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遥か彼方の浮遊都市  作者: 神羅
【信仰都市編】
138/185

<死の牢獄>

また、誰かの記憶を覗いている。それは自分のものではないと、そう割り切ってもその光景や景色が忘れられない。全ては過去に起きたことで、自分には何も関係ない。


勝手に見られている側としてはたまったものではないが、アカツキ自身も見たくて見ている訳ではないので許してほしい。


誰が何と言おうと、彼は悪くない。


ならば、誰が悪い?


この夢を勝手に見ている自分が悪くないのであれば、どこの誰が悪いと言うのだ。


この美しい光景を今も尚、大事に仕舞い込んでいる人間か?


いいや、それは違う。だって、こんなにも美しくて儚いものを見た人間に罪など無い。あって良いはずがない。


ならば、彼に幸せと思い込ませてしまった彼女達か?


いいや、それも違うだろう。彼女達は見ず知らずの自分を受け入れ、己の中に救う魔を封印し、制御する術を与えてくれた。


親に望まれ、その一族に望まれて得た力は最早子供一人で抱え込めるものではなかった。


親に捨てられ、いつ内部から崩壊するかも分からない力に怯えながら、尽きぬ絶望から、死に直結する空腹感から逃げ出して、舌を噛みきろうとした時、あの人は助けてくれた。


暖かい食べ物をくれた、暖かい寝床をくれた。とても暖かい愛をくれた。初めての―――友達も出来たんだ。


だから、彼女達は悪くない。


だとすれば、悪いのは誰だ。


そんなの、決まっているだろう。


――――――誰も、悪くなんてない。


「っ......!」


また何か見ていたのだろう。背中にべっとりと染み付いた汗が気持ち悪い。


「随分うなされていたけど、大丈夫?」


「え?」


自身の上に乗っかかるようにして見下ろしていた黒い影をつい突き飛ばして、アカツキは壁際まで後退する。


「ななな、な、何もんだ!!」


「いきなり女性を吹き飛ばすのはどうかと思うのだけれど」


「いや、それは悪いけど。誰だってそうすると思うぞ?」


周囲を見渡すとそこはとても暗い牢場所で、僅かに薄く光る鉄格子の向こうにある廊下であろう場所も果てしなく続いているようで、正直どこまで連れてこられたのか把握すらできない。


「こんなところに連れてこられるなんて、貴方相当な悪人なのかしら」


「いや、うん。...まぁ、否定は出来ないから、そうなのかも」


思い出して、そして覚えている。


何かの衝動に駆られて遠く及ばない存在を相手にして、ボロボロにされたこと。そして、誰かの記憶と深く繋がってしまった為にまた暴走してしまったこと。


全部を忘れずに覚えている。


「そこに着替えあるから」


「...?」


だが、自分が素っ裸なのは忘れていた。



......。



「ねぇ、恥ずかしがらずにこっち向いてよ」


「だって...。初対面の、それも女の人に見られるなんて...」


「大丈夫よ。そんなので欲情するほど盛ってないわ。それに暗くて見えなかった」


「そういう問題じゃないってば!!」


恥ずかしい。死にたい。見てほしくない。見たくない。


「それにしても運び込まれたとき随分血生臭かったけど、本当に何をしたの?」


「色々。そりゃあ、捕まるくらい悪いことをしたとは思ってるから、ここに居るのも不思議じゃない」


「ふーん。一つ言っておくとね、ここは地下労の中でも最下層に位置するの。巫女様を殺そうとしたり、祭司の座を狙い、謀反を働いた人達、とびっきりの悪人が捕まってる場所よ」


それでも、何ら不思議ではないと思っている。ここが大罪人の投獄される場所なら、まさに今のアカツキにはおあつらえ向きだろう。何せ、何時、どこで暴走するかも分からない奴を野放しにするほど彼等は甘くはなかった。一度目は温情だった、それだけだろう。


「それで?なら、あんたも悪いことしたのか?」


「うん。ざっと百人かな、斬ったの」


「へぇー。......は?」


「なに?」


百人もの人間を斬った?この人が?


途端に体中に鳥肌が立つ。ここにいてはまずいと、頭が判断したのだろう。直ぐに距離を取ろうとするも、女性に手を掴まれて引き寄せられる。


「......」


「大丈夫、あの人達は死んでいい人間だから斬っただけ。そんな目についた人を片っ端から殺すなんて野蛮なことしない」


「いやいや、百人殺す時点で野蛮も何もないでしょ」


「...言われてみれば。確かに説得力に欠けるわね」


真剣に悩み出す女性に呆気を取られながらも、一先ずは危険ではないということを認識する。


考えている間にどうにかしなければならない。


ここを出るか?鍵を無理やり抉じ開けるなんて出来ないからそれは無理だろう。ならば門番が来るまで...


「無理。ここに来た人の思考はまず同居人を知ること。次に脱獄を企てること。何人も見てきたから分かるけど、その鉄格子に触れれば魔力を吸い込まれる。門番なんてやってこない。それに―――食事もないの」


「は?」


「簡単に言えばここに閉じ込められたら二度と出られない。同居人に殺されて喰われるか、先に殺して喰うか。どちらも選択できないのなら自死を選ぶかしかない」


まさに、死ぬことを前提に作られた牢獄だ。一度入ったが最後、飢餓に耐えるのにも限界があり、やがては人間であろうと食料になる。最悪で、罪人に罪を自覚させるにはこれ以上ない牢獄だろう。


「あんたはいつからここに?」


「2ヶ月?確かそのくらいね」


「...喰ったのか」


「喰われそうになったことはあるけれど喰ったことはないわ」


だとすればこの女性は2ヶ月もの間、水も食料も必要とせずに生き延びてきたというのか。そんなの...。


「あり得ない。腹立って減るし、喉だって渇くだろ。それを耐えるなんて...」


「出来るからここに居る。殺そうとしてきた人は殺してきたけれど、絶対に食べない。あんな不味いもの食えた物じゃない」


正直、どこまでが本当でどこまでが嘘なのか分からない。だが、ここに居るということと、彼女に殺意がないことだけは確かだった。


「信じるよ。それしか俺が生き延びる方法がないから」


「随分簡単に言うのね」


「俺があんたを殺そうとしたって、あんたに返り討ちにされて終わりさ」


何も武器を持たない。その条件は同じなのだから、勝つのは純粋に力勝負。女性相手に情けない話だが、おそらく自分はこの人に勝つことは不可能だ。


たまに居る。それも最近見た奴とそっくりだ。


―――特別で、絶大な力を持った人間。


おそらくこの女性もその類いだろう。如何にアカツキが強くなっているとはいえ、敵わない存在が居る。


「どうしたの?」


「寝る。あんまり喋っても体力使うだけだし」


石の床に雑に敷かれた布団の中にもう一度入り、瞳を閉じてどうにかこの状況を打破する為の作戦を考える。


「いくら考えても同じ。貴方はここから出られないわ」


「だったらどうした。このまま死を受け入れろなんて...出来るかよ」


「そう。頑張りなさい」


無関心な態度を取った女性は壁にもたれ掛かり、アカツキと同じように瞳を閉じる。


暗くてよく分からないけれど、きっと眠っているのだろう。


「はぁ...」


結局の所、考えるだけで1日は過ぎていった。外が明るいか暗いかも分からないこの状況で、正確な時間を計るなんて不可能だが、大体1日経っただろう。


「どうするの?」


「まず、触ってみる。どんくらい魔力を吸われるのか」


この檻がどれくらいの人間から魔力を奪ってきたのか分からないが、どこかで吸収量が限界になったり、吸われる魔力が微量なら無理やり抉じ開けるなど様々な方法があるはずだ。


「ふぅー」


大きく深呼吸して、両手で鉄格子に手を掛ける。


「ぇ...」


瞬間、体からごっそりと力が抜けていき、握ろうとしていた手が弱々しく開き、腕から力抜けだらりと垂れ下がる。


「バカ...」


体が前に倒れ、鉄格子に触れてしまいそうになるところを間一髪で女性が食い止める。


「本当に触るなんて。そんなことをしても駄目よ。あれを曲げるとか、限界まで魔力を吸収させるとか、そんなの普通の人間に出来るはずがない」


体に力が入らず、女性に連れられてもう一度ベッドに寝かせてもらう。


「見るだけでも躊躇ったのに、あれをどうにか出来るなんて本当に思ったの?」


「そうしないと...出られないから」


か細い声で話すアカツキに女性は言葉を失う。


彼にはとても良い目がある。自分と目の前の人間の力量さが分かったり、危険な物を瞬時に判断できる目だ。


だからこそ、それを否定したかったのだろうか。


「そこまでして、本当に出たいの?」


「仲間が......待ってる」


徐々に声のトーンが落ちていき、呼吸も心なしか浅くなっている。


「え?魔力の供給が―――されていないの?」


女性がアカツキの体に触った瞬間、違和感に気付く。前に触れようとした時は恥ずかしかったのか突き飛ばされてしまい、分からなかった。


だが、本来そういう風に出来ているはずのサイクルが壊れてしまっている。誰かに与えて貰わなければ、補給できない危うい状態だ。


「それに、この違和感」


心臓に根付いているように感じる彼の物でない力の集合体。神器、呪い、魔力、色んなものがごちゃごちゃになってしまっている。


「.........」


そっと、アカツキの額に手を乗せる。体を循環する弱々しい魔力と同調し、体の内部を詳しく...。


「...何、これ」


そうして、ようやく女性はアカツキがここに連れてこられた本当の理由を知ることになる。


アカツキの体を絶え間なく襲い続けているであろう激しい痛み、その痛みの元凶である神器と呼ばれる異質な物体、一つは完全に馴染んでいるが、肝心なのはもう片方だ。


膨大な魔力のリソース、だが、その役目を全うすることなく、この異質な力はアカツキを苦しめるためだけに振るわれている。


そして、その手伝いをするように呪いがアカツキの体を蝕んでいる。


「こんなの...酷すぎる」


どうやって隠してきた。この痛みは持続的であり、何かしらの要因で増大する。ここに彼を連れてきた狐の仮面の男の話であれば、彼が急に苦しみ始めたという。


隠していた?このとてつもない痛みに耐えて?


あり得ない。こんな子供が耐えられる痛みではないはずだ。それを隠して1日を過ごしていたのだとすれば、それは想像も出来ないくらいに苦しく、辛かったはずだ。


急に苦しみ始めたのはおそらく力の暴走、何らかがトリガーになり、彼を苦しめる痛みは増幅する。


弱まった体を治すために、女性は自分の魔力をアカツキに僅かに譲渡する。分け与えるのではなく、一気に譲るのだ。


それと同時にアカツキの苦しそうな寝息もおだやかになっていく。


1日、また1日と。アカツキの苦しみを知っていながら、女性は何事も無かったかのように、ここから脱出しようとするアカツキを眺めていた。


何が彼をここまで動かしている。ここは文字通り死の牢獄だ。ここに連れてこられた者達は例外なく死んでいく。


「...っそ」


日に日に衰弱し、空腹や喉の渇きに耐えるなんて、生き地獄だろう。


それでも、段々と体から生気が失われていっても彼は諦めない。決して悟られることのないように痛みに耐えながら、普通を装いながら必死にここから出る方法を模索していた。


そんなの―――どこにもないというのに。


「ねぇ」


「うん?どうした?」


ここに来て一週間程経った頃だろうか。最初は聞こえていた腹のなる音も聞こえなくなり、少しずつ会話というものをし始めるようになった。


暗くて顔とかは分からないが、彼が寝ている隙に体を触ったりして、まだ20にも満たない子供であるというのはこの数日で確認できた。


「どうしてそこまで出たいの?」


「言ったろ?仲間が居るんだ、きっとあいつらも来てるはずだからさ」


「けど、色々試したでしょ?」


「まあ...な。どれも駄目だった」


布団の上に倒れる音が聞こえる。おそらく立てる力も残っては居ないはずだ。


「疲れたー」


それを微塵も感じさせない元気な声。まだ諦めてはいないと、そう感じるほどに作られた元気で、弱々しい声だ。


「詳しく聞いてなかったけどさ、本当の所どうしてここに来たんだ」


「前に話した通り、百人の首を切り落としたの。身に付けていた服やら、狂信的な物言いやらですぐに教会の人間だって分かったわ」


「教会が?」


前に聞いた話ではこの信仰都市と呼ばれる場所には教会も安易に首を突っ込めないと言っていた。それくらいの戦力や、また教会が隠したい何かがあるのかまでは実際に訪れてみても分からなかったことだが。


「おそらく敵情視察ね。近い内に侵略を始めようとしてたんでしょう。彼等が向かおうとしていた場所はこの都市の中だけれど、中枢から大きく離れた場所にある小さな村だった」


住民は百にも満たない本当に小さな村であった。そこに行くのは、信仰都市の警戒網から除外されていながらも、信仰都市の一部であったから。


「そこを制圧しようとしていたから、私が全員殺したの。教会が行うことは殆んど制圧ではなく、一方的な虐殺。それも異教徒ともなれば皆殺しでしょう」


そのために無慈悲な決断を下した。罪のない一般人と、今から人殺しをしようとしている集団なんて天秤に掛ける必要もなく、今から殺しをしようとしている集団が『悪』だ。


「───私は私の信じる正義を貫いた。ただそれだけ」


信じるものの為に剣を抜いた。それで救われる命がたとえ、奪う命より少なくとも、彼女は百の悪を裁くことを選んだ。


「村の人達にとっては悪人に見えたらしくてね」


「そりゃあ、知らないんだから当たり前だろ!何で言わなかったんだ、自分が助けたって」


「私は貴方達を救うために人を殺しましたなんて言って、信じられる?私は英雄にならなくていいの。たくさんの人が死んで、ようやく現れて当たり前のように剣を振るうような英雄になるくらいなら、私は悪人と思われてもいい」


「でも...」


言葉を続けようとしたアカツキは口を抑えて大きく咳き込む。いよいよ体にも限界が来たのだろうか。止まらぬ咳、体中を蝕む途方もない痛みに耐えながら、声を無理やり捻り出す。


「ここ.....から、出るん...だ」


「そう」


いつまでも、ここに居てはいけない。ここに居れば体に悪いことばかりだ。自分にとっても、彼女にとっても。


「もう、眠ってしまえたら楽なのにね」


「楽な道ばっか選んだツケがこれだ。それに、ここで死ぬつもりなんてない」


「だから、どうやって―――」


この暗闇の中で、何かが蠢いた。暗黒に染まって尚、その暗黒よりも更に深い闇が目の前に出現する。


「こんなこと、したくなかったんだけどさ」


アカツキの意を決したような声に女性は今から起こること、アカツキがやろうとしていることを察した。


「バカ、やめなさい」


「あんたを強い奴と見込んでお願いだ」


「戻れると思ってるの!?」


もう、体は限界だ。こっそりこの人が魔力を補給してくれていたのは薄々気づいていた。だからこそ、これ以上迷惑を掛ける訳にはいかない。だから最後に一度だけ、もう一回だけ迷惑を掛けさせてしまうことを許してほしい。


「どうなるか分からないからさ、ここが壊れたら生きて逃げてくれ」


これをすれば、いかに魔力を吸収する死の牢獄であろうと破ることは出来るだろう。


ここにあるのは無限の魔力。それを一時的に解き放ち、この装置をぶち壊す。


「やめ...!!」


彼女の制止する言葉を聞かず、アカツキは今まで押さえ付けていたメモリアの魔力を解き放つ。


無尽蔵の魔力が辺りを照らし、淡く光る鉄格子が白く輝いていく。止めどなく溢れる膨大な魔力の流れは、彼女を襲うことはなかった。


一人の女性は柔らかい日差しに照らされるような感覚でただその景色を呆然と眺めていた。


今まで多くの人間を見てきた。その殆んどがゲロの方が幾分かマシの外道ばかりだった。正義などとは無縁の悪なる人間達ばかりで、いつの日か自身のことだけを信じて、他人なんて信じなくなっていった。


誰かの為に自分の命を捨てる。そんなことを出来る人間はどこか壊れてしまっている。だって、人間なのだから命は大事なはずだ。それを投げ捨てるなんてことは、とてもではないが出来ないだろう。


荒れ狂う力の奔流はやがて、破壊不可能とまで言われていた檻を破壊する。それと同時に警報のようなものが地下深くで鳴り響くと。


「牢が破られたぞ!」


どこか遠くで、人の叫ぶ声がした。


「動ける者を総動員しろ!!」


「ダオ様に連絡する。時間を稼いでくれ!!」


そう、たかが檻を破っただけ。ここからが正念場と言っても過言ではない。何せ相手は殺しに長けた集団、それらを乗り越えてようやく自由を掴み取れる。


しかし、そこで見たものはあまりにも一方的な破壊の行進だった。牢の中に居る彼女には目もくれず、どろどろの闇に飲み込まれたアカツキは暗い廊下を侵食しながら進んでいく。

【報告記録】


第一級危険人物の脱獄を確認。最下層より進行しており、現在は第3層で迎撃中。


至急応援を要請する。


既に負傷者多数。あの闇に飲み込まれた者は正気を失い、発狂状態に陥っている。既に最下層へ向かった半数からの連絡が途絶えている。


「ネオ、お前は雫の下へ行きなさい。決して神社から外へ出すことのないように」


一通り報告を聞き終えた老人は立ち上がり、壁に立て掛けられた狐の仮面を取る。


「お祖父様、アカツキをどうして最下層に?あそこに居れればこうなるのは分かっていたかと」


「膿は出しきる。神雷では祓っても表面をかすった程度に過ぎないだ。制御させるのではなく、あれを完全に引きずり出した上で祓う。それが手っ取り早く済むじゃろう」


「どうしてそこまであの男に拘るのです。殺した方が手早いでしょう」


少年にとって危険な人間はすぐに排除してしまった方が安全であり、その凶刃が自分達が命を賭けて守る人間に届かせてはいけないと思っている。


実際、アカツキという人間はあまりにも危険すぎた。己の中にある力を満足に扱えず、果てには暴走してしまう。


そんな人間をどうしてこんな回りくどいやり方で救わなければならないのか狐面の少年は疑問に思っていた。


「全ては予言の日の時まで。それまで生かしておかなければならないからだ」


「災厄の子を?何故ですか」


「たとえアカツキを殺したとて、必ず災厄は降りかかる。そういう風に決まってる以上、災厄は必然であり絶対なもの。ならば、大方予想がつく既知の災厄と、いつどこから現れて、どんな規模になるか分からない未知数の災厄と、お前はどちらが良いと思う?」


「既知の災厄...です。そうすればより多くの人が助かります」


「そうだ。ならばこちらで監視し、残り1ヶ月準備を進める。それまでに予言の詳細はお前にも言うつもりだ」


これ以上の会話は必要ないと、老人は狐の仮面をつけて外へ出る。一人残された少年、ネオは老人とは真逆の方向、神社で眠る少女の下へ向かう。

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