【第1話】目覚め
『やったな、お前が最後の1人だ。』
『今まで本当にご苦労だったな。』
『最初から、これが目的だったんだ。』
『さあな、実体を持てないまま永遠とこの世をさまようのかもな。』
…ここは…どこだ…?
「ハットリ、起きなさい。」
ばあちゃんの声で俺は目を覚ます。時計は8時を指していた。
俺はベッドから体を起こした。
俺は台所に行くと台所には、ばあちゃんがいた。
「ハットリ、進路のことはもう決まったのかい?」
ばあちゃんは俺に聞いた。
「…ばあちゃん…俺、イキリ術師になりたいんだ。」
イキリ術師…魔法を使うことで治安を守ろうとする職業、俺は昔からイキリ術師に憧れていた。
俺がそう言うと、ばあちゃんは少し間を置いて言った。
「…でも、あんた魔法が使えないんだろう?」
…そうだ、
俺は今の時代では珍しい、魔法を一切使うことができない特異体質。そんな俺がイキリ術師になるのはとても厳しいことだった。
「でも…俺は……」
俺は何も言うことができなかった。
「ばあちゃんは、ハットリがどんな道に進もうと何も文句は言わないよ。
ただ悔いは残さないようにしなさい。」
ばあちゃんは言った。
「それはそうと買い物に行ってきてくれないかい?」
ばあちゃんはそう言い、メモを手渡してきた。
「ああ、行ってくるよ。」
俺はメモを受け取り、家を出た。
俺には両親がいなかった。幼い頃、土手の下に捨てられていた俺を拾ってくれたのが、ばあちゃんだ。
俺は拾われる前の記憶が一切なかった。
ハットリという名前は俺が俺自身につけた名前だ。名前の由来は特にない。
ただ、俺は昔、この名前で呼ばれていたような気がしたんだ。
俺はメモの内容を確認した。
メモには、もやし、染粉、研磨材と書いてあった。
「市場に行けば、全部揃うな」
俺は市場へ向かった。
「お?そこにいるのはハットリか?」
背後から声がした。
「お前まだ、イキリ術師になりたいとか言ってんの?いい加減現実見ろよ。」
こいつはキリバヤシ、魔法が使えない俺をいつも馬鹿にしてくる嫌なやつだ。
俺はキリバヤシを無視し、歩みを続けた。
「なんだよ、何も言わねえのかよ。」
キリバヤシはつまらなそうにして去って行った。
俺は、市場に着き、一通り買い物を終わらせた。
「さて、そろそろ帰るか。」
その時だった。
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオンッ
なにかが爆発したような音。
結構近いな…
俺は興味を惹かれ、音の方向に歩き出した。