表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
166/506

私、不正者を狩る


 さあ、不正者狩りの始まりだ!

 しかし相手は不正者。しかもそれなりにレベルも高く、装備も立派だ。うっかり下手な魔法、下手な攻撃をくらったら、一撃撤退の可能性もある。

「ということで、私とホロホロが囮になる。長距離(ロングレンジ)で嫌がらせをするので、背後から殴りつけてやるといい」

「ただし」

 と、ホロホロがつけ加える。

「敵は無敵モード。こちらの攻撃が当たっても、動きを止めないから、気をつけてね」

 ということで、マヨウンジャーは散開。私とホロホロが中央の後方。アキラとベルキラが、左右の最前線。モモとコリンは、それに付随している。いわゆる縦深型陣地のような体勢だ。

 このシフトに、あまり意味は無いのだが、メンバーに戦闘体勢の号令をかけた結果、自然とこうなったのだ。

 小隊通話の回線を開き、ホロホロに指示を仰ぐ。我らが小さな軍師は、チマチマ叩くよりも一気に背後から襲いかかることを選択した。

 まさしくゲリラ戦法である。私とホロホロの遠距離攻撃で敵をひきつけ、逃げられない場所まで近づいたところを滅多撃ちにするというものだ。

 アキラとコリンのペアが、建物に隠れながら敵に近づく。ベルキラはモモとペアだ。

 その間にも私たちは、弓矢と火の玉改で敵の目を引き付ける。

「おい、見ろ! マヨウンジャーが出るぞ!」

「総裁、陸奥屋二乃組が援護に入ります!」

「うむ、まかせたぞ!」

 我々が不正者狩りに興じている最中にも、本隊は丘をあがってくる敵を迎撃し、味方のために拠点を維持し続けている。

 苦しい懐から、総裁は一個小隊を裂いてくれているのだ。早急に決着をつけたいところだ。

「がんばって下さいね、マミヤさん」

「シャルローネ、君たちは援護してくれないのかな?」

「大型魔法を使っちゃったから、しばらく待機。温存させてもらいます。悪く思わないでくださいね?」

 いや、君とドワーフの若者は、魔法を撃ってなかっただろ? っていうか戦場でデッキチェアにパラソル、トロピカルドリンクはやめなさい。仮にも今は厳冬期。とっても寒い時期なんだから。

「それじゃあマミヤさん、チャオ♪」

「チャオ♪ じゃなくて!」

 まあ、いい。私は私の仕事に専念しよう。

 とは言うものの、攻撃が命中しても動きが止まらない敵というのは、なかなかにやりにくいものだ。マヨウンジャー設立当初から使っている戦法、敵を足止めするという方針が、まったく使えないのだ。

 故に魔法を撃っては逃げて、逃げてはまた魔法を撃つという、大変に忙しい展開となる。二乃組の援護もあるが、敵の動きや足が止まらないのは同じ。アキラたちの突入が始まらないうちは、私たちが最も危険なポジションと言えた。

「マスター、敵の背後に回り込むことができた」

「これから突入を開始しますね♪」

 ベルキラとアキラだ。

「コリンとモモはどうだろう?」

「とっくにサイドをとってるわ」

「お二人の突入待ちですぅ」

 ならば良し!

「マヨウンジャー、突入せよ!」

 私もひとつ、派手にやらせてもらうとしよう。

 若い仲間たちとともに、無敵モードの不正者たちにかかってゆく。もちろん私とホロホロは誘いの囮。二乃組のメンバーたちとともに、叩いては走り、走っては叩くを繰り返した。

 と、ここで面白いことに気がつく。不正者の動きについてだ。簡単に言ってしまうと、防御がまるでなっていないのだ。撃たれるということが頭にない。そういった発想が欠落している、と言っても過言ではない。

 それは攻撃面に関しても、同じようなことが言えた。大味なのだ。魔法といえば大型の範囲魔法ばかり。一度発射してしまうと、しばらくは魔力充填のため魔法が使えなくなる。そして打撃はさらに悪い。強打ばかりのブンブン丸で、撃ったあとが隙だらけ。こちらのやりたい放題なのである。

「不正も良し悪しだね、マスター」

 ホロホロは笑った。

「ベルキラが背後から襲いかかってるんだけど、敵はバイブレーションが走らないから、やられてるのに気がつかないらしいよ」

 なんだそれは?

 まったくの馬鹿プレイヤーなのではないか? せっかくの無敵モードが、仇にしかなってないじゃないか。

「アキラも後ろからボディの連打で………あ、二人まとめて倒したみたいだよ♪」

 どうやら攻撃を受けたときのダメージ、あるいはバイブレーションを電算的に処理しきれず、後からまとめてダメージが襲いかかってくる仕組みらしい。

「二乃組前田、安井! お前たちも背後に回れ! 米沢、萩原! お前たちはサイドだ!」

 二乃組もシフトを変更、ここで畳み掛けるつもりらしい。

 対不正者部隊、今まさに旬の活躍というところだ。

「………とはいえ危険をともなう上に、効率もよろしくないですね」

 外部通話だ。カラフルワンダー斬岩とある。ドワーフの若者だ。

「微力ではありますが、少しお手伝いさせていただきますね」

 通話が途切れると、マップが送られてきた。私たちのことを上空から見下ろす、そんなマップである。

 空を見上げた。カラスが飛んでいる。観測カラス、ようやくの本領といったところか。

 マップには未だ撤退していない、敵の数が示されている。その数、六。丘の上のあちこちに点在していた。

「それではこれからこのポイントに、不正者の群れを集めます。マヨウンジャー筆頭マミヤさんは、このハウスの上で待機していてください」

 場所を指定された。ということは、その場所に敵を集めてくださるということだ。

 それならお手並み拝見を洒落込みたい。願ったり叶ったりという心境だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ