表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/506

私たち、着実に力をつけている


 新年を迎えて、私たちの拠点『下宿館』も少しばかりリニューアル。

 道場を陸奥屋一乃組のように、空間を広くできるような改造を加える。

「これでちょっとした陣形の訓練も、できるようになったね」

 ホロホロも嬉しそうだ。

 いずれ訪れる事態、ヒーラーや魔法使いが集中攻撃をくらう、という事態に対する陣形を工夫することができる、というのだ。

「逆に言うと、レベル2くらいでは見られないけど、私たちが先手をとって敵のヒーラーと魔法使いを、集中して叩いていこうね♪ って意味なんだけどね」

 しかしヒーラーや魔法使いは、割と敵陣深くにいてなかなか手が届かないものだ。

「そこはアンタとホロホロが、なんとかするしかないわね」

「なんとか、という辺りになげやり感がありありと出ているぞ、デコ」

「そーゆー意味じゃなくて! 例えばアンタを敵陣深くまで、アタシが護衛するのはどうかしら? って言ってんのよ!」

 できるのか?

 確かに、マヨウンジャー本陣には、ベルキラとアキラの二枚看板が残る。その背後からホロホロが、弓矢で嫌がらせをする。そして闘うヒーラーのモモが残っている。

 本陣は簡単に崩れはしないだろう。

 では突入部隊。別名『殴り込み艦隊』は、どうか?

 魔力回復ペンダントで、多少の魔法連打ができる私。接近戦にはデコ。そして私には、たぬきがいて八畳敷がある。

「………意外といい手かもしれないな?」

「なにも無理矢理、戦果を挙げる必要も無いんじゃない? 陽動とか囮とか、あわよくば一人くらい撤退に追い込めれば、くらいの考えで充分だと思うわよ?」


 陸奥屋一乃組のジャックは、魔法などよければいいと言った。

 シャドウはより具体的に、魔法をよける方法を鍛えてくれている。

 その答えは、動いていれば当たらない、というものだった。だから私は、チームの六人全員が、バラバラに動くことを考えてしまった。

 だが、そうじゃない。

 二人一組になって三種類の動き方をする。それだけでも充分に、魔法は当て難くなる。四・二の二組に別れて、別々の動きを見せても、魔法を当て難いはずだ。

 なぜなら我々は、常に動いているからだ。

 いけるかもしれない。

「ということで、時には私とデコが二人一組で突撃する、というのはどうかな?」

 訓練途中の打ち合わせで、ホロホロに提案してみた。

 我らが軍師は、腕を組んで考え込む。

「やってみる価値は、ありそうね」

 突撃部隊の成立だ。


 ということで。

「たのもーーっ!」

 いつものように、陸奥屋一乃組へ出稽古。

 さすがにジャック、ユキ、ダイスケ、忍者が迫ってくると何もできなくなる。

 ならば、ということで一番動きの鈍い、ダイスケから脱落してもらう。ナパーム弾のようなファイヤーボールを直撃させ、ホロホロの矢で貫く。それでもダメージは少量なのだから、本当に嫌になる。

 だが陸奥屋の前衛は三人、我々は六人。なんとかならないだろうか。

「マスター、コリン! 離脱してフィー先生をねらって! 胸を借りてるんだから、出し惜しみ無しでいこう!」

「わかったわ! 踏ん張りなさいよ、ホロホロ!」

「デコ! シャドウの魔法は八畳敷で弾く! 思い切って走れ!」

 もちろん上位ギルド相手に、思う通りにはいかない。私たちは忍者にはばまれ、本陣はジャックとユキで手間取っているうちにダイスケの突入を許しと、いいところなく壊滅させられた。

「俺たち陸奥屋一乃組には通じなかったが、いい手だったね。出るときは出る、守るときは守る。メリハリがついてきたんじゃないかな?」

 というのがジャックの評価。

 演習相手が悪すぎるだけなのだ。

「俺たちを倒すには?」

 そんな質問を、ホロホロがぶつけた。

 ジャックは答える。

「個人個人の技量力量に、差がありすぎるかな? もっと稽古、もっと練習、もっと訓練ってとこだね」

 つまり、まだまだ歯が立たない。そう言っているのだ。なかなか手厳しい。


 しかし練習の成果は、確実に出ていた。

 レベル3のギルド相手にも、なかなか負けなくなってきたのだ。

「どうでしょう、ホロホロさん。もうじきボクたちもレベル3に上がりますけど、そろそろ本格的にレベル4、5が現れますかねぇ?」

 アキラが問う。

 もちろん私たちも、レベル4くらいは対戦経験がある。今回のアキラの問いは、レア物としてではなく当たり前に、レベル4が出て来るかを聞いたのだ。

「可能性は、もちろん高くなるよ。でもねぇ………う~~ん………」

「何を悩むんだ?」

「私たち、特別な技術は持ってないんだけど、これまでの戦法が通じるのかな、って」

 やはり敵のレベルが上がるという事実に、少しプレッシャーを感じているらしい。

「ホロホロ、不安を感じているのなら、探索でしっかりレベル上げしておくのも、手段だぞ?」

「う~~ん、やっぱりそれだよね?」

 レベル上げを面倒とか言う方々がいるようだが、力をつけるには、やはりこれが確実だ。そして確実ではあるが、やはり面倒だというのは理解できる。だがしかしゲームをプレイするには、やらなければならないことのひとつであると、私は思う。

御来場いただき、まことにありがとうございました。

お気に召していただけましたら、ブックマーク登録、ポイント評価いただけましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ