Ⅱ レイの失踪 前編
「幽霊?」
幽霊ってあの、幽霊か? 死んだ人間の念が残って動き回るという、アレ?
長い間交流を持ってきた人物をいきなり幽霊呼ばわりされ、僕は困惑の真っただ中にいた。それは嘘だろう? そんなこと、あるわけがない。
そう、嘘だ。
いったん嘘だと考え出すと、生来の嘘嫌いが鎌首をもたげてきて、僕は少し冷静さを取り戻した。同時に一馬に対する小さな怒りも覚える。何が幽霊だ。どうしてそんなたわごとを。
けれど、電話先の一馬の口調は確かに必死さが滲み出ていて。
「雪見が嘘を嫌っているのは知っているよ。それに、にわかには信じられないことも分かっている。だから今ここで、雪見を説得しようとなんて思っちゃいない。でも、服部玲はいないんだ。幽霊なんだよ」
一馬は極めて淡々と言葉を重ねていたが、それでもカッとなる。
「そんな、バカな。もう一年近い付き合いだぞ! 幽霊って言うんなら、今日のあれはなんだってんだよ! 僕も原根も、花村さんも! 幽霊と会話していたってことかよ!」
「そうだ」
重みのある一言に、自分が正しいと思いながらも気圧されてしまった。そんなのって、あるのか? わけが分からない。
「そんなわけ、ないだろ……服部さんが幽霊だなんて。だったらなんだ、僕は幽霊に簡単に触ることの──」
言葉が、詰まった。
僕は今まで、玲に触ったこと、あったっけ?
引っ込み思案な玲は、アクティブな行動を起こすことが稀である上、対人について潔癖症を持っていた。それゆえ、歩いていて誰かに当たりそうになったりすると、器用にスルリと避けていたのを覚えている。
改めて自分に問う。僕は玲に触れたことがあるか?
一年近い付き合いと言っても、玲と学外で顔を合わせることはなかったし、基本的に話して終わりであることが多かった。玲は普段、人との距離をそれなりに取っていたし、もしかすると、触れていないのではないだろうか?
いや、それでも玲の香りくらいは覚えて……ない。いや、きっと嗅いだことはあるのだ。しかしそんなもの普通は覚えていなくて、それでもだからこそ、僕は玲を通常の人間だと認めていたことの証拠になるのではないか。だが、目の前の人間が幽霊かもしれないなんてことを考えたことは一度もなかったし、そうとは言い切れないか……
ああ、思考が錯綜してきた。
一馬も僕のそんな逡巡を電話越しに感じ取ったのか、
「混乱するのは分かる。でも、これだけは伝えたかったんだ」
諭すように、ゆっくりと僕に話しかけた。
「でも、そんな……」
「急なことで申し訳ない。だけど、今言っておかなくてはダメだったんだ。だからもう一つ、言わせてくれ。服部玲に関することだから」
「……なんだよ」
訊くと一馬は、七年前の十一月の中頃の、とあるローカル新聞の名を口にした。覚えきれないので、空いた左手で紙とペンを探す。
「これが……なんだって言うんだよ?」
復唱してもらい、メモを取りつつも、僕は訝しんだ。
「調べてくれ。大学の図書館で見つかるだろうから」
「おい、これは一体」
「──雪見」
突然名前を呼ばれた。そのせいで詰問口調は気勢を削がれてしまい、なんだよ、と小さめの声で反応するのが精一杯となってしまった。
「雪見。ありがとう。じゃあな」
「え? 原根?」
電話が切れた。唐突に、切れた。
だったらこちらもと、即座にリダイヤルしてやる。
……出ない。それはそうか。
「ったく……わけが分からん……」
ぼやくように、僕はあえて言語化した。心理的には、わけが分からんを通り越してただの混沌に叩き込まれているだけの状況であり、色々と判断停止しそうになっているので、自分はわけが分かっていないのだ、と自分自身に言い聞かせることすら必要だったのだ。
少し整理しよう。一馬はあの電話で、何を言っていたか。
──服部玲は存在しない。幽霊だ。
これだけ。
これだけだ。
あとは昔の新聞記事を調べろと言われたが、示された命題はこれ以外にない。
だが、玲が幽霊だとはどういうことなのか。
玲が存在しない=幽霊だ、というのはいいだろう。幽霊というものを僕は見たことがないので知らないが、一応僕たちは玲を知覚し、会話をしていたわけだから、単に存在しないといわれても困る。集団幻覚を見ていたのだ、としてもいいかもしれないが、今現在、集団幻覚と幽霊は同じレベルの話である。
幻覚を見るメカニズムが全く分からない以上、それは幽霊と何ら変わりないからだ──いやいや、それは違うな。やっぱり、集団幻覚とは考えにくい。
僕は思い出していた。今日の昼、玲との別れ際。玲は僕を大声で呼び、意味深なまま走り去っていたあのときだ。
あのとき、通行人は僕のことを怪訝そうな目で見ていた。それはつまり、通行人にも玲のことが見えていたことを示している。僕とその通行人に面識は全くない。では、その二人が同じ集団幻覚にかかっている、とは言いづらいのではないか。
我ながら冴えている論理だと感じたが、すぐに反論ができてしまった。それも二つ。
まず、集団幻覚の範囲が広すぎる場合もありうる、というもの。僕とその通行人は面識こそなかったが、よく考えれば同じ大学の学生だ。ならば、大学生全員が幻覚にかかっていた場合は、この限りではなくなる。
もっともこれは牽強付会というか、屁理屈みたいなものである。幽霊云々のせいで「この世は何でも起こりうる」という気分になりかけの僕が生み出してしまった妄想に近い考えだ。
だが、二つ目の反論はもう少しだけいい点をついている。
それは、通行人に、玲が見えていなかった場合である。
実はそれでも、あの現象は説明がつく。通行人からしたら、なんだかよく分からない男が、急に空気と話し出したように見えたのだから。僕だってそんな者を見かけたら、眉をひそめるくらいのことはするだろう。
ママー、なにあれ。めっ、見ちゃいけません。そんな流れだ。
「……そうだったの、かも」
一人部屋で声に出すくらいには、説得力のある仮説だった。いや、もちろん僕はまだ、玲が幽霊だなんて信じてはいない。生身の人間だと思っているし、一馬の電話は錯乱めいたものだと考えているが、万々が一そうでなかったならば、という場合だ。
何かの間違いで玲が幽霊だったとしたら、それは僕と一馬、桃香の三人だけが見えていたということではないか。さっき僕は、玲に触ったことがあるかどうかについて自信をなくしたけれど、こちらは自信を持って言える。
玲が僕たち三人以外と話しているのを見たことはない。
もちろん玲といつも会っていたわけではないが、僕が見る限りではなかった。これは僕たち三人が、偶然玲を見ることができる体質だったということではないだろうか。
これを採用すると、あの通行人にとって僕は「痛い人」になるから、思い返して心の中を掻き毟りたくなるような感情に襲われるのは間違いない。だが、玲=幽霊説からすると、これが妥当だ。
待てよ。では、講義の合間などで、玲と二人で喋っていた頃の僕はまわりにどう映っていたのだ……うわ、考えたくない。
雪見正直、現在進行形で黒歴史更新中である。
「ああ、もう!」
これではダメだ。どうも一馬の言に則ったことばかり考えてしまう。それは嘘なのだ。僕が真剣に嫌う、嘘。そう自己暗示をかけても、一向に改善する気配はない。なにかいい方法はないか、なにかないか……
「そうだ!」
思いついた。
現状を打破する、最も手っ取り早い方法。
玲に電話をすればいいのだ。
僕は友人に電話をしたりメールでやりとりしたりをしないほうだと自負しているが、親しくなった人物と連絡先の交換くらいはする。玲のものも、確かあったはずだ。
探して、発見。電話番号だけ登録している。口頭で教えてもらったことを、おぼろげに思い出した。
手早くプッシュ。さあ、どう出るか。
緊張の一瞬。
しかし、それはあっけなく終わってしまった。
──お掛けになった番号は、現在使われておりません──
冷や汗が背中を伝った。まさか、玲は本当に存在しないのだろうか。僕たちが見ていた、まやかしだというのだろうか。そんな思いに駆られてしまう。
しかしそれはない。現実的に考えてありえない。さっきから僕の思考は、この繰り返しだ。玲は幽霊かもしれないという疑念と、そんなことはないという反駁がせめぎ合い続けている。後者が圧倒的に有利なはずであるのに、どことなく揺らいでしまっている。
それとも、失踪?
いやいや、そんなことはないだろう。
でも、もしかしたら──
ええい、気にしすぎるな。
僕は理性をフルに発揮して、自分を叱りつけた。電話番号を変更して、僕に連絡を忘れただけかもしれないではないか。
それに、新学期が始まれば、講義で会う。今すぐ確認はできなくとも、いずれ分かることなのだ。だったら大人しくしていればいい。僕は静観を決めた。
ポジティブになったつもりだったが、ふと玲という名前に皮肉なものを覚えた。玲、玲と頭の中で発音していては、まるで本当に霊に近づいていくかのように感じてしまう。一声呼ぶたびに、彼女の輪郭が薄れて透明になっていくかのような、奇妙な想像が脳を通り過ぎていく。
ああ、もやもやとした感じだ。
頭をクリアにしようと、僕は考えるのをやめた。とりあえず、夕食にしよう。
一馬が言っていた新聞の件もよく分からないが、調べるのは明日になりそうだ。今頑張る必要はない。
僕は手早く残り物で夕食を準備し、さっさと片付けてしまった。頭に負担のかかることばかりがあった日だったからか、いつもより身体が栄養を欲しているようにも思えた。
今日はもう、頭を休めよう。
そう決めて残りの時間をゆっくり過ごそうと思ったのだが、シャワーを浴びて浴室から出てきたあたりで、ふと考えてしまった。
──そもそも一馬が、玲を幽霊だと断じたきっかけはどこにあったのだろう?
どうして、僕にそんな電話をかける気になったんだろう?
……いや、もう、寝たほうがいいな。
眩暈にも似た疲労を感じながら、僕はベッドに倒れこんだのだった。
○
うつらうつらとしながら、回想めいたものが頭の中で展開される。
過去の記憶が、少しずつ浮き上がってくる。
僕と玲が初めて出会った時のシチュエーションは、少しドラマチックだった。盛り上がるとかいう意味ではなくて、ドラマにありそう、というだけのことだけれど。
二年生の前期日程が始まったころだったから、丁度去年の今あたりのこと。僕は大方の大学生と同じように、生協の教科書販売コーナーにいた。法律の勉強が本格的に始まる年次だったし、シラバスからメモした紙を手に張り切っていた。
急ぎ足で教科書を物色する。というのも、この時期に買いたがるのはみんな同じなので、下手をすると再入荷までの品切れという憂き目に遭うのだ。案の定、平積みになっていた目的物もあったけれども、あと一冊というものもあった。
危ない、危ない。なんとか買えた。
と、ラスト一冊めがけて手を伸ばしたとき。
僕の視界に、色白で小さく細い手が乱入した。
あ、ぶつかる。
そう予感したものの、そうはならなかった。相手が素早く引っ込めたのだ。
衝突は避けたものの、最後の一冊を取り合う形となり、多少気まずさを覚えながらそちらを見る。もちろん、そこにいたのが玲だった。
レディファーストの精神が染みついているわけではないだろうが、小動物を連想させる小さな体躯に庇護欲をそそられたのか、今と変わらぬ地味目な外見に、彼女から教科書を取り上げるのを野暮ったく感じたのかは定かではないが、僕は比較的即答に近い形で、
「あ、どうぞ」
と言っていた。のだが、
「え、いえ、いいんです」
あっさり断られる。むう、それは余計気まずいんだけどなあ、と苦い思いをしながらも、なんとか押し切ってやろうと意地になりかけたところで、
「ホントに、ちょっと読もうと思ってただけですから。どうぞ」
怖い教師に当てられて挙動不審に陥る人見知りの子のような、か細い声で呟くように言うなり、玲は去っていってしまった。
うーん、仕方ないな。
このときは玲の名前も何も知らなかったので、法学部かな、この教科書に興味を示すのなら同級生かな、見たことないなあ、なんせ法学部の一学年って三百人はいるからなあ、などと考えながら、首尾よく教科書を手に入れた。
出会いの瞬間で二人の手が触れていれば、玲が幽霊だと言われたところで無下に否定できたのだが、現実そうではないので仕方がない。もしや、潔癖症というのは自分が幽霊であることのカモフラージュの一環なのでは、と疑うこともできるのかもしれないが。
話を戻そう。
玲とのファーストコンタクトはたったそれだけのことだった。けれども、セカンドコンタクトは比較的すぐやってくることになる。単純な話で、講義のときに玲を見つけたのだ。
取り合った最後の教科書を用いる授業だったため、ひょっとしたら出席しているかな、との思いはあった。だから、偶然の出会いとは言いづらい。少し遅めに大教室に入って(民法の授業だから、受講者も多い)、見通しのいいところから探すくらいのことはした。
二年生の初めにして、僕はもうだれかとベッタリしながら大学構内を移動することを嫌っていたので、仲良しグループのようなものには入っていなかった。誤解の無いように言えば、こういう学生は大勢いる。むしろそういうのが普通だ。基本的に一人で大学をうろついて、講義室に友人がいれば近くに座る。それだけ。
ただ、履修する授業を打ち合わせて揃え、常に動きを共にする人間もいるのである。僕の最も嫌う、自分のついた嘘を誇りたがるやつは、大抵こういうところにいるから余計に嫌だ。まあ、そういう人は群れたがるものだから、半ば必然なのだけれども。
偏見だとは自分でも分かっている。けれど、嫌いなのだから仕方がない。生理的に無理、とは何と強力な表現の刃なのだろう。
大勢の生徒から玲を探すのは少し骨が折れたが、それでも一分程度で見つかった。第一印象から判断して、前のほうに座りたがるタイプではなく、さらに真ん中よりは端っこに座りたがるタイプではないかと予想したら、的中したのだ。
日の当たらない側の端の列、後方すこし手前くらいのところに、玲はいた。
とりあえず、教科書のお礼くらいは言っておこう。
そう考えて玲の後ろの席に着き、声を掛けた。
「この前は、どうもありがとう。法学部だよね?」
玲は僕に話しかけられたのが意外だったのか、変に挙動不審になって、あの、そのなどと言っていたが、その手元には教科書が見当たらない。当然だろう、僕が買ったのだから。他の書店でも購入できるが、学生生協は一割以上も割引してくれるのだ。
「今日のぶん、教科書見る? あ、僕、雪見って言います。雪見だいふくの雪見」
僕が尋ねると、玲はちょっぴり顔を赤くさせて、
「……じゃあ、お願いします……えと、服部、です」
はにかみながら自己紹介をした。というわけで、僕は玲の背後から隣の席(もちろん、一つ分開けている)に移動して、二人の中間の辺りに教科書を置き、その日の講義を受けた。
……ん?
こうして振り返ってみると、玲は講義中、普通にルーズリーフにシャープペンシルでノートを取っていた。あの時見せた教科書も、じきに用意するようになっていた。
仮に玲が幽霊だとして、そんなことはありえるのだろうか。それとも、幽霊だったらなんでもありなのか。ここでも一馬の電話に対する疑いが芽生えたが、今は措いておこう。
とにかく、僕と玲の付き合いは、こうして始まった。僕はこれを友人関係だと思っているけれど、人によってはそれを否定するかもしれない。なにせ、授業で会ったら軽く話をして、成り行きで昼食を一緒にしたりする程度なのだから。玲も下宿生ということは知っているが、お互いに行き来したことはないし、飲みに行ったこともない(そこは、僕が下戸だということが大きいかもしれないが)。なんとも淡泊なものである。
けれども、僕は物静かで誠実さを常に損なわないような、ついでに言うと一人でも平気な人物のほうが好きだから、玲と言葉を交わすことは楽しかった。僕が喋っている頻度が高いものの、玲もはにかんだり恥ずかしそうにしたりしつつ、面白い話を聞かせてくれたりしたし。
ちなみに、一馬と桃香と出会ったのは、一年生の後期の冬頃だったから、玲のときよりも前となる。
一年生の時は教養科目を多く履修するのが普通だが、その中にゼミ形式で行われる授業があり、僕と桃香がそれを取っていたのだ。ゼミ形式だから人数は少なく、履修者とは口を利くことがよくあって、中でも桃香は同じ法学部ということで、仲良くなったのだ。
桃香と一馬は、僕が知る限りでは最も堂々としているカップルである。桃香と知り合って間もない頃に、あたしたち付き合ってるんだよねー、と一馬を紹介されたときは、少し驚いた。こちらから恋人はいるか、などと訊いたことはない。自分には一馬がいるからね、という牽制なのかとも思ったが、そんな素振りは全くない。桃香から、お昼ご飯食べに行こうよ、と誘われたことも何度かある。一馬からしても、それを気にすることは皆無だった。
当然のごとく付き合っている。この夫婦然としたものをこの年で備えていることに、僕は圧倒されたものだ。
桃香の実家の花村家が異様に厳しいとか、あまり歓迎されていないカップルだとか、勉強の合間に原稿に打ち込む一馬とか、そのような要素が二人の絆を強固にしているんだろうなあ、としみじみ思う。共に、成功した桃香の兄・孝介に憧れているという点も大きいだろう。
なお、桃香・一馬のコンビと玲のつながりは、完全に僕を介している。僕が玲と話しているときに二人がやってきて、あれ雪見にも友達がいるじゃないか、うるさいなそれくらいいるよとのやり取りを経て、友人となったのである。最初、玲は結構人見知り気味だったが、何週間かすればすっかり慣れた。
──と、僕としては理想の友人関係で一年近くやってきて、今日のこの展開だ。
記憶をたどればたどるほど、玲が幽霊であるだなんてことはありえないように感じるのだけれど、同時にあんなに真剣だった一馬のことも気になる。
困った。まったく、把握できていない。
一番の難点は、僕が幽霊を見たことがない、というところだ。人間として当たり前の話だけれど、幽霊の仕組みなるものが全く分からない以上、どうしようもない。
例えば、幽霊はモノに触れることができるのか。
できない、というのならば、授業中にノートを取っていた玲は幽霊ではなくなる(しつこく念押しをするが、玲が幽霊であると僕は信じていない)。だが、アニメや漫画などで描かれる幽霊の中には、物体に干渉できるやつが沢山ある。中間的なものでは、接触できるものに限度がある、という設定もあった気がする。
さて、この現実に幽霊なるものがいるとして、それはどれなのか。そこを確定できない以上何を考えても無駄な気がするのである。
とにかく、目下の課題は一馬、あるいは玲に直接会って、どういうことなのか問い質すことだろう。玲に会ったならば、彼女には不本意だろうが身体に触らせてもらう。もっとも、触れるタイプの幽霊もフィクションの世界には存在するわけだけど。
回想から考察に切り替わった辺りで、いよいよ頭が完全に疲れてきた。少しずつ、意識が薄れていく。
うう、眠い……
そのまま僕は、眠りの世界に落ちて行った。