お独りサマーの大人の階段
あゝ北極星が
壊れた紙の上で
放射状に滲んでいる
あゝ南十字星が
太平洋に突き刺さって
墓標みたいに覗き込んでる
蚊に刺された痕に
瘡蓋ができている
苛立ちに胸ぐらを掴まれ
虫刺されの薬の効果すら
僕の目には皆無だった
「たら」「れば」
汚れた畳
悲しみの洋式トイレ
呻き声と吐き出したモノ
異様な形でも
綺麗に流れていく
あゝ素晴らしき世界が
ゆっくりと愛おしくなって
終わりなる
あゝ太陽の光が
嫌いになって
夏空を睨む
あゝ海の温度が
僕を繋ぎとめるから
息をする事を忘れないんだ
タバコに火をつけて
ビールを溜息と飲み込んで
スルメの香りと煙
爽やかとは縁遠い
一人の宅飲み
こんな時間が作れないより
まだマシだと思うけど
正しい夏の過ごし方では無い
リア充って一言で言うけれど
いやいや
「それが当たり前だから」って
誰もツッコま無いのは
なぜだろう
そんなに寂しい毎日なの?
一人の良さもあるだろうに
あゝ夏空は
誰かの自制心を破壊して
我に返る事を許さない
あゝ通り過ぎて
今年も海に行かなかった
なんて言いたく無い
あゝ今日も
太陽の光に反射して
海が呼んでる
イカゲソが好き
両腕が冷たくなる
脚先の行方
一人ぼっちのノラネコ
打ち出されたミサイル
血の味
干からびた命
道路っていうゴミ箱
細やかなご褒美
運命っていうご都合主義
干物
バーベキューの後片付け
あゝ夏空が
広がって広がって
入道雲と夕立
あゝ海の香り
部屋の中の冷たい不健康な風
水分補給と梅干し
あゝ黄色の花
こちらを向いて
幸せの道のりを
指し示している
あゝ蟬時雨
短い高揚を
利用して
あゝ少し大人になる