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日常すれすれ  作者: しゅんたろう
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「還暦同窓会サプライズ」

これはフィクションです。でも、“あれ、○○に似てる…”と思っても、それはたぶん偶然です。たぶん。


10年ぶりの同窓会。

自分でいうのも気恥ずかしいが、名門進学校の同窓会だけに、会場は「有名企業の社長」「行政の要職」「政治家」とすごい肩書きがズラリ。

私は父の後を継ぎ医師になり、たまたま今年から自治体病院の院長職。

決して引けを取る立場ではない……はずなのに、根暗な文芸部だった学生時代を知る面々に会うのは、かなり気が重い。


一方で妻は——相変わらず社交的で人気者。学年のマドンナ的存在だった彼女が隣にいるだけで、私は場違いな気がしてならなかった。


■余興のスペシャルインタビュー


突如、有志が「同級生夫婦3組スペシャルインタビュー」を企画。

壇上に引きずり出された私は、心の中で叫んだ。


(まじか!!どんな罰ゲームだよ!俺が何をした!!)


司会「さて、ご夫婦のなれそめは?」


私「……えっと、彼女がお見合いしたときに、そのお相手が当時の僕の勤務先の同僚で『どんな人?』って聞かれて……。で、チャンスと思って『僕にしとけば?』って言ったんです」


一瞬の沈黙。


次の瞬間、どっと爆笑と拍手。


「ラブストーリーは突然に!」と私が前置きしたのも効いたらしい。

まさか、根暗文芸部の私が会場を笑わせる日が来るとは。


■妄想のズレ


ただし、その後のQ&Aではやはりズレが出た。


同窓生A「院長、病院の経営って大変でしょ?」


私「ええ、日々がサバイバルです。患者さんの命も、Wi-Fiの調子次第ですから」


会場「???」


妻がすかさず笑顔でフォロー。

「この人、仕事の合間に家庭の防犯カメラが繋がらなくて大騒ぎするんですの」


——妻の一言で、また笑いが起きる。


■結末


気乗りせず参加した同窓会だったが、終わってみれば、昔の根暗キャラも笑い話になり、みんなに受け入れられていた。


40人×8クラスのうち、鬼籍に入った者が14人。

生きて還暦を迎え、夫婦で笑ってここにいられる——それ自体が一番の還暦のご褒美だと思った。


最後に妻と目が合い、苦笑いしながら呟いた。


「……次の5年後も、Wi-Fiじゃなくて君の笑顔で繋がっていたいよ」


これはフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。

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