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ティブスと愉快な仲間たち

大合奏が気になったのか、二人の子がこちらに近づいてきた。

どうやら女の子の・・・姉妹のようだ。二人とも髪はおさげで、姿かたちもよく似ている。



「オハヨー」


今日もまぶしいぐらいの朝日だけど、僕はやっぱりお寝坊。だけど兄ちゃんはもっと大寝坊。二人とも母ちゃんに説教くらって、うなだれながらの朝ごはん。でもやっぱりおいしい!


家の手伝いもさっさと終わらせ、さっそく兄ちゃんと遊びに行く。今日は何をしよう?


「あ、おそいおそーい!」

「おう、すまんね。」


と、そんなところでビンジョー兄ちゃんがやってきた。朝から説教された八つ当たりとばかりに、何故遅れたかを二人で尋問する。ビンジョー兄ちゃんが言うには、朝にやることが増えただってさ。


「どんなことって、ティキと似たようなことさ。」

「あ、オージヌシさんか。」


母ちゃんから聞いたところによると、オージヌシさんは、奥さんの隣で眠ってるんだってさ。あと最近なんでか、ビンジョー兄ちゃんの・・・背中にしょってるやつ・・・ブンジョー?・・・かな。それの音色がすこし楽しそうになったんだよね。


「さて今日は何して遊ぶの?」

「う~ん・・・よし、大合奏だ!」

「ダイダッソウ?」

「逃げんなオイ。」


「大」合奏って言っても、3人しかいないけどね。


その後、皆で、周りにある使えそうなものをとにかく楽器にしてみたよ。

草笛、切り株、木の実、木の枝、どんぐり、森の中に昔から住んでそうで、月夜の晩にオカリナ吹いてそうで、もしも会えたなら素敵な幸せが来そうな生き物・・・


ある程度揃ったところで合奏開始だ。ティキ兄ちゃんの草笛を合図にするんだけど・・・

ティキ兄ちゃんがいつまでたっても「ピュオ」って感じの音しか出せないから調子狂うんだよね。


そのうち、カオスなことになった大合奏の音を聞いて、興味を持ったのか苦情を言いに来たのか二人の子が現れた。どうやら、両方とも女の子で・・・姉妹のようだ。髪はお下げで、姿かたちもよく似ている。


「な、なにやってるの・・・?」


まあ、そう言うと思った。


「大合奏だよ!」

「3人なのに大合奏なんすか?」

「うん・・・多分・・・。」


多分・・・違うと思う。



その二人もなんだかんだで合奏に加わったことで、少しは大合奏に近づいた・・・ような気がするが多分気のせいでしょう。


「ってか今さらだけどなんなんすかこれ。」

「ホント今さらね。」

「それはな・・・何だろう・・・。」


その姉妹と少し一緒にいると、大体二人の違いがわかってきた。まあ、背が違うのはもちろんだが、姉の方が女らしく、妹の方は少々男の子みたいな感じだ。でも、それでいて顔が似てるんだから面白いなぁ。



数十分後、僕らはどういうわけか、草が生い茂る中を歩いていた。ちょうど僕の頭までスッポリ入るくらいの高さで、ビンジョー兄ちゃんの頭だけがヒョコっと見える。

まあ、なぜかと言えばビンジョー兄ちゃんが行こうって言いだしたんだよね。


「ビンジョー兄ちゃん、どこ行くの?」

「ん?それは秘密だ。後、そのセコそうな呼び名やめろよ。」


しばらく歩くと、目の前に巨大な草原が広がった。向こうの山まで何もなく、ただ緑のじゅうたんがしきつめられている。でも・・・何やんの?


「うわ~すごいな~・・・・・・・・で?」「で?」「で?」「でで?」

「ウム、やることがないな。で、一つ悪いニュースがある。」

「何それ?」

「どうやって帰るか忘れた!」テヘペロ★


・・・・・・・・・・・ふざけんなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ









というわけで本当にどういうわけか僕たちはまた草の中にいた。頭がスッポリ入ってしまう草の中を、全員が不安げな顔をして歩いていた。

とりあえず気を紛らわせようと、姉妹の方に名前を聞いていた。そういえばまだ聞いてなかったもんね。


「そういえば・・・名前なんていうの?」

「え、私?私はルルっていうの。」

「ウチはリリっていうっす。ハイ。」


ルルとリリか・・・。面白い名前だね。

で、気を紛らわせたのはいいけども、現実からは逃げられないわけで、見事に草の中で迷子ですよ。


「こっちから来たんじゃない?」

「いや、あっちっすよ。」

「私、そっちだと思うんだけど・・・」


と、まあラチがあかないもので、一つ作戦会議をすることにしました。

会議長のビンジョー兄ちゃんが皆に問う。


「何か目印になるようなものはあったか?」

「アリ?」「いや無理だろ。」

「花とかどうっすか?」「いろんなとこに咲き乱れてると思われ。」

「こうなったらネコの形をしたバスを呼ぶしかない!」「来るかそんなもん!」


と、会議が踊ってる内に日が暮れ、辺りも少しずつ闇にのまれていった。


「あんまり暗いと帰れなくなるッすよ・・・グスン・・・」

「リリ、泣いちゃダメだよ。」


と、そろそろ本気で困ってきた・・・




「おーい!ティキー?ティブスー?アリードさーん?どこ行ったの~?」

「・・・ネコの形をしたバスが来たぞコレは。」

「プラタナス姉ちゃん!」

「声のする方をたどれば帰れるかも!」


耳をよくそばだてて、プラタナス姉ちゃんの声をじっくり聞きながら進んでいく。

声にどんどん近付いていく。草をかき分けて遂に外に出る・・・


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


目の前に長い黒い物がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

と思ったらプラタナス姉ちゃんの髪でした。


「フゥ・・・びっくりしたぁ~・・・皆、どこ行ってたの?」

「ちょっとした大冒険にね!」


大冒険って兄ちゃん・・・大迷子の間違いじゃ・・・


「まあいいわ。お母さんが待ってるわよ。」

「ゲゲ、まずい予感・・・。」



予想通り、帰ったらお母さんに本日二度目の説教をくらった。一日二度とは・・・ついてないなぁ・・・


そういえば、帰り際に兄ちゃんがビンジョー兄ちゃんにこんな話をしてたような気がするんだけど・・・


「アリード兄ちゃん、実はすぐ帰れたでしょう。兄ちゃんだけは村が見えてたんだから。」

「フフフ、なかなか賢いな。ティブスには内緒だぞ。」


・・・まあ気のせいだよね!



夏の終わりごろの日のこと、皆で大冒険をした。もしかしたら小さな冒険だったかもしれないけど、僕にとってはホントに大冒険だった。

さ~てそろそろ第一章も終わりかな。

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