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日常すれすれ  作者: しゅんたろう
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孫は”転生者”?7― 昆虫(使役魔獣)によるウサギ工作員との防衛戦 ―




最近、蒼の関心は完全に「昆虫」に支配されている。


クワガタ、カブトムシなどは序の口。

蜂、タランチュラ、サソリ。

お気に入りは”きけんせいぶつ”図鑑(小学館)。


毒蛇、ヒグマ、スズメバチ、カサゴ、日本に生息する危険生物について、妙に詳しい。


「このクマはね、かなりはやいし、やばいよ」


3歳児の言葉としては、含みがありすぎる。


外出時も、虫のフィギュアを虫かごに詰め込み、常に携行。

まるで標準装備となっている。


――使役魔獣??斥候部隊?


そんな考えが、頭をよぎる時点で、私はだいぶ毒されている。


■クリスマスの贈り物


今年のクリスマス。

蒼に贈られたのは、某有名シリーズ(シ〇バニアファミリー)のウサギの家だった。


ココちゃんとコアちゃん。

キッチン、ダイニング、ベッド完備。

本来なら、ほのぼのとしたごっこ遊びをするためのものだ。


だが――


蒼は違った。


昆虫の館、完成。


そう、その家は完全に昆虫の館と化していたのだ。


窓という窓にセアカコケグモ。

手すりにはサソリ。

玄関前にはスズメバチの隊列。


室内には、タランチュラ、ムカデ、アトラス大カブトムシ。


どこからどう見ても?!?、

侵入を想定した防衛拠点である。


私は思わず口にした。


「……ここにはうさぎさん、住めないねー」


蒼は一瞥もくれず、昆虫を配置し直していた。


■じいじ、ばあばの強制参加


その時、蒼がこちらを見た。


「じいじ、いくよ!」


嫌な予感しかしない。


「じいじはココちゃん。ばあばはコアちゃんね。はいっ、動かして!」


役割が割り振られた。


「ここから、はいって」


指さされたのは、正面玄関。


私は恐る恐るウサギを持ち、玄関に近づく。


すると――


「だめっ!」


即却下。


「ここ、トラップ」


確かに、蜂三体とサソリ二体が陣取っている。


「じゃあ、こっちは?」


裏口に回る。


「そこも、だめ」


窓を見る。


「そこは、いちばんあぶない」


私は完全に理解した。


――これは遊びではない。


昆虫軍、指揮下にあり


蒼は床に座り、静かに指示を出している。


「クモ、うごく」

「サソリ、まもる」

「カブト、でる」


使役魔獣たちが、意図を持って配置されていく。


完全な統制。


私は唾を飲み込んだ。


「……何の訓練だ、これは」


ばあばも、コアちゃんを手に困惑している。


「蒼ちゃん、これ、どうしたら入れるの?」


蒼は少し考えた。


「はいれない」


即答だった。



その夜、私は一人で考え込んだ。


ウサギの家。

昆虫の防衛線。

侵入を拒む構造。


これは――

亡国で行われていた最後の市街戦の再現ではないか?


民を守るための、最後の防衛拠点。

工作員を拠点に入れぬための、机上訓練の再現。


そう考えると、すべてが腑に落ちる。


「まさか……」


だが、次の瞬間、私は首を振った。


「……いや、考えすぎだ」


単に、虫が好きなだけだ。

たまたま、配置が戦術的なだけだ。


そう、思いたい。


しかし


翌日、私は聞いてしまった。


ばあばが言った。


「昨日ね、蒼ちゃんが言ったのよ」


私は身構えた。


「なんて?」


ばあばは、何気なく言った。


「『ここ、まもれなかった』って」


……誰から?


私は黙って、ウサギの家を見つめた。


昆虫たちは、今日も整然と配置されている。


私は、そっと結論を先送りにした。


知らないほうが、平和なこともある。


だが、ジィジとしては――

少なくとも、この家の防衛は、

当分、蒼に任せておいたほうが良さそうだな........と。

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