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プラタナス~鈴かけの木~

「俺の昔話が聞きたい?お前も物好きだな。」

「物好きっつってもそれ以外にやることなんかねえけどよ~。」


1945年 9月 ベルリン


敗戦後、様々な国がドイツという食いものの取り合いをしているが、そこに住んでいる民衆にとってそんなことはどうでもいいだろう。

彼らは生きるのにさえ必死なのだ。

むしろ俺達が住んでいる牢屋が何よりの豪邸なぐらいだ。何しろ、何もしなくても飯が出るからな。


牢屋の暮らしは、いいものとは言わないが、そんなに退屈することもないだろう。

それより、目の前の牢屋のなんと騒がしいことか。

「そう言えばお前の名前をまだ聞いていなかったな。」

「ん?俺の名前はボンブっつーのよ~。」

フム、なるほど。名前から見てバカらしいな。

「フム、なるほど。」

「オイオイ!それで終わりってことはないだろうよ~。」

「ん。俺の名前は・・・アリードってことにしておこう。」

「なんだ変な奴~。」

それをお前が言えるのか・・・

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「さて、何から話そうか・・・・」


1944年 9月 リヒテンシュタイン郊外の村


リヒテンシュタインという国は、本当にかわいそうな国で、第一次世界大戦のときなんてそりゃひどいものだった。

参加もしてないのに影響をもろに受けるんだから。

スイスに助けてもらったかなんかでなんとか食いつないでいるんだが、まだまだ民衆の暮らしはジリ貧だ。



俺は旅をしていた。今日も右へフラリ、左へフラリ。

いつも手にはバンジョーを持っていた。

日本風にいえば、「琵琶法師」といったところか。まあ、目も見えるし、平家物語を読むわけでもないんだが。


そろそろ陽の光も旅を妨げるくらいの熱さになってきたので、木の下に体を休めることにした。

目の前に畑が広がり、その中に一人の男が見える。女が一人、水を持ってやってくる。どうやら夫婦のようだ。貧しい生活、とは言っても苦しいなりに彼らは楽しく生きているようだ。

戦争とは無縁な、美しい風景。鳥は自由に空は飛び、子供たちの無邪気な声が聞こえ・・・


「あの・・・・」

「ん?」

呼びかけられて目を開いた。どうやら寝ていたようだ。

青いワンピースが目にとまった。顔を上げると若い女性が目に入った。女の子と言ってもいい年齢かもしれない。長い髪を風にたなびかせながら、まんまるな目でこちらを見ている。

眠気はすぐにふっとんだ。

「あんまりこの辺では見ない顔ですよね?」

「ん?何か珍しいのか?」

「はい。ここに旅に来たいなんて人はまずいませんからね。」

「それにしてもいきなり大胆な質問だな。」

「あ・・・失礼しました。」

彼女は初対面の相手としゃべっているのに、随分と親しそうなしゃべり方をするものだ。

「まあ、いい。ここはいいところだな。」

「そうですか?そんなことを言った人はいませんが・・・」

「オイオイ、ここに来る人はまずいないんじゃないのかよ。」

「まあそうですが。」

俺は腰を上げた。かがんでいた時は彼女が大きく見えたのだが、実際立ってみると彼女は自分の肩の位置くらいの背だった。

「ところで君の名前はなんていうんだ?」

「フフ、あなたも随分大胆ですね。」

「フム、まあそうだな。で?」

「私はプラタナス、って言うの。」

「この木と同じ名前をつけてもらったんだな。」

自分の腰かけていた木を指さす。

プラタナスとは、別名鈴かけの木という。周りをみわたしても、ここに一本生えているだけだ。

「あなたは?」

「ん、俺の名前は・・・アリードということにしておこう。」

「あら、変な人。」

まあ反論はしない。

「で、さっきも言った通り、俺はここが気にいった。」

「ウン。」

なんかプラタナスのしゃべり方がこころなしか変わった気がするんだが・・・・

「そのため、俺はお前の家に居候させてもらうことに決めた!」

「・・・・・・・・・・・・・えええええええええええええええええええええ!」

初めてなんで色々間違ってるかも・・・!

ご指摘ガンガンお願いします。


この作品はフィクションです。歴史上の話ですが、真実とは全く関係ないです。


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