田辺恵介(たなべ・けいすけ)先輩!!
キンコン~カンコン~
「授業始めます」
「ぷろみす・りんぐかぁ~」
美樹は授業中外を眺めながら、可奈子に教えて貰ったおまじないの事を考えていた。
「さん?…美樹さん?…柳美樹さん!」
突然担任の先生の声が聞こえた。
「はっ、はい!!」
「何回も名前を読んでいるなのに…ぼーっとしすぎですよ?」
「わはははぁ~」
担任の指摘にクラス中から笑い声がこだまする。
可奈子の方に目をやると、可奈子も爆笑していた。
まずい…ハズかし過ぎて死ぬ…
「美樹面白かったょ~(笑)」
可奈子が授業終わりの休み時間に声をかけて来た。
「可奈子ちゃん…私はハズかしさで死にそうだったょ…(泣)」
「泣くな、泣くな(笑)まぁ~今日みたいに暖かい日は、ぼーっとしちゃうよね~」
「そっ、そうだね(笑)」
おまじないの事考えてたって可奈子にばれたら、又爆笑されるので黙っていた。
一日が終わり、学校に校内放送が流れる。
「部活活動が終わったら、校内に残らずに速やかに帰宅して下さい。」
あ!!今日は可奈子の声だ(笑)
可奈子は放送部に所属していて、1年生は持ち回りで部活終わり時間の、校内放送を担当するのであった。
「美樹~部活終った?一緒に帰ろうよ。」
「ごめん~可奈子!!今日片付け頼まれて~先に帰ってて。」
「待っててあげるよ?」
「時間かかりそうだから~いいよ~ありがとう。可奈子良い声だったょ(笑)」
「そう?サンキュー(笑)じゃあ、先に帰るね又明日ね♪」
「うん、又明日ね♪」
私も文化系の部活にすれば良かったな~。
美樹は後悔していた。
部活を最期迄決めれずに迷っていた所、担任兼女子バレー部顧問に、今まで女子バレー部に2人いたマネージャーが、3年先だった事で、卒業してしまい困ってる。マネージャーなら楽できるし、どうだ?との提案に乗ってしまったのだ。
美樹と1年先輩の2年生の2人がマネージャーとして、女子バレー部を支えてる訳だが…運動部マネージャーは雑用が多く、実際とても楽など出来るハズもなかった。
「はぁ~完璧騙された…」
誰も居なくなった体育館で、ボール等の片付けを終え体育館から出ようとした時、扉の向こうで声が聞こえてきた。
「本気で好きなんです、どうしてもダメですか?」
「あぁ、付き合うとか、考えられないから」 まさかの告白現場に遭遇?
「わかりました…グスン…」
どうやら、女子が告白して、男子にフラれた感じだな~
「泣かれても、気持ち変わらないし、逆にしんどくなるから。」
え~この男子最悪だな~告白する女子の気持ち考えてないし…
「わかりました、もういいです!!」
走り去る足音が聞こえた。
どこの女子かわからないけど…可哀想…
「カチャン」
ヤバ!!持ってたカギを落とし、その音が静かな体育館に響き渡る。
その瞬間体育館の扉が開いた。
「誰かいるのか?」
マジか!!その男子は「怖い」噂の絶えない一学年先輩の、田辺恵介先輩だった。