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猛暑かき氷日記
連日の猛暑。
商店街の小さなかき氷屋「氷やすらぎ」は、昼から行列が絶えない。
「本日も猛暑日45日目! おすすめはイチゴです!」
店主の声はもはやニュースの定例報道のようだった。
猛暑が続くほど、かき氷の味も進化していった。
普通のイチゴ → 「超濃厚イチゴ」
普通の抹茶 → 「抹茶パワーMAX」
普通のブルーハワイ → 「南極ブルーハワイ」
最後には「食べると5分だけ体温が下がる“冷感かき氷”」が登場。
子どもたちは「宿題やるからかき氷ちょうだい!」と交渉材料に。
OLは「かき氷ランチ」なるダイエット法を始める。
政府は「熱中症対策の一環としてかき氷券を配布します」と発表。
ついに気象庁が発表する。
「本日、猛暑日60日連続を記録しました!」
同時刻、街の至るところで——
カップを片手に「いただきまーす!」の合唱が起きた。
翌日の新聞の見出し。
「かき氷シロップの在庫が全国で枯渇。急遽、メーカーは醤油味かき氷を開発」
……これだけは誰もおかわりしなかった。




