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第四話   まったり、勇者抹殺の旅

   魔王城出発から・・・翌日の朝、とある村のとある店



   僕らは今、立ち寄った村のお店でまったりと、お茶を飲んでいる。

   

「おだんご、おかわりくださーい」

「あら、アリア。太りますわよ?」

「だって、おいしいんだもん。ね?おいしいよね、リータちゃん?」

「えぇ、甘い物なんて久しぶりですからね」


   確かに、これは美味しい。

   うち(魔王城)はお金ないから、あんまり贅沢はできない。

   

「この前の勇者が結構お金持ってましたからね・・・」

「うん。だから今日くらい贅沢したっていいよね?」

「そうですねぇ・・・ふぅ」


   お茶が美味しい・・・


「で、パペッ子はいらないんでしょ?おだんご」

「えっ、いや、それは・・・・いりませんわっ」

「それは残念だねー・・・リータちゃんは食べるよね?」

「あ、はい。いいの?パペッ子姉さん。おいしいよ?」

「ぐっ・・・い、いらないですわっ」

「そう・・・おいしいのに・・・」

「うぅぅ・・・!我慢ですわっ・・・!」


   どうしたんだろう

   まさかダイエットでもしてるんだろうか・・・?


「リータ・・・今、失礼なこと考えましたわね・・・?」

「いやっ!そんなこと無いよ!?」

「・・・カロリーを気にするなんて、まだまだだね、パペッ子。」


   あ、アリアさんがボソッと言っちゃいけないことを・・・


「なっ、なにをっ!気にしてなんかっ!」

「ムキになっちゃって・・・あはは!」

「むーーー!!!分かりましたわっ!わたくしも食べます!!!」

「最初からそう言えばいいのに。素直じゃないね、パペッ子。」


   この二人は、仲が良いんだか悪いんだか・・・

   っていうかさぁ・・・



「あのー・・・そういえば・・・」

「どうしたの?リータちゃん」



「僕達、何でこんなに余裕かましてるんですか?」


   昨日の夜、僕達は魔王城を出発した。

   すごく格好良く出発したはずだ。



「行け、リータ!チート勇者を迎え討て!生きて帰ってこいよ・・・!」

「はい!行くよ、パペッ子姉さん!アリアさん!」

「うん!」

「分かりましたわっ!」

「俺は美しく(以下略)」



   という感じで・・・

   みんな格好良かった。

   アルリオさんですら格好良かった。


「あれって、緊急事態じゃなかったんですか?」

「緊急、ではありませんわ」

「えぇ〜?じゃあ何だったんですかアレは?」

「やってみたかったんだよねーああいうの」


   なんだ・・・すごい張り切ってた僕が馬鹿みたいじゃないか・・・


「わたくしの情報によりますと、ターゲットは、魔王城から遥か遠く、始まりの村とも呼ばれている、マシロ村の外れにある、魔の森に向かっていますわ」


「焦る必要ゼロだった!」

「序盤も序盤。魔王城に着くのは、だいぶ先ですわね」

「まぁね。でも、リータちゃん格好良かったよ?・・・ふふふ」

「笑わないでくださいよ・・・」


   恥ずかしいな、もう・・・


「じゃあ、もうちょっとのんびりしてても良いんですか?」

「うーん・・・そろそろ行かないとダメかも」

「そうですわね・・・」

「どうしてですか?」

「今回の目的はね、ターゲットを倒すことなんだけど、早めに倒しておかないといけない理由があるの」

「ある、魔物を守るためなんですの。」

「魔物?」



「うん。初見殺しって奴だよ。」





 

  



 

   一時間前、マシロ村




   

   勇者アダムは、魔王討伐のため、仲間を探していたのでした。

   一度は倒されてしまったアダムですが、神から貰った指輪の力で

   蘇ったのでした。



「この村に腕の立つ奴は居るのだろうか・・・正直、俺一人で大丈夫だと思うんだが・・・俺強いし・・・」


   己の力を過信してはいけません。

   あなたには、仲間が居た方が良いのです。


「はいはい・・・分かってるよ、神様」


   と、言いながら、アダムは酒場に入って行きました。


「いちいち実況しなくていいよ・・・」


   分かりました。




   酒場


「よう、マスター」

「おう!兄ちゃんも昼間から酒かい?」


   酒場は昼間だというのに賑わっている。

   ガラの悪い連中ばかりだ・・・


「あら、いい男ね。一緒に飲まない?」



   ・・・なんだ、美女も居るじゃないか!



「聞いてくれ!俺はアダム。これから魔王討伐の旅に出る!」

「な、何だって!?するってぇと、兄ちゃん、勇者かい!?」

「そうだ!俺は勇者アダム!魔王討伐の旅に出る!」

「言い直さなくても良いんじゃないかい・・・?」 


   店の中がザワザワしている・・・

   み、みんなが俺に注目している!




「ふっふっふ!俺様のォ!!!出番のようだなァ!!!アァン!?」

「おおっ!村一番の乱暴者、ゴーリラだっ!!!」

「俺様にかかれば!魔王なんてスライムも同然ッ!!!」

「いいぞ!ゴーリラっ!!!」

「ウッホッホ!!!この俺様がァ!!!お前の旅に同行してやろう!!!」




「あぁ、なんてイケメンな勇者様!私を旅に連れて行って!私、ソーニャ!回復魔法が使えるのよ!」

「よし、俺についてこい・・・ふふっ」

「はいっ!」


   まずは一人目

   なかなか良い女だ・・・

   前の世界ではモテなかった俺だが・・・

   この世界なら、ハーレムを築けるかも知れないぜっ!

   元の世界に帰らなくてもいいかも・・・

   魔王討伐、やめようかな・・・別によくね?なぁ、神様・・・


(だめです)


   ダメだった。


「ハァ・・・さぁ、他に俺と一緒に来る奴は居るかッ!」


「ウッホッホ!!!この俺様がァ!!!お前の旅に同行してやろう!!!」

「頑張れ!村一番の乱暴者、ゴーリラ!!!」



「あたしがついていってやる!あたしはエイシャ!戦士だ!」

「いいだろう!お前も今日から俺の仲間だ!」


   女戦士か・・・かわいい・・・

   胸は無いが、それが良い・・・

   色々と楽しい旅になりそうだ。デュフフ・・・


「よし!他には居ないか!?」


「ウッホッホ!!!この俺様がァ!!!お前の旅に同行してやろう!!!」

「うおお!行け、ゴーリラ!!!」


「居ないな?・・・よし、みんな・・・行ってくる。」

「がっばってー!」

「頑張れよ、兄ちゃん!」


   勇者アダムはクールに去るぜ・・・




「・・・・・・・・・・・・ウホ?」

     

  









   魔王軍サイド



「着きましたわっ」

「ん?ここは・・・なんですか?」

「ワープ屋さんだよ」

「ワープ屋さん?」


   なんだろう、それは


「オ、イラッシャイ」

「マシロ村行きをお願いしますわ」

「オーケイオーケイ」


「アリアさん、ここはどういうお店なんですか?」

「ここは、選ばれた勇者だけが使える魔術、ルーリャを札に封じ込めて売っているの」

「ルーリャ?」

「うん、勇者が使う転送魔術。好きな所に一瞬で移動できるの。ちょうど切らしてたから、買いに来たの。」

「なるほど・・・」



   この前、勇者を殺しにマシロ村に行った時も、一瞬で着いたんだよね・・・

   てっきり、パペッ子姉さんの能力かと思ってたけど

   こういうことだったのか・・・



「勇者が使う場合、一度言った所にしか移動できないんだけど、この店の主人がね、術式を解析して、私達でも使えるように、しかも座標さえ分かれば、どこでもいけるように、札を開発してくれたの。」


「すごいですね・・・この店の主人は」

「トウゼンダ。ワタシハ天才ノ悪魔ダカラナ」


「ほら、この札でマシロ村まで行きますわよ。帰りは、この魔王城行きの札を使ういますから、あんまりわたくしから離れてはダメですわよ?」

「うん、わかった!」









   マシロ村


「うぇ・・・気持ち悪い・・・」

「毎回思うけど・・・この頭がグワングワンするの・・・何とかならないの?」

「わたくしはもう慣れましたわっ」


   

   確かにここはマシロ村だ

   前に来たから覚えてる。

   

   僕が辺りを見回していると、前方から何かが猛スピードで迫ってきた!

   ものすごい勢いだ!



「お、お前たちィーーーーーーー!!!!」

「ひぃっ」


   なんだこのゴリラっ・・・!・・・じゃなくて人間か・・・


「お前たちィ!!!もしかして勇者一行か!?ウホッ!?」


   なんだこのゴリラ・・・


「もしそうなら、俺様も連れて行ってくれェっ!!!」


   どうやら僕達を勇者一行と勘違いしているようだ。

   まぁ、今の僕達は外見が人間そっくりだから、そう見えなくもないけど。


「さよならっ!行こう、二人ともっ!」

「分かりましたわ」

「じゃあねー」


「ウホゥ!?ま、待ってくれぇぇぇえ!!!」


「何!?お、追ってくるよ、あのゴリラ!」

「面倒ですわね・・・」

「俺様の話を聞いてくれーーーー!!!ウホーーーーー!!!」


   ああもう!何なんだよ!


「分かったよ!何!?手短に話してよ!」

「じ、実は・・・!」






「・・・怖くて魔の森に行けない?」

「そうなんだよ・・・うっ・・・ウホッ・・・」


   泣くなよ・・・


「俺様、腕には自信があるんだけど・・・あの森には、ある噂が・・・」

「噂って?」

「あそこの森に居る魔物は、そんなに強くないのに・・・行方不明者が続出している・・・だから、きっと恐ろしく強い化物が居るんじゃないかと・・・!」


   なるほど。

   だから同行して欲しいと・・・  

   見た目に反してビビリな人間だなぁ・・・



「リータ、ちょっと・・・」

「何?パペッ子姉さん」


   パペッ子姉さんが、ゴニョゴニョと耳打ちしてきた。


(あの森には、セクターという魔物が居ますわ。新米勇者はだいたいアレに全滅させられる・・・それは、セクターが最初のダンジョンの魔物にしては、強すぎるから。あの森で油断している勇者を葬るのがセクターの仕事なのですわ。)


   セコイっ・・・!


(セクターは魔王軍が配置した戦闘部隊。勇者討伐においては好成績。だから、チート勇者に倒されてしまっては困るのですわ。)


   あぁ、だから早めにチート勇者を抹殺しないといけないのか・・・

   

「頼むよーーー!!!一緒に森に行こうよウホォォォォォ!!!!」

「逃げよう。」

「了解ですわ・・・」

「待ってくれぇぇぇーーーー!!!」



   そうして僕達は、しばらく走り続けた

   村から出ても、まだゴリラは追ってきた。

   ウザいなぁ!!!


「はぁ・・・姉さん、人目もないし、あいつ片付けていい?」

「わたくし、ああいう暑苦しいのは嫌ですわ・・・やってしまいなさい・・・ですわ・・・」

「うん・・・」


「ウホォォォォ!!!お前たちが!一緒に連れて行ってくれるまで!追いかけるのを!やめないぞっ!!!」

「もうっ!うっとうしいんだよーっ!!!」


   両親から受け継いだ、翼と爪を出現させる

   それに合わせて体が、体毛で覆われていく。

   戦闘モードだっ!!!

    

「・・・ウホッ!?な、なんだその姿はァ!?お、お前は・・・!?」

「そりゃあああ!!!」


   リータの ひっかく攻撃!


   説明しよう!リータの技の一つである、ひっかくとは!

   翼を動かし推進力を得て、相手の目の前まで移動し

   十分にスピードが乗った爪を相手に向かって繰り出す技なのである!

   いわゆる普通の、ひっかきなのである!


「うほぁぁあぁあああああ!!!!!!」


   これでゴリラは全身メタメタだろう。

   結構吹っ飛んだなぁ・・・うん、流石に死んだでしょ。


「行こうか。」

「わぁ・・・リータちゃんの本気モードだぁ」

「も、モフモフしてますわ・・・!」


   さて、早く奴を追いかけないと!

   僕達は急いで森に向かった。









「う、ウホ・・・?俺様は・・・死んだのか!?」

(えぇ、あなたは死にました)

「そうか・・・すると、お前は天使か・・・」

(神です)

「神だったか・・・」

(あなたを生き返らせてあげます)

「ウホッ!?い、いいのか!?」

(そのかわり、あなたは・・・あなたを殺した連中を追いかけて下さい)

「ええっ、でも森には恐ろしい魔物が・・・!」

(大丈夫、あなたには力を授けます。)

「おおおお!!!」

(必ず、あなたを殺した連中を殺してくださいね)

「よ、よぉし!!!やるぞ!やれるぞ!この力があればァ!!!」

(途中で、アダムという勇者にあったら、協力するようにして下さい)

「ハッハァ!!!分かったぜ!!!おりゃあああ!!!」



(頑張るのですよ)




   チート戦士、ゴーリラの冒険が始まる!




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