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遥か彼方の浮遊都市  作者: 神羅
続章【学院都市】
104/185

<遠い場所から>

遠い、遠いどこかからこちらを見ている。

ただこちらをじっと見つめてくるだけなのが気になるけれど、今は物凄く眠たい。


寝てしまいたい。

ああ、暗くて、じめじめとしていて、誰も近寄ってくることのできない場所で一人だけになりたい。


苦しむことも、悲しむこともない、一人だけの場所で静かに―――


「......さん」


静かにしていてくれないか。

もう、眠たい。起きたくないんだ。


「...カ...ツキさん」


起き...たく―――。


いや、駄目だ。

まだ眠るには早い。アカツキは求められている。


大事なあの人が呼んでいる。


『いってきなよ、君の大事なあの人が呼んでるよ』


分かってる。


―――意識が、現実へ引っ張られていく。


「......あ!起きました!」

「ようやくか。だが、大体予想した時間より少し早かったな。起きて早々悪いが付いてこい。着替えは...。クレア、頼めるか」

「はい!」


何が起こっていたのか、あれから何が起きたのかも知らされずにアカツキはクレアに着替えさせられる。


「......」

「どうしました?」


ようやく待ち望んでいた人との再開だというのに、アカツキは言葉を交えることが出来なかった。


クレアを失ってから心には誰も埋められない空白があった。

何故、顔を見れないのだろうか。何故、言葉すら掛けられないのだろうか。


クレアは少しだけ悲しそうに微笑むと、アカツキの左手を掴み何も言わずにグラフォルの指定した場所へ案内する。


道中で恐怖に怯える人々を見た。


突然起きた異変はいまや学園都市全てを恐怖のどん底に陥れた。意味もなく家族を殺され、変える場所を焼かれ、愛する人を、日常を奪われた人々の目には希望などなく、抗う勇気すら芽生えることはないのだろう。


「ここですよ。中にはユグドさん達がいます。私はリゼットさんのお手伝いをしてくるのでここまでです。その...。えっと...。行ってらっしゃい」


クレアが精一杯の笑顔で見送ってくれたのに、アカツキは何も言わずに部屋の中へ入っていく。


「クレア、ごめん」


本当ならクレアとナナの二人に頭を下げて、ごめんなさいと一言言いたい。けれど、まだ全部が全部戻ってきてるのではないのだろう。ナナも、自分のことを思い出しているかもしれないクレアも完全に記憶を取り戻していないとしたら、本当に顔を合わせてごめんなさいと頭を下げるには早い。


「久しぶり...。いや、もういっか。久しぶりだな、おっさん」

「ふん。お前はこんな状況だと言うのに何をバカなことをしている」

「俺だって好きでこんな体になったんじゃないって。だけど、まあ悪いことばかりじゃなかった。一応ルナにも友達って呼べる奴がいたしな」


グラフォルは下を向いてまだ決断できずにいるアカツキに問いかける。


「お前は、誰として生きる。アカソラシウンという名か?それともこの都市で生まれたルナという名か?それとも...。バカで、約束の一つも守れないアカツキとしてか。どれを選ぶ」

「選ぶ...ね。まあ、どの名前でも辛いこともあったし、楽しいこともあった。けど...」


過去に置いてきたシウンも、今を生きていたルナも、どれも自分だけど、この世界では名前というものはとても大事だ。


なら、いつまでも迷っている場合ではない。

グラフォルはだから問うてきたのではないだろうか。


「俺は、アカツキだよ。バカで、約束の一つも守れなくて、弱いくせに守りたいとかどうとか言っている。一人の人間、だから。俺に何か出来るなら言ってくれ。使い潰しの道具でも構わない」

「誰が都市を救った英雄を使い潰すものか。だが、お前の言いたいことは伝わった。それに、これからお前に任せることもあながちお前の言うとおりかもしれない」


グラフォルは椅子から立ち上がり、近くにいた仲間を引き連れアカツキを壁の上へと案内する。


「いつの間にこんな壁が出来たんだ?」

「お前が眠っている間に色々あったんだ。それも含めてお前には話をしておかねばな。時間はないが中途半端に情報を伝えて殺されるのは避けたい。目が覚めるのが早かったおかげで時間は多少なりともあるが、それでも厳しい状況であることは変わらん。この壁も数時間もすれば使い物にならなくなるだろうな」

「そうか...。それで、俺はどれだけの間眠ってた?」


「それも含めて話すさ。寒いだろうが見張りもせねばならないからな。毛布はそこの箱に入っている。それと少しの食料もな」



暖かいスープを用意し、毛布にくるまったアカツキはグラフォルから眠っていた数時間の話を伝えられる。この都市で起こっている多くの問題と、それに今も抗い続ける人達の話を。


―――話の始まりは三時間前に遡る。


この都市に突如生成された壁により、その異常事態は敵であるクルスタミナ勢力だけでなく味方であるリリーナやこの都市に住む何も知らない人々にも一時の不安を生まれさせた。


「何だあれ...」

「突然壁が生えてきたぞ...?」


「また、何か起こってるのか!もうやめてくれよぉ...」

「あの黒服の奴等なのかしら...。子供だけでもどうか助けてもらわないと...」


「皆さん!心配しないで下さい!この屋敷にいる限りあなた方は私達が守りますから...」


「―――なら、もしあんたらがあの黒服の奴等に殺されたら...?子供のあんたがあんな奴等に勝てるはずがないんだ...!もう、無責任なことを言わないでくれ!」


この都市を守護する衛兵は黒服の集団の前では赤子も当然、瞬く間に殲滅された。それだけでなく学院都市の治安を守るために導入されたはずの警備ロボット達は活動を止めている。


学院都市に住む者の多くの人々は衛兵と警備ロボットに守られていただけあってその内の一つは壊滅、もう一方は起動停止という状態だ。


またここで淡い希望を抱けば、それが崩れ去った時の恐怖や絶望はより深くなっていく。ならば、最初から淡い希望など抱きたくないと言いたいのだろう。


「でも...!このまま、諦めていいんですか?家族を失った人、帰るべき家を失った人、たくさんの人がここに居ます。ここに居る、それだけで私は皆さんがまだ諦めていないんだな、と思っていました。だって...そうですよね?死ぬつもりならこんな所にいる筈がありません。皆、逃げて、逃げて、ようやくここに来れた。それは死にたくなかったからじゃないんですか。友を、家族を、大事な人を失っても、生きたいと思った」

「―――――――――」


「そんな人達が諦めるなんて言わないで下さいよ。今は辛いことがたくさん起こりすぎて気持ちが暗くなっているだけ。まだ、この都市には終わりゆく運命に抗い続ける人達がいる。弱々しい希望を大きな希望に変えようとしているんです。だから...。押し付けがましいかもしれませんけど、諦めないで下さい。あの人達の為に、私の為に。―――皆を守らせてください」


男性は見てしまった。


少女の体が小刻みに震えているのを。


目の前で諦めないでと言っているこの少女も怖いのだ。急に現れた黒服の集団に多くの人の命が奪われ、民家は焼かれ、今も多くの人が叫び、泣いている。


そんな状況で自分達が怖いと思っているのに、どうして目の前の少女は怖くないのだろうと勝手に思ってしまったのだろうか。


怖いのは当たり前なのだ。死と隣り合わせにあるこの状況で怖いと思わない人の方が少ないだろう。


それでも、諦めないで、精一杯の笑顔で怯える人々を励ましている。


強いとは、こういうことを言うのだろう。

ただ強大な魔力を持つことでもなくて、武を極めることでもない。


諦めない。どれだけ最悪の事態が起きても、都市を襲う化け物が現れても、絶対に諦めない心を持つこと。


それが強いということではないだろうか。


「お嬢さん、すまない。一度に多くの事が起きすぎて気が動転していたのかもしれない。けど、そうだよな。まだ終わっちゃいないんだよな...?」

「―――はい!」


「なら、俺も協力する。どんなに小さなことでも構わない。やれることをやる」

「ありが―――」


リゼットが感謝の言葉を言おうとした瞬間、屋敷を覆っていた四角形の結界が一瞬不自然に揺れ、シャボン玉のようにパン!と弾ける。


同時に結界を張っていたジャックスが叫ぶ。


「黒服の集団、侵入してきます!戦えない人達は避難を!屋敷の守備に力を貸してくれる人達は正門をお願いします!」


突如起きた異変に対して、住民達の行動は予想以上に冷静だった。子供やお年寄りを優先して屋敷の二階へ避難させながら、戦える大人達は最低限の人数で避難をする人達を警護しながら、残った人員を屋敷の正門へ回す。


リゼットの願いは届いたのだろう。誰も暗くなるようなことを言わずに励まし合っている。


なら、向かおう。自分が守りたいと思える人達を救うために。

また、あの人と出会う為に―――


「───成る程ね。貴女は中々に強い心の持ち主みたい。こんなこそ泥みたいなことは御免だったけれど、良いものを見れたわ」


声のした方向へ振り向く瞬間、リゼットはその女性の破れた裾の隙間に機械のような足を目視する。


声を上げるより早く、リゼットの意識は常闇の彼方へと引っ張られていく。


深い闇の底に落とされる直前、耳元で囁くような声が聞こえる。


『この体、貰うわね』


人の体を自分のものとする外道極まりない魔法により、リゼットの体は義足の女の物になる。


これから、この体はどうなるのだろうか。

二階へ上がり、赤子やお年寄りの人達を殺してしまうのだろうか、それとも前線で戦う人達を殺してしまうのだろうか。


どちらにせよ、自分が守りたい人々を傷つけることになってしまう。


―――ああ、本当に私は弱い。


ようやく取り戻した記憶さえ意味の無いものになり、多くの人々を傷つけてしまう。


できることなら、もう一度会いたかった。


また、忘れてしまう前に、もう一度会ってお話をしたかった。


「なかなかいい体ね。正義感に満ち溢れてて、怖いのを精一杯我慢している。―――めちゃくちゃにしてあげたい」


自分の体は最早自分のものではないのだろう。

声を発しているのは自分の目の前で倒れている女性の意思、リゼットの体は既に掌握されてしまった。


「さて、まずは二階に逃げた奴等を殺そうかしら。この清くて、汚れていない手をたくさんの血で彩ってあげるわ」


誰かが自分の体を止めてくれるだろうか。

そして、あのときのようにまたリゼットという存在を取り戻してくれるのだろうか。


―――それはない。上に居るのは戦えもしない人達ばかりだ。


誰もリゼットのことを止められることなく、二階へ逃げた人々は殺されてしまう。


誰でもない自分の体で守りたかった人達を殺すことになる。考えるだけでゾッとする話だ。


二階へ上がる足音を聞きながら、リゼットは何も出来ずに見ている。


「......まだ、起きてるようね。なら丁度いい。貴女の守りたかったものが自分の手で殺されるのを見届るといいわ」


奪うのか。

何の罪もない人達の命を。

理不尽に、不合理に、踏みにじるように。


「さあ、もうすぐそこよ。意識が途切れるその瞬間まで、苦痛に呻き、神を呪い、泣き叫ぶ人達の声を聞き、血で染まる自分の姿を見れるわね」


二階へと上がる階段を登り終え、目の前には避難をしている人達の姿が確認できる。


「大丈夫、お父さん達が守ってくれるわ」

「若い人達が頑張ってるんじゃ、ワシらもやれることをするぞい」

「おばあさん、大丈夫?」


人が人を励まし合って支え合う、リゼットが望んだ理想の光景であり、まだ学院都市に生きる人々が諦めてはいないという証でもある。


「ようやく着いたわね。それじゃ...あれ?」


義足の女は一歩踏み出そうとした瞬間、既に自分の物にしたはずの体に異変を感じる。


動き出そうにも、体が動くことを拒否しているのだ。


「どうして!私が奪った体なのに...!」


―――渡さない。進ませない。殺させない。


この体はリゼットのものであり、名も知らない親から授かった唯一の贈り物。


これ以上歩を進めることは許さない。誰も奪わせやしない。

さっきまで大人に説教じみたことをしときながら、こんな呆気なく終わらせるものか。


「体の支配権が持ってかれる...?いいえ、そんなのはありえない。だって...!」


リゼットと同様に義足の女の視界にはあるものが映っている。それは氷で作られた槍で、その矛先はこちらへ向いている。


「まさか、死ぬつもり?」


リゼットは体を動かすことに力を入れたのではなく、魔法を行使する為の魔力の源であるコアの奪取に自分の持てる力全てを注いだ。


『体を奪ってもそれは一時的なことでしょう?なら、こうしたほうが確実に止められる』


もう誰も自分を止められる者は居ない。ならば、自身の命を犠牲にしても逃げている人々を守らなければいけないのだ。


それが、今のリゼットに出来る最善の選択。


アカツキならば命を放り投げて何かを成し遂げることを許してくれるだろうか。この命は、この記憶は、あの時助けてもらったから取り戻せた物だ。


『心残りは少しあるけど、後悔はしない。これでたくさんの人が助かるなら』


だから、最後に許してほしい。

アレットを救えず、ようやく取り戻した記憶で歩むことすら諦めた自分を。


「本気で死ぬ気なの...?バカなことをしないで...!出来もしないことをしようとするなんて...!!」


『私が、本気じゃないと思う?』


義足の女はリゼットの強さを、そしてその異常さを理解する。この少女は僅か15歳で通常の人間でも決断することを躊躇うことを行おうとしている。


人は死ぬことを怖いと思って当然の生き物のはずだ。それなのに、リゼットとという少女は人間のあって当然であり、絶対の死と言う恐怖を圧し殺している。


「わ...私が悪かったわ。そうよね、こんなのはいけないことよね。分かった、分かったわ、誰も殺さないわよ。だから...ね?そんなバカなことは...」


『嘘つき。今の私とあなたは一心同体、考えていることも聞こえてくるわ。「この場をどうにか切り抜けて、体の支配権を完璧に奪えば、任務を全うできる」てね』


「っ...!!」


覚悟は既に決めた。後はやるべきことをやるだけだ。


「く...そ。くそ、くそ、くそ、くそ、くそ、くそ、くそぉ!!お前なんか誰も愛していない!お前は誰にも認められていない!昔も、今も、実の両親すら覚えていない!偽りの親には異物扱いされた!お前の人生に価値なんてあるものか!お前の人生に愛なんてあるものか!!」


それがどうした。今までの人生に意味はない?

いいや、この人生で多くの人と出会い、辛いことの方が多かったけれど、楽しいこともあった。


今までの人生に愛なんてない?

いいや違う。断じて違う。最初はそうだったかもしれない。だけど、今は違う。あの時、クルスタミナの屋敷で私を助けてくれたアレットに、少なからず好意というものを抱いていた。


初めて自分のことを全部打ち明けられた人と出会い、本について語り合い、親睦を深めた。


アレットをこの手で救えないのは少し悔しいが...。いや、この際正直に言ってしまおう。出来ることならアレットともう一度出会い、この胸の中に秘めた思いを全てさらけ出したかった。


後悔だらけだ。だけど、それでいい。

人間誰しも後悔はするもの。なら、これは当然のことだ。


『これで、終わりよ。この都市を襲い、多くの人々を苦しめてきた悪よ。ここで、共に死にましょう』

「ふざけ...!!」


義足の女が最後まで言い切るよりも早く、氷柱はリゼットの腹部を貫き、赤い血が床一面に溢れ落ちる。


「あ...が...」


体は今も義足の女の物だ。同時に痛みと言うものは義足の女一人が味わっている。心だけの状態のリゼットには、お腹に少し違和感があるくらいで、特にどこが痛いとは感じない。


「こんな...体ぁ。いら...ない、か...い...じょ...」


ふっとリゼットの意識が現実に戻り、鋭い痛みが下腹部を襲う。

...が。


「痛く...ない。そっか、本当に、死んじゃうんだ、私」


最早痛みすら感じず、視界は霞んでいく。

何かを残せた。今はそれで良しとしよう。


きっとこの都市は助かる。皆が諦めなければ、一人一人が支えあって、助け合えばどんな困難でも乗り切れるだろう。


「..................」


リゼットは静かに瞼を閉じて、今度こそ深い闇に意識を落としていく。

―――屋敷の一階にて。


「く...あ...あ!」


自分の体で起きたことではないのに、腹部には痛みが残っている。義足の女は痛む腹部を押さえながら立ち上がり、二階で倒れているリゼットの下へ向かおうとする。


「穏やかな顔で死んでたら、身体中傷つけまくって、汚してやる...。顔も誰だったか分からないくらいにぐちゃぐちゃにして、私が満足するまで挽き肉に...!!」


「それは無理な話だね。だって、君はここでその糞の役にも立たない人生の幕を閉じるんだから」


直後、義足の女の両足が捻れ、体を凄まじい圧力が襲い、リゼットの体から引き継がれた偽りの痛みは本物の痛みに変わる。


「間に合った、とは言えない状況だけど、最悪の事態は回避できた。既に君の引き連れていた黒服の集団はグラフォル達に制圧されているだろう。二階は僕の担当だったが、リゼットという少女のおかげでどうにかなったようだ」


義足の女はあり得ないという顔でその男の顔を見上げていた。


それもそうだろう。この顔は前回の任務で何度も見た顔であり、ジューグの要注意人物リストにも載っていた顔だ。


「どうして...。農業都市の奴等が...?」

「それには答えられないよ。今回は無理を言って出向いたんだ。やるべきことをやったら僕はおさらばさ」


この男の名は―――


「グルキスウウウウゥゥゥゥゥ!!!!!」


「バイバイ」


義足の女の体はめしゃりと潰れ、辺りに血飛沫が舞う。完全に死んだことを確認したグルキスは二階へと向かい...


「よかった。まだ、どうにかなりそうだ。リゼット、ありがとう。君の決断は間違ってはいなかった。おかげで、誰も死傷者を出さずに済んだ。だから、君も諦めないでおくれよ」


グルキスは二階へと上がってくる慌ただしい音を聞きながら、リゼットの出血部分に清潔な布を当て―――


「アオバさん、この子を頼みます」

「任されました!」


この世界において、最も信頼できる医者にリゼットを任せて、一階へ向かう。


「グラフォル、二階は何とか無事だ。重傷者が一人、けどアオバさんがいれば何とかなると思う」

「そうか。そろそろ、アカツキが到着するはずだ。お前は記憶が無いにしろ、ナナと会う訳にはいかないんだろ?」


「ああ。すまないね。僕はどこかで身を潜めてることにするよ。何かあったらこっそり呼んでくれ」

「分かった」


こうして、屋敷に現れた黒服の集団と義足の女による襲撃は幕を閉じる。


そして―――


「あーあー、こちらアスタ。魔獣の動きは一時的に封じた。あとは...」

「どういうことだよ!あんたらが来るなんて報告、ユグドからも、アズーリからも聞いてねぇよ!」


「すまんな。俺達が来ることは誰にも悟られる訳にはいかなかった」

「そういうことじゃなくて...。ああ、もう分かった!私がそっち行くまで絶対に屋敷に留まってろ!いいな!」


「勿論だ」


最も危険視されていた魔獣を一時的に封じ、一先ずは住民達に一時の平穏が訪れる。


残る敵は遠くにそびえ立つ黒き柱、そして、クルスタミナとなる。

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