表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常すれすれ  作者: しゅんたろう
69/77

孫は“転生者”?



なろう系の異世界転生ものが大好きな私は、還暦を迎え二人目の孫が生まれた日、また“悪い癖”が顔を出した。


――こやつ、まさか中身が異世界人では?


お産直後の赤ん坊を抱いたとき、つい脳内でベタな転生テンプレが再生されてしまう。


(……知らない天井……)

(こいつらは誰だ? なぜわらわの言葉が通じる?)

(よだれ垂らしながら近づくこの男……さっき“じいちゃん”と言ったな?)


いやいやいや、落ち着け自分。

ただの赤ん坊だ。異世界からの亡命者じゃない。


……と、自分に言い聞かせながらも、2人目の孫(女の子)のおむつ替えをしたときは、思わず妄想が暴走した。


(おい待て……なに勝手にわらわの服を脱がせてる!? このロリコンがァァァ!!)


脳内の“()の人”が叫ぶ。

私は思わず素早くおしりをきれいにすると、視線をそらし無言でテープをとめた。


初孫の2歳の男の子にも、時々こんな想像をしてしまう。


「ジーちゃんだよ〜」

(くっさ! 口近づけんな!)


「飛行機びゅーん!どうだじいちゃんのかっこええだろっ。」

(いや、“飛竜騎士団”の機動そんなじゃねぇから!!)


もちろん、全部妄想。

だが、想像すればするほどおかしくて、可愛くてたまらない。


そんなある日。

二人目の孫娘の沐浴を手伝っていたときだ。


お湯につけると、彼女はぱっちり目を開け、湯面を見つめて小さく口を動かした。


「……あー……うー……」


その瞬間、私の脳裏に“転生者あるある”が駆け巡る。


(……水属性魔法の詠唱か!?)


思わず身構える私。


すると、赤ん坊が小さくくしゃみをした。


「……ぷしゅっ」


その拍子に、私の白髪に湯しぶきが飛んだ。

すかさず脳内の“()の人”が呟く。


(……すまぬ。魔力暴走した。じいや、許してつかわせ)

脳内では孫は、異世界のやんごとなき魔法使いのお姫様と化していた


私はふっと笑い、赤ん坊のほっぺを指でつついた。


「暴走でもなんでもいいけどね。

君が元気でいてくれたら、じいちゃんはそれで十分だよ」


すると赤ん坊はふにゃっと笑った。


その笑顔を見て、私は思った。


――もし本当に異世界の魂が入っていたとしても、

結局この子は、世界で一番かわいい“わが孫”なのだ。


……ただし、将来しゃべり始めたとき、

「前世では魔王だった」

とか言われたら、そのときは全力でツッコもうと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ