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番外編・この娘をおぼえてますか?

お友達の二次創作、第二段をモチーフに作製させていただきました。

魔道繚乱カラフルワンダー………ふたたび


 魔法、それは現実世界には存在しない力。

 魔法、それは現実世界には存在しない理論。

 魔法、それはゲーム世界でしか存在しない素敵な体験。

 だから私は、魔法にこだわりを持つ。運営が用意してくれたこの素敵な擬似体験に、挑み続ける。

 みなさまお久しぶりです。カラフルワンダーのマスターをつとめている、シャルローネです!

 世の中では私のことを「氷結の魔女」などと呼んで下さいますが、それもそのはず。

 私はもとより、カラフルワンダーのメンバー全員が、魔法に力を注いでいるからなんですよね。

 ということで私、本日は自分たちの拠点で、魔法の研究中。

 練習場の隅っこで、私のツララ魔法に貫かれたカカシ。

 あの傷つき打ちのめされた姿が、私の魔法に対する熱意を表してるわ。

「やあ、シロ。今日も練習かい?」

「えぇ、ちょっと気になることがあってね。魔法の動作入力を研究してたのよ」

 私に話しかけてきたのは、春雷のふたつ名を持つキラ。私はふたつ名の方で呼んでいるの。

「動作入力? それは詠唱入力を覚えたときに、卒業したんじゃ………」

 そう、私たちはすでに、というかレベル1の頃から詠唱入力に切り替えていたわ。

 乙女心をゆさぶるような語句の配列。ときめくような詠唱の横顔。そしてなによりも、魔法使いらしい呪文。あまりの格好よさに、初めての詠唱のときには心の中で黄色い声を挙げたものよ。

「その動作入力なんだけど、春雷。詠唱入力と同時に進行したら、ツララが二本出るんじゃないか? とか倍の威力になるんじゃないか? とか言ってたわよね?」

「あぁ、結果は期待はずれ。普通のツララが一本現れたっきり。………ふふふ、あの時の落胆したシロの唇。可愛かったなぁ………」

 相変わらず不穏な台詞を吐く春雷だけど、とりあえず話を進めなきゃね。

「って春雷! 自分を抱き締めて息を荒げないのっ!」

「あぁ………シロ、可愛いよ、僕のシロ………ハァハァ………」

 仕方ないわね、話を聞いてもらうためにも、モミアゲをつまんで引っ張ってみましょう。

「あたたっ! シロっ、痛いよ! そんなところに歯を立てないでっ!」

「なにを言ってんのよ、あなたはっ!」

 本当にこの娘は、どこからツッコんだらいいものやら。

「僕としてはシロにツッコミたいんだけど、シロが望むなら受け入れてあげるよ。………さぁ来て、僕のシロ」

 まだボケるか、この女。

 そんな貴女に、大阪名物ハリセンチョップ。

「話を聞いてくれる気になったかしら、春雷?」

「君の声が小鳥のさえずりのように心地よかったものだから、つい夢心地になってしまっただけさ。もう大丈夫、研究の成果を見せておくれ」

 ということで。

「あの時は私たち、みんなレベル1だったじゃない? レベル1では魔力の充填はツララ一本分しかなかった、って思い出したのよ」

「ふむふむ」

「ところが私たち、いまやレベル4。初期魔法のツララなら、四本分の魔力を蓄えておけるわ」

「そこで思い出したのが、詠唱と動作の同時入力ってことか!」

 その通り! やっぱり春雷は冴えてるわね♪

「それならシロ、最初からツララ二本の詠唱をしたらどうなの?」

 かかったわね、春雷。

 そこが今回の研究の胆なのよ!

「それじゃあまず、ツララ二本分の魔法を撃つわね」

 呪文詠唱、私の頭上に現れる氷柱二本。

 発射を命じてカカシに叩き込む。

「うん、シロ。いつものツララだね」

「それじゃあ今度は、一本を動作入力。もう一本を詠唱で出すわよ」

 愛用の魔法の杖を振りかざし、円を三回描きツララを生み出す。そして詠唱で生み出すツララは、私の腰の高さに現れるように強く、強くイメージして………。

「あ、シロ! ツララが別々の場所に発生してるよ!」

 ふふふ、驚いているみたいね。

 これが私の新技。授業中に英単語の綴りも覚えずに考えた、青春を犠牲にした技よ!

 さあ、とくと目に焼き付けなさいな! 二本のツララ、ほぼ同時発射よっ!

 まずはカカシの顔面を貫くツララ。そしてその衝撃にのけぞった腹部を、もう一本のツララが貫通する。

 顔面を貫かれ弱くなった腹部を攻められたものだから、可愛そうにカカシさん。ボッキリと折れてしまったわ。あとで紫雲に回復魔法をかけてもらってね。

「という訳で、二本のツララではこれだけの威力は生まれないでしょ? 二本のツララを別々の場所へ、タイミングを微妙にずらして撃つことで、プラスアルファの威力を引き出せるの。技の名前はさしずめ『氷の牙』なんてどう?」

「すごいよシロ、さすが僕の宝物!」

「こらこら腰を抱かない背後に回り込まない熱い吐息を首筋にかけない!」

「嗚呼、シロ………僕のシロ………ハァハァ………」

 話を聞いてないわね、春雷。

 そんな貴女に上段三日月蹴り。

「それにね、春雷。今回の研究は、これだけじゃないのよ?」

「う~~ん、なぜだろう? 世界が傾いて見えるよ」

 それはね春雷、あなたの首がボキ折れてるからよ?




 あろうことか

 次回へ、続く!

なんと後編に続きます。

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