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猛暑ラーメン
真夏日どころか猛暑日が60日続く、史上最悪の夏。
人々は日陰に逃げ込み、エアコンにしがみつき、かき氷機はすべて売り切れ。
そんななか、唯一行列をつくっていたのは——街外れの「次郎系ラーメン」だった。
店先に並ぶ人々
客A「信じられん……こんな暑さで、なんであんな熱いラーメン食うんだ?」
客B「いや、あれは修行だ。猛暑で食えば、体が鍛えられるんだ」
客C「汗だくでスープを完飲したやつは、“真の次郎リスペクト”として表彰されるらしい」
店内
灼熱の厨房、油の匂い。
大将はタオルで額を拭いながら、丼をカウンターに叩き置いた。
「へい、お待ち! 猛暑スペシャル!」
丼の中には、ニンニクマシマシ、アブラマシマシ、さらに氷のかけらが浮かんでいる。
——スープはグツグツ煮えたぎりながら、なぜか表面だけがキンキンに冷たい。
一口すする客
客D「……熱っ! いや冷たっ! ……なんだこれ!? 脳がバグる!」
すると次の瞬間、店内の誰もが汗だくでありながら、妙にスッキリした顔になる。
ラーメンを平らげた常連が言った。
「猛暑日60日? そんなもん関係ねえ。次郎の熱量の前では、天気すらトッピングだ」
——こうして、「次郎系ラーメン店」は、この夏の避暑地ならぬ“灼暑地”として名を馳せた。




