まさしく地獄だったろうよ、けどあいつが苦しんでなきゃ今は無かった。じゃなかったら今頃、信仰都市はお前の手によって終わらされていた」


ネヴは生きていても死んでいても変わらないと言っていた。現に彼は死した後も魂だけでこの世界に留まり、何も出来ずとも観測し、考えてきた。


「何百年も意識を保ちながらこの都市の事だけを考えてきた。そんな男が何の考えもなしに俺にお前を任せる訳が無いだろ」


数百年越しの英雄の策略、それは実に効果的なものだった。自身の呪いをそっくりそのまま返されたネヴはアカツキの前で無防備な姿を晒している。


慢心などではなく、今まで精神汚染の呪いは発動していた時点で勝負は決していた所に後出しで、じゃあそれをそのまま返しますと言っているようなもの。


「卑怯だよな、けどそうでもしないとお前には勝てないんだよ。俺達は」


アカツキはそう言って前に手を突き出し、その手に虚空から引き抜いた剣を握る。


「これで良いんだよな、ネヴ」


そうして、一瞬の躊躇のあとに剣が振り落とされ、静まり返った世界に人の倒れる音が響き渡る。

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