「できる男のNewアイテム」
社会人1年目。
村上一郎は、最初の夏のボーナスで奮発して念願のRolax Submarineを購入。
国産のGrand Saikoと最後まで悩んでの購入であった。
が、憧れていただけで、実は腕時計には全く無知であった。
某有名通販サイトMamazonでかったのはよかったが、Rolaxの新品が30万円の激安だったという。
■飲み会の席。
一郎は、さりげなく袖口から買ったばかりの“Rolax”をちらりとのぞかせていた。
友人A「おっ、一郎! それボーナスで買ったんか!」
一郎「ふっ……まあな。気づいたか。ふっ!」
時計に詳しい友人Bが秒針をじっと見つめる。
友人B「……おいでもこれ、秒針カクカク動いてね? 機械式なのにクォーツっぽいぞ」
一郎、すかさずドヤ顔で。
「違うな。これが“時を刻む男の証”なんだよ」
負けず嫌いの一郎であった。
友人C、腹を抱えて笑いながらロゴを指さす。
「おい、これ“ROLAX”じゃなくて“RELAX”って書いてあるぞ! 本物じゃねえだろ!」
一郎、すかさず言い返す。
「ブランドの価値? 知ってるさ。仕事のできる俺に似合うかどうかだろ?」
やはり負けず嫌いの一郎であった。
さらに友人Dが追い打ち。
「夜光塗料も暗すぎて全然光ってないじゃん!つかまされてねーか?」
一郎、グラスを掲げながらにやり。
「本物より“リラックス”できるんだ。悪いか?」
それでも負けず嫌いの一郎であった。
一瞬の沈黙。
次の瞬間、テーブル中が大爆笑。
「おまえ最高だな、一郎!」
一郎「.............」
心の中で泣きながら、一郎はつぶやいた。
——人生は秒針より狂う。それでも俺は、俺の時間を刻むんだ。
どこまでも負けず嫌いな一郎であった。




