例え未来がなくても
昼は空が青く、夜は綺麗な星空。
彼はそんなところに生まれた。
周りには心の綺麗な住民達。
誰もが恵まれていると思う環境だろう。
だが、彼はそんなふうに思っていなかった。
周りの人間は自分を見下し、親は自分をゴミのように扱い、自分を必要としている人間は誰もいない。そういうふうに現実をとらえていた。
実際、そうだった。周りの人間は自分を悪く見られたくないが為に、気分よく彼に振る舞い、いろいろとやってくれた。彼からしたらいい迷惑だった。
自分を良く見せたくて、俺を道具として扱っている。何様だ。こいつら。裏で俺の陰口叩いておいて、自分は君の味方?ふざけるな!!
彼の心はもう壊れかけていた。もうこの世から消えたい。ずっとそう思っていた。
俺はなんのために生まれてきたんだ?俺はなんのために生きてるんだ?
そんな疑問が彼の中で永遠と繰り返されていた。ある日、中学校から帰る途中、信号を渡っていると、信号無視をした車がこちらにむかって突進してきた。咄嗟のことで動けなかった。いや、動かなかったのかも知れない。彼の中の潜在意識がそうさせたのだろう。だが、彼は願った。生きたい!と。そしてその願いは良かったのか、悪かったのか分からない。それでも、その願いは叶うこととなった。