第2話 演説
王様は兵士との会話が終わったようだ。兵士はざわめいてる転移者達を静かにするようにと言った。
ようやく王様が話してくれるようだ。
「皆の者、我は王様だ。お前達をこの世界に転移した。」
王様がこちらに向けて演説が始まった。我は王様だって、偉そうな言い方だ。
王様がこの異世界に僕達を召喚したのか。
「お前達には魔王を倒しに行ってもらう。魔王の居場所などについては、自分で調べろ」
やはりそのパターンか。異世界に召喚された時点で思うけど、魔王退治のために僕達召喚されたんだな。
魔王の居場所などの詳細は、教える気ないらしい。
「元の世界に帰れると思うな。お前達は我が国の奴隷兵士だ」
奴隷兵士?
王様だから偉そうな話し方だと思ってたが、僕達のこと魔王退治に向かわせる奴隷を召喚した目で見てたのかよ。
元の世界に帰れるかどうかは怪しいな。
他の転移者もイラ立ちながら演説聞いてるな感じに見えた。
「お前達には転移特典としてギフト能力を持っている。お前達のギフトは我が国の道具扱いとなる」
ギフトは持っているけど、【エスケープ】でどうやって魔王と戦えばいいんだ。逃げることしかできないんだぞ。
奴隷として道具扱いする気なのか。最低な国に召喚されてしまったと思った。
異世界に来るのなら、優しい対応の城がよかったな。
王様の演説は続いてる。僕達を魔王退治に向かわせる道具としてしか見ていないのか、言葉がひどい。
他の転移者達も、話の内容がつらそうだ。
「つまりお前達に人権はなく、我が国が利用……」
「俺の人生返せ!」
バン!っと音がした。
銃声のような音が部屋を響いた。
王様の会話が突然止まって、お腹を撃たれている。
な、何がおきたんだろう。王様が撃たれたって大事件なんだけど。
銃声の直前に誰かの声が聞こえた。俺の人生返せ……か。
この言葉からだと、撃ったのは転移者の誰かか。
転移されてお前達は奴隷だとか王様言ってたもんな。
元の世界に帰れるかもわからないし、腹が立つのも一緒だけど、いきなり王様撃つのは相当な覚悟だったんだと思う。
それか、頭おかしい奴か。
兵士が急いで王様の安否を確かめている。
僕は誰が撃ったのか、周りを確認した。1人がライフルみたいなのを手に持っている。
キュウタだ。
キュウタが王様を撃ったんだ。ギフトが狙撃系のやつなのかもしれない。
それにしても、どこからライフルみたいなの持ってきたんだ?
「あれ!?」
キュウタの様子を見ていたら、突然ライフルみたいなのが消えた。
ギフトで武器を出し入れしたのか?
そうだとしたら、武器を取り出して王様を撃つのも簡単だ。
キュウタの手元にはもう何もない。凶器を隠されてしまった。
転移者達の一部は僕と同じように見たかもしれないが、一瞬の出来事で王様に気を取られていて見てないだろう。
「王様はお亡くなりになりました。犯人は転移者の誰かで間違いありません」
兵士達が大慌てだ。王様は亡くなってしまったか。
転移させた元凶とはいえ、死んでる姿は見たい物じゃないな。
兵士達はギフトで殺害されたと断言したようだ。俺の人生返せという言葉も聞こえたから、容疑者は僕達になってしまうのか。
キュウタがやったと言いたいが、証拠がない。下手に発言して疑われるのも危ないな。
キュウタ本人も、今になってとっさに殺してしまったのを動揺してる。
その時は必死で撃っただけかもしれない。
異世界に来た瞬間で、計画して殺害したとかもないからな。
「転移者を逃がすな!捕まえろ!」
兵士達が8人を捕まえようと動きだした。誰が犯人かわかっていないのか、僕も共犯扱いなのか。
王様の死の瞬間を見たこともいけなかったようだ。
8人全員を捕まえて、城の外に情報を出すなと言っている。
死刑にしろと言う兵士の声も聞こえる。最悪の状況だ。
8人はその場から逃げないといけなくなった。まだ兵士達の連携はとれていない。
部屋の入口の扉は大きくて開けっ放しだ。8人はそこから逃げ始めた。
幸いにも城の出口はすぐ見えた。
さっきまでいた王様の間と真っ直ぐ一直線の作りになっていて8人は城から脱出した。
兵士達は追いかけてくる。気がつけば8人はバラバラで違う方向に逃げたようだ。
ドーダロは【エスケープ】を活かしてとにかく逃げる。
キュウタという奴、やってくれたな。
僕の方の人生を返せよ!
異世界すぐに王様殺害なんて、早すぎだろ!
王様殺害の事件をキッカケに、僕は1人でここから2年間の逃亡生活することになった。
【転移者状況】
【男性】
ドーダロ 生存
キュウタ 生存
スタンファイブ 生存
ギュウドン 生存
【女性】
カリン 生存
エスティーヌ 生存
ミミサイコー 生存
アイウエオ 生存
転波乱(てんはらん/Tenharan)とタイトル略してます。
周回ありサスペンスありの異世界デスゲーム作品です。完結まで構成を用意してから投稿を開始しました!
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※本作は「カクヨム」にも掲載しています。




