孫は”転生者”?8 ― ばあば視点:一番楽しんでいるのは実は自分編 ―
正直に言うと――
私は、この遊びが嫌いではない。
少し方向性はちがうけど、自分でストーリーを考えて、空想の世界に入り込む。
既に鬼籍に入った両親にかってもらったのは、図らずも、同じシ〇バニアファミリーのセット。動物達をもちながら、姉と自分たちなりの、おままごとや、お買い物の脚本をつくって、空想の世界に遊んだのを、懐かしく思い出す。
そう.........むしろ、かなり楽しい。
蒼ちゃんが昆虫を並べ始めたとき、最初はぎょっとした。
クモだの、サソリだの、蜂だの。
普通、家の中に置くものではない。
だが、よく見ると配置が妙に理にかなっている。
「ここは死角ね」
「この窓、守りが甘いわ」
そんなことを口にしている自分に、途中で気づいた。
――あら、私、普通に参加してる。
コアちゃん役、拝命
蒼ちゃんは迷いなく言った。
「ばあばは、コアちゃん」
役割は敵 工作員B、女子。
ジィジはココちゃん。工作員A、男子。
どうやら前線担当らしい。
私はコアちゃんを持ち、慎重に動かす。
「ここから入ったらどうかしら?」
蒼ちゃんは少し考えてから答えた。
「だめ。そこ、もどれない」
……戻れない?
私は一瞬だけ、背筋がぞくりとした。
だがすぐに笑った。
「そう。じゃあ、やめとくわ」
ばあばの気づき
蒼ちゃんは指示が的確だ。
しかも、慌てない。
失敗しても責めない。
ただ、静かに配置を変える。
「クモ、ここ」「サソリ、まもる」「だいじなのは、なか」
――守るべきものは、中。中にいるものなの?
その言葉を聞いたとき、私はなぜか胸がきゅっとなった。
この子、誰かを守る遊びをしている。
ジィジとの温度差(苦笑)。
横でジィジは、明らかに考えすぎている。
「これは防衛訓令だ」
「何かの、そう籠城戦、守りの再現だ」
そんな顔をしている。
私は、わざと軽く言った。
「ただのごっこ遊びよ。この子は想像力がとっても豊かなの」
ジィジは納得していない。それでも、それ以上は言わない。
私は思う。
――男の人は、すぐ大げさに考える。
実は一番楽しんでいる
気づけば私は、侵入ルートを本気で考えていた。
「ここ、フェイントでしょ?」
「陽動してから、裏ね」
蒼はにこっと笑った。
「ばあばはよく、わかってる。じいじはあんまり上手じゃないね」
……ええ、わかってるわ。
なぜだか。
理由は説明できないけれど。
夜、ひとりで思う
蒼ちゃんが眠った後、
私はウサギの家を片付けながら、ふと思った。
もし、この子が何かを覚えて生まれてきたのだとしても。
もし、前の世界があったのだとしても。
今は――
この家で遊んでいる。それで、十分じゃない。
■ばあばの結論
翌日、ジィジがぼそっと言った。
「……あの遊び、やっぱり普通じゃない......よな?」
私は笑って答えた。
「そう?でもね、ちゃんと守れてるじゃない」
何を、とは言わない。
蒼は今日も、昆虫を並べている。
私は今日も、コアちゃんを持つ。
守る遊び。入れない遊び。
それでも、どこか安心するのは――この家が、ちゃんと守られているからだ。
少なくとも、ばあばはそう思っている。




