表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常すれすれ  作者: しゅんたろう
5/62

定時メロン


商社勤めの俺の楽しみは、毎日「15時ちょうど」に支給される、社員食堂のメロン半玉サービスだ。


福利厚生の一環――らしいが、創業者の「おやつは果物に限る!」という謎のポリシーによって、30年以上続いているという。


この時間になると、社内のあちこちから「チッチッチッチ……ピッ」という時報音が鳴り始め、社員全員がメロンをもらいに一斉に移動する。


「メロン定時」と呼ばれ、始業・終業よりも守られている。


ある日、俺はふと思った。


「この商社、メロンで動いてるな……」


そんなときだった。人事異動でやってきた若い女性が、驚愕の事実を口にした。


「えっ、みなさん15時のメロンって……自費じゃないんですか?」


「は? 社食で無料でもらってるけど?」


「……え?私、渡された紙に“1回980円・給与天引き”って書いてありましたよ……」


……ざわっ。


調べてみると、新入社員や転入者だけが有料になっていた。理由は「メロン愛が本物か見極めるため」らしい。


その日、社内で小さな暴動が起きた。


翌日、総務部が発表した。


「制度は撤廃します。今後、全社員有料とします。なお、希望者には時計型メロン定期券を支給します(※税込39,800円)」


……高すぎるだろ。


だが数日後、俺はその腕時計型メロンパスを装着していた。


なぜなら、それをつけて食堂に行くと、厨房のおばちゃんがにっこり笑って言うのだ。


「お兄ちゃんは、“本物”だね」


……悪い気はしない。


俺の腕には、時刻とともに糖度が表示される“メロンウォッチ”。

どうやら、俺はこの会社から一生、逃れられないらしい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ