私、カラフルワンダーの活躍を見る
本日二話目の更新です。
魔法部門予選の地に、鬼がでた。
鬼の名はカラフルワンダーという。
カラフルワンダーのメンバーを鬼と例えるならば、さしずめ爆炎の貴公子アーカードが赤鬼。激流の蒼帝こと蒼魔が青鬼といったところか。
とにかくこの二人の魔法ファイトは、子供が観ても虜になるような内容。ウルトラマンがいきなりスペシウム光線を放ったり、仮面ライダーが『造り』や『拵え』無しにライダーキックをブッ込んでくるような、いきなりクライマックスな試合なのだ。
しかも見た目が派手。
爆炎が核爆弾のような火球を叩き込めば、蒼帝は津波をおこして何もかも奪い去る。
実を言うならばカラフルワンダーの会場入りからこっち、観客がチラホラと集まりはじめ、いつの間にやら満席となっていたのだ。
華麗なる魔法合戦に人々は酔いしれ、拍手がおこり、爆笑を誘った。
「って、爆笑までとるのかい!」
思わずツッコんでしまったが、魔法を決めるたびに『決めポーズ』をとるのだ。笑いをかっさらったところで不思議は無い。
赤と蒼のショータイムは、互いに三戦全勝。文句なしの完封勝利。ついでに言うならば芸人部門の授賞候補にも上がりそうな盛り上がりであった。
二人のビッグショーが終わったところで、こんどは春雷のキラと斬岩の大牙ダイン。
こちらのファイトはグッと落ち着いたもので、職人風な魅力を披露してくれる。
春雷がスナイパーのように落雷でねらい撃ちをすれば、斬岩は詰め将棋のような技術戦を展開してくれた。
結果、こちらの二人も三戦全勝で第一次予選を通過した。
私も早速席を立ち、魔法の師匠である爆炎に祝辞を述べにゆく。
「素晴らしいファイトだったね。お客さんも大喜びだったよ」
「いやいや、目上の人に褒められるって、なんかくすぐったいな」
お人好しの好青年を、絵に描いたような笑顔だ。
「だけどマミヤさん、俺たちのショータイムは、まだまだこれからさ。本戦はもっと派手にいくからな!」
「いや爆炎、まだ二次予選が残ってるから………」
魔法部門第一次予選。私が関係を持つ人々の出番は終わった。
「同志シャルローネ」
陸奥屋総裁、鬼将軍が席を立った。
「我々はこれより戦士部門の予選へと赴くのだが、一緒にどうかな?」
「私たちカラフルワンダーからは伯士が出場しますけど、陸奥屋代表は誰ですか?」
鬼将軍はドス黒く笑った。
「まずは力士隊六名。本店からは大矢参謀、二番隊三番隊から若干名。マヨウンジャーからは、同志三人。モモ、ベルキラ、アキラ」
シャルローネさんの眼差しが、刃のように輝いた。………ように見えた。
「それでは注目の、陸奥屋一乃組からは?」
「同志ダイスケ、ユキ。………そして、ジャック先生だ」
本人たちが闘うわけではないのに、シャルローネさんと鬼将軍の間に殺気が走った。
戦士部門最大の目玉は………いや、今回のイベント最大の目玉と言っていいのは、ジャック先生と翠嵐の伯士こと緑柳の対決である。そのことをシャルローネさんも鬼将軍も、ハッキリ認識しているのだ。
「誰も彼も、油断できない強者揃いですねぇ」
「同志シャルローネ、君は油断していながら陸奥屋に勝てるつもりでいたのかね?」
歯ぎしりが聞こえた。
かなり悔しそうな顔だ。
対して鬼将軍は泰然。
「そして同志シャルローネ。君の出場する総合部門は、私をはじめとした多数の陸奥屋同朋が出陣するのだ。あまり浮かれてはいられないぞ」
「………わかってますよ、そんなこと」
「そうかね? では参ろうか、陸奥屋最強の戈とカラフルワンダー最大の楯が相討つ、祭典の場へ」
いえ、総裁。
まだ予選です。