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日常すれすれ  作者: しゅんたろう
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熊騒動



今年の秋は、ニュースをつければ熊、熊、熊。

平野部への出没が相次ぎ、死傷者は過去最悪――そんな話題ばかりだ。


うちの妻は、もともと心配性だ。

「都市部に熊なんて出ないよ」と言っても聞かない。

市の防災アプリを入れて、通知音が鳴るたびに飛び上がる。

「ほら、松川沿いに出たって!」

「たしかに!うちは松川沿いじゃないか!」


……たしかに、そう言われればそうかもしれない。


そんなある夕方。

妻が庭の方から、血相を変えて飛び込んできた。


「あなた!出たのよ!熊!!」


妻のスマホを見ると、ぼんやりと黒い影。

確かに尻尾は短く、丸っこいフォルム。

妻は半泣き。

「小熊よ、絶対!()()()()、猫じゃないもん!」


私はとっさに、金属バットを手に庭へ。

(まさか、ほんとに……?)


物音がする。

ライトを向けると、黒光りする毛並み――確かにいた。

しかも、こっちをチラッと見て……逃げた!


そう、件の生物はとびかかるでもなく、私をみて()()()のである。

(うーん。餌がとれなくてやせた小熊というより、飽食でめたぼのでかい()()()()()()にみえたが......)


私は妻のもとへ駆け戻る。

「いた!けど、逃げた!」

()()()()()だったのね……!」

(いや、あの動きは猫だろう.....)


翌朝。

隣の奥さんが笑いながら言った。

「昨日ね、うちの“クロ”がそちらのお庭におじゃましてたみたいで~。ごめんなさいね!」


クロ。

近所でも評判の太っちょ黒猫。

そりゃ、尾が短くて、まるまるしてるわけだ。


その晩。

妻は気まずそうに、味噌汁をかきまわしながらつぶやいた。

「……あれ、やっぱり猫だったのね。」


私は笑いをこらえながら答えた。

「うん。でも、君が本気で心配してくれるの、悪くなかったよ。」


妻は少し照れたように笑った。

「熊でも猫でも、あなたが無事ならそれでいいわ。」


その瞬間、ニュースの速報が流れた。

《近隣地域でクマ出没注意》


……今度は本物だった。


私は味噌汁の椀を置き、そっと妻の肩に手を置いた。

「……金属バット、もう一本買っとくか。」


2025年 11/9(日) 12:29配信

BSN新潟放送


新潟放送


新潟県新発田市で9日午前7時15分頃、60代男性が自宅の庭でクマに襲われ左わき腹を引っかかれる軽傷を負いました。男性は飼い猫を探していたということです。


男性がクマに襲われたのは新発田市向中条の自宅敷地内です。警察によりますと午前7時15分頃、この家に住む60代の男性が裏庭に出たところ、藪から突然体長1メートルほどのクマがあらわれ男性に向かって突進。男性は慌てて逃げましたが転倒し、覆い被さられて左わき腹を引っかれる軽傷を負ったということです。クマは男性を襲ったあとすぐに逃げ去ったということです。庭に出た時、男性は姿が見えなくなった飼い猫を探している最中でした。また、午前7時30分頃には男性が襲われた場所からほど近い別の民家でもクマが現れ、家の窓ガラスを叩いている様子が住民に目撃されました。


このほか、きょうも県内各地でクマの目撃が相次いでいて、警戒が続いています。

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