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第三話   僕らの敵って?

   食堂



「魔王様!お野菜、食べなさい!」

「いやだー!そんなもの必要ないわー!」


   ただいま、魔王様に野菜を食べさせるため、奮闘中。


「アリアさん!捕まえて!」

「了ー解」


   アリアさんの糸で魔王様の体の自由を奪う。


「うわー!無礼者めー!」

「ダメですよ、魔王様。魔力だけじゃなくて、ご飯もしっかり食べないと」

「だってー!苦いのは嫌なのだよー!」

「はぁ・・・パペッ子姉さん・・・お願い」

「分かりましたわ」

「な、なにをするー!」

「ほわたぁ!!!」

「ぎにゃっ!!!」


   パペッ子姉さんが魔王様の秘孔を突いた。

   すると、魔王様の動きがピタリと止まり・・・


「あなたはもう・・・食べていますわ・・・」

「か、体が勝手にー!・・・い、嫌だ!うわああああ・・・あむ・・・」


   魔王様が野菜を食べ始めた!!!

   き、決まった!パペッ子姉さんの傀儡神拳!


「うえぇ・・・にがぁい・・・でも手が止まらないー!」

「魔王様、野菜は栄養たっぷりなのですわ」

「そうですよ・・・食べないと大きくなれませんよ・・・」

「うぅー!!!」


   やはり味覚が子供なのか・・・

   魔王様は、どうも野菜が苦手のようだ


「こんなに美味しいのに・・・」

「ほんと?リータちゃんのお口に合って良かったよ」

「アリアさんの料理はいつも美味しいです。僕のなんかよりずっと!」


   これお店出せるレベルだよ!

   資金調達のために本当にお店出しちゃうのもいいかも。


「あはは、リータちゃん、そんなに褒められると照れちゃうよー」

「むっ・・・明日はわたくしが料理を作りますわっ」

「あぁ、明日こそは僕がちゃんとやるから、大丈夫だよ、姉さん」

「ふふっ、残念だったね、パペッ子。」

「くぅっ」


   何故かパペッ子姉さんが拗ねちゃってるけど・・・

   ただでさえ、ここでの僕の仕事は少ないんだから

   料理くらいちゃんとやらないとね。


「そういえば、リータちゃん。」

「何?アリアさん。」

「・・・なんでパペッ子には姉さんって付けるのに、私はさん付けなの?」

「あぁ、それはパペッ子姉さんが、そう呼べってうおああ!?」

「た、多分、わたくしを本当の姉のように慕ってくれているからですわっ!」

「・・・ふーん」


   えぇ・・・?そっちがそう呼べと・・・




「それにしてもー!」


   野菜を食べ終わった魔王様が口を開く。


「ここの幹部たちはなんなんだー!集まり悪いぞー!」

「確かに、私とリータちゃんと、パペッ子しか居ないよねー」

「あの人達には協調性というものが無いんですわっ」

「えっと、幹部って、あと3人ですよね?」

「そうだぞー!」


   アルリオさんと、ライムさん・・・あと・・・

   あんまり話したこと無いけど、吸血鬼がいたはず・・・


「まったく!これから大事な話をしようというのにー!」


   大事な話・・・多分、この前のチート勇者のことだろう。


「いない方々は放っておいて、話を始めませんこと?」

「そうだなー!」

「あれ、なんだか、おぞましい気配が・・・」



   その時・・・

   ボコォォォォォンと何かが地面から生えてきた!


「うわあああー!一体何なのだーーーー!?」

「敵襲ですのっ!?」

「魔王様は僕が守るっ!」

「私も守ってー!?」



「美しく登場ーー!!!ソォーーーレッ!!!」


   

   ・・・おぉん?


「あ、え・・・えーと・・・」



   なんだこの空気・・・!



「あ、アルリオ・・・さん?」

「な、なんだアルリオかー!」

「びっくりしましたわっ!」



「食堂に咲くーーーッ!!!一輪のォォォ!!!俺っ!!!!」


   ・・・で、出たっ!アルリオさんのドン引き☆マジックだ!!!



「やぁやぁやぁ!!!俺だよ、俺なんですよー!?」



   まだ続けるかこの人!!!ウザすぎる!!!



「見給えよっ!!!この俺を!!!見てーーーッ!!!」

「当て身っ」

「おぅふ・・・」


   ・・・この人は、この城の上級魔物の一人、アルリオさんだ。

   世にも珍しい、植物の魔物、アルラウネのオスらしいのだが・・・

   気持ち悪い外見、言動のせいで、みんなから距離を置かれているという

   とてもかわいそうな人だ・・・

   

   



「話を始めましょうか!魔王様!」

「あ、あぁ・・・そうだなー・・・」


   アルリオさんは放っておこう・・・


「おほんっ!今日話すのは、あたしたちの敵のことだー!」

「敵・・・ですの?」

「僕達の敵は、魔王様を討伐しにくる勇者ですよね?」

「そのとおりだー!」


   僕達はの仕事は、魔王様を討伐しにくる勇者の妨害、または殲滅だ。

   ここにきてから、何度もやってきたけど・・・


「あたしと勇者の対立は、およそ100年前に始まったんだー!」

「あら、もっと大昔から続いていたと思っていましたわ。」

「割と最近なんですね。」

   

「100年前はあたしも、ナイスバディなレディだったのだぞー!」

「それは嘘でしょう?」

「僕もそう思います。嘘ですね。」


   100%嘘だね。


「うそじゃないー!なんなんだおまえたちはー!」

「まぁまぁ、それはいいとして。」


   アリアさんが続きを話すように促す。


「それでなっ!あたしは勇者の親玉と面識があるんだー!」

「勇者の親玉・・・ですか?」

「そんなのいるの?」


   あいつらって基本、誰かに命令されて動くようなやつじゃないと思う。

   親玉なんて居るんだろうか・・・?



「勇者の親玉・・・それはな・・・神だ!」   



「か、神って・・・神様ですか?」

「もちろんっ!」


   神様って本当にいたんだ・・・


「勇者の素質を持つ赤ん坊が生まれてくるのは、100%あいつのせいだー!」

「なるほど・・・それはやっぱり、魔王様を倒すためですよね?」

「魔王様は何か悪いことしたの?」

「あたしかー?まー悪いことをしたというか、させられたというかー」

「?」

「あー、まぁそれはいいんだー!でなっ、最近、神が変なんだ!」

「変・・・と言いますと?」

「いいかっ、神は今まで色々な勇者を生み出してきたが!それでも、そいつらの能力には、制限がかけられていた!人間が、人間以上の能力を得ないようにな!」


   確かに僕達魔物にとっては、勇者もそんなに強くなかった。


「それは、人間たちの調和をとるためだったんだが・・・」


   一呼吸おいてから、魔王様は再び喋りだす。


「だが、ついに神はそのルールを破ったんだ・・・!

「それってつまり・・・!」

「そう!そうして産まれたのが、チート勇者だ!」


   僕達が今回倒した勇者・・・

   人間の致死量を遙かに超えた毒物に耐え、しかも、急所を何度も刺しても

   しばらく死ななかった・・・

   あの時、僕は人間を相手していると思えなかった・・・  


「あいつらを使って、どうしてもあたしを殺したいらしい!むー!」

「そうまでする理由って何なんですかね?」

「んー?・・・神の最終目標は、完全な統制だ!」

   

   ・・・完全な統制?


「神はなー、あたしが持っている、ある能力を奪って人類を管理するという目的があるらしいんだー」

「どんな能力ですの?」

「魔王様って能力持ってるんですか?」

「ただの無力な少女に見えるけどー」


   確かに・・・HPもスライム並だし・・・


「失礼なっ!持ってるぞー!魔物を管理する力!」

「そんなもの持ってたんだ」

「使えるんですか?」

「い、今は使えないけど!神は、この能力を一度奪って、本質を変えつつ、勇者に与えようとしてるんだー!」

「書き換えるとは?」

「管理する対象を、魔物から人間に変える。それだけだ!」

「えぇっ!?それって!」

「そして、あいつのシナリオはこうだ!魔王を倒した勇者に、人類を管理する能力を与え、繁栄させる!みんな幸せに暮らしましたとさってなー!」


   なるほど・・・でも、人間の血が混ざっている僕としては・・・

   それって幸せとは違うと思う・・・


「つまり、この星を治める、神に近いようなやつを作ろうとしてるんだ!」

「それが神の目的というわけですね・・・?」

「あぁ!・・・もともとは、神もまともなやつだったんだけどなー」

「そういえば、どうして、その神様と面識あるの?」

「それはなっ!あたしの魔物を管理する力は、神にもらったものだからだ!」

「そうなんですの?」

「んー・・・いまいち分かりませんね・・・神様ってやつが・・・」

「当時のあいつの目的は、今とは違ったからなー。話せば長いぞ?」

「聞かせてください、魔王様。」

「うむ!えーと、昔の人間どもはなー・・・」

   




「ハッ!!!た、大変なんだーーー!!!聞いてくれーーー!!!」



「!?」



   僕らが振り返ると、目が覚めたアルリオさんが・・・




「生きてるっ!!!ターゲットは生きているんだ!!!」




「アルリオ!?何のことですの!?」

「ターゲット!?」


   ターゲットって・・・まさか!?


「チート勇者っ!!!美しき俺の美しき下僕が確認した!生きていたんだ!!!」


「「そ、そんな馬鹿なっ!?」」


   僕とパペッ子姉さんが驚く

   確かにあいつは殺したはず!!!


「こっちに向かっている!あぁっ!!!俺の下僕が斬られたっ!!!」


「ま、魔王様っ!僕は確かに殺しましたよ・・・!?」

「こ、これが神が産み出した化物・・・!チート勇者なのかー!!!」


   人間でありながら人間ではない・・・

   これが・・・チート勇者・・・!?


「行くのだー!そいつを迎え討てー!頼んだぞリータっ!!!話の続きは、帰ってきた後だ!・・・帰ってこいよ・・・!」

「了解しました!今度こそ仕留めてやります!アリアさん!パペッ子姉さん!行くよ!!!」

「わかった!」

「了解しましたわっ!」

「俺はっ!華麗に後方支援だ!前線は任せた!!!」



       


   僕らは、この後、チート勇者の本当の恐ろしさを知ることになる・・・!   


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